宮古島回想記 その十七 | 島ネコになりたくて - 沖縄シマジマ徒然記

宮古島回想記 その十七

<3日目(つづき)>

コンドに帰る道すがら左手に見える海に目をやると、ちょうど干潮の頃らしく砂浜がずっと向こうまで顔を出している。何やらたくさん人が、その遠浅の浜で潮干狩りをしているようだ。

一体何のイベント?と思ったが、後々考えたら、この日は1年で最も干潮の差が大きいといわれる「サニツ(旧暦3月3日)」の前日だった。サニツには、女性は海(浜)におりて身を清め、1年の健康を祈願する伝統があるそうだ。今では家族全員で潮干狩りに出かけることが多いらしい。

普段は全く旧暦を意識する機会のない我々だが、沖縄では今でも旧暦が生活のリズムを作っているのだと実感する。月の満ち欠けに基づいたサイクルは、案外女性に優しいのかもしれない。

それにしてもこの日は暑かった。コンドに帰着するや、バテていたのか唐突に昼寝を始める島ネコ夫・・・。

仕方なくシュノーケルの準備をしながら庭を散歩していると、何だか雲行きがあやしくなってきた。海も潮が満ちてきて、さっきとはまるで様相が違っている。サニツの頃は干満の差が激しいため、干潮時に調子に乗って沖に行き過ぎると、あっという間に戻れなくなってしまうらしい。恐るべし月の力。

とにかく今のうちにシュノーケルしておかなければ、と大慌てで海に入る。が、ちょっと遅かった。潮が入ってきているからか、天気が悪くなってきたせいか、水が濁っていて視界があまりよくない。もうちょっと沖に行けばよかったのかもしれないが、海が荒々しさを増しているので残念ながら退散。魚を数匹(!)見ただけだった。せっかくのプライベートビーチを堪能できなかったのは心残りだけど、これも次の楽しみにとっておこう。

シャワーを浴び、レンタカーのガソリンをどこで入れるか相談する。といっても、平良市街の方向に行くか、池間に行くかの二択。せっかくなので(ヒマだし)、池間に行って給油がてら島を一周してみることにした。

分厚い雲が増殖する中、池間大橋を渡る。昨日の目の覚めるようなエメラルドグリーン とは違うが、やはりここの海の色は特別だと思う。

池間に着き、まずは島を回った。舗装された立派な一周道路が走っているのだ。民宿やペンションの立ち並ぶあたりを過ぎると、人気が全く無くなる。この辺りには人知れず穴場のビーチが潜んでいるに違いない。そして地図を見ると、海の反対側には「湿原」の文字が。確かに「原野」と呼ぶにふさわしい風景が延々と続いていた。

車で走るとすぐに終わってしまう一周道路。池間島も、いつかゆっくりと歩いて回ってみたい。

無事給油も済ませたのが19時過ぎ。再び池間大橋を渡る。何だか橋に愛着がわいてきた。

さて、幹線道路からコンドへ続く農道に入る曲がり角に「すむばり 」という食堂がある。ここは、宮古好きの旅人にも地元の人たちにも人気のあるタコ料理店だ。甘辛く煮たタコを乗せたタコそばやタコすみ焼きそばに始まり、タコフライ定食などタコ料理なら何でもあるみたい。

ガイドでは19時までとなっているけど、まだ開いているようだ。八重干瀬のガイドさんにもコンドのオーナー夫妻にも「オススメ」と言われていたので、昼「古謝本店」で食べ過ぎた 事も忘れ、入ってしまいたい衝動にかられる。でも、

明日、出発前に行こう。

サンエーで買ったチャンプルー達を思い出し、ぐっとこらえて帰ってきたのであった。

満足度:100%