金曜日、最寄りのターミナル駅は終電を待つ人で賑わっている。

 

 仕事終わりのサラリーマン、別れを惜しむカップル、飲み会帰りの学生も、これから家路に着くようだ。週末とはいえ、朝まで飲み明かす人も少なくなっているのかもしれない。

 8月も終わりに近づき、改札を出てしばらく歩くと、ネクタイにスーツのジャケットを羽織った人とも何度もすれ違う。多くの人は飲み会終わりと見えて、首元もすっかり緩んでいる。

 

 私は、小雨の降る中、自転車置き場に急いだ。最近は気の合う仲間と飲んでいても、生ビール3杯程度では酔えなくなった。しっかりした足取りで愛用の自転車を探す。

 普段、事あるごとに「私は晴れ女だからね!外出しようとすると必ずといっていいほど雨が止むわけよ!!」と豪語してはいるものの、私だって降られる時は降られる。雨は少し強くなり始めていた。

 ピンクの自転車はすっかり濡れていて、たった今降り始めた雨ではないことを物語る。いつものように鍵を取り出し、ひょいと跨る。漕ぎ始めた瞬間フラリとして、飲み会帰りだったことを思い出す。

 午前0時を回った地下道はガランとしていて、疲れた人々がパラパラと歩いているだけだ。遠くに見える出口を見ながら、今日の飲み会を思い返す。



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 付き合い始めて7か月半になる彼氏とは、現在週に2日から4日ほど会っていて、仕事が早く終わる平日には私が電車で10分かかる彼の最寄駅まで出向いて30分ほどお茶をするのが習慣になっている。

 そのことを話すと、友人2人は口をそろえて「30分!?一緒にご飯食べたりしないの!?おかしいって!」と驚いた。そんなに否定されるとは思ってもみなかったので、そもそもその時はどの部分を否定されたのかすらわからなかった。むしろ今でもわかってない。

 「それは尽くすのとは違う」私は本当に自分が彼に尽くしているとも思ってなかったのだが(そこまで出向く手間はかかってるけど)、自分が好きでやってることに疑問を持たれた事実に驚いたと同時に、果たして私は常識はずれなことをしているのかと混乱もした。

 そう。混乱した。

 彼は社会人で、私は学生で、時間に融通の利く学生の私が(しかも夏休み)手間をかけることは個人的には苦ではないし、少しの時間の為に学校から30分歩いて会いに行くのも、確かに愚かではあるが、変ではないと思っていた。

 ・・・まてよ。愚かか。それなら話はわかる。自己満足のために時間と労力(時にはお金―電車代など)を費やすことは非常に無駄に思えるし、また非常に愚かでもある。それを非難されていたのか?

 しかし私にとっては無駄ではないし、彼にはゆっくり休んでほしいし、でもちょっとでも会いたい、自己満足の世界・・・・・・・・うーん?????彼が仕事場から逆走して私の最寄駅まで来るぐらいなら、私が行こうと思っただけなんだけど・・・帰り道に歩いて帰るのもお気に入りだし・・・・夜遅くまで残業してる人も多い中、平日18時半にはお茶出来てるって結構すごくない?いやそれはこの場合、問題ではない。

 なんであんなに驚かれたのか!?私っておかしい!?!?

 彼はなんで私みたいなの好きなんだろ!?好きってなんだろ!?!?

 彼から朝メールが来るだけで一日中うわの空になる私は彼のこと好きじゃないのかな!?!?切り替えられないくらいなら芸人なんてやめちまえ!?







 あー。なんだか少し酔ってるのかな。

 私はカバンが濡れないように注意しながら、自転車のスピードを上げた。