義肢装具学という学問があり、学生時代に一通り学び、国家試験を経て義肢装具士になるのですが、その義肢装具学から逸脱した製作方法を行う場合、メリットもありますがもちろんデメリットもあり、その両方をユーザーに説明したうえで「やってみよう!!」ということになり、それが今回は上手くいったので報告させていただく沖野です。
めっちゃ膝曲がってる!!
135度はいってますかね??
これは下腿義足のユーザーですが、ウエイトトレーニングで深くスクワットを行いたいので、膝をできるだけ曲げられるようにソケット後壁を削りまくりました。
セオリーでは膝蓋靭帯レベルから1横指(←この表現方法が独特ですが沖野は好きです。約1.5~2.0cm)程度下げた位置を後壁の高さとします(オスポではもう少し膝を曲げやすくするために3cm弱ぐらいまで下げます)。
この後壁が低くなりすぎると、膝蓋靭帯のカウンターとして後壁が作用しなくなり、義足荷重時に前後方向の動揺が生じやすく、かつ膝蓋靭帯に荷重しずらくなります。
今回はユーザーに許可を得つつ、歩行に支障の無い範囲で後壁を削り、写真のように約135度程度膝が曲がるようになりました。
矢状面(横から)だとこんな感じです。
脱着を容易に行うためと、トレーニング前後で断端がパンプアップするので断端袋で周径を容易に調整できるようにピン式です。
膝蓋靭帯レベルから約7.0cm程下げました。
ちなみにこの状態でも歩容に特段の変化はなく、ユーザー自身も安定性に変化を感じてはいませんでした。
その理由として
①ユーザーはパラ陸上選手であり、義足荷重時に断端の筋肉の膨隆が大きい。
②断端が長いので(約22.0cm)後壁の低さがあまり影響しない。
以上の2点を仮説としました。
特に普段からトレーニングをしていない(断端の筋肉量がさほど多くない)ユーザーの場合でも、ここまで後壁を下げても歩行に支障はないのでしょうか?
今後検証していきたいと思います(とはいえ、歩行に支障の無い範囲でちょっとづつ後壁を削っていくだけですが・・・)。
次回のオスポランニング教室は9月13日(日)13時から新豊洲ブリリアランニングスタジアムです。
「ギソクの図書館」のマンスリーランも同時開催です。
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