最後⑦ | 夫が癌に 残された私

最後⑦

点滴を直してもらってから

2畳ほどのスペースで、

夫が少しずつ移動してました

ずって移動してる感じで、布団の上から床に

行ってしまうので、何度も抱きかかえて戻しました

夫は痩せたとはいえ、60キロ位あり

私が動かすと、痛がったり、振り払おうとする

ごめんね、ごめんねって謝りながら

無理やり移動させて、薬を口に入れて擦る


早く薬効いて楽になりたい

辛いの取り除いてほしい

夫にとってすごく長い夜だったと思う


どうにもしてあげられない自分が情けなかった


朝 痛い痛いと声を出したので

座薬を入れるため無理やり体勢をかえた

このときまだ普通のパンツにパットだったが、

慌てて、脱がせて紙おむつに履き替えさせた

その間になんとか座薬も入れた

履くタイプなので足を通し、お尻を持ち上げたとき

痛みで辛い声をあげていた

座薬の効きもあまり良くなく

口に薬を入れようとするも、中々口を開けてくれない

半ば強引に口にいれた


少しすると薬が効いて効いてきたようで

眠っている

病院から、点滴の状況の確認が入ったとき

ちゃんと入ってるから大丈夫だけど

痛みがあるから早めに来てほしいとお願いして

電話を切った


その後、いつもなら仕事し始めてたが

この日は夫のそばに座り点滴でしんどいかと

腕を擦った

このとき手足が冷たくなってきていた

ネットで最後について調べてて

夫を見たら、その通りの呼吸になってる

慌てて声をかけるも、数回呼吸をして

夫が呼吸しなくなった


何度も声をかけても息してくれない


看護師さんに呼吸してないと電話し

すぐに行くからと

夫の親にも連絡


夫のスマートウォッチの心拍計がとまってる


看護師が来るまで叫び続けた


看護師が来て、心臓とまってるね

先生に来てもらおうねと言った


このあと先生が来るまでに

看護師さんと夫を布団に寝かせたり、昨晩の様子を

話をした

看護師も痛みとってあげられなくて

ごめんねと。奥さんも頑張ったねと。


先生が来て、死亡確認をした


先生も看護師さんも短いお付き合いなのに

ほんとに親身になってくれて

最後まで家で過ごせたことほんとに良かった


夫はずっと我慢強く、周りに弱みもみせず

最後まで夫らしく逝ってしまいました

よくある、最後の会話もなく

ありがとうの言葉もなく

これも夫らしい。


夫の最後はこれで完結です

読んでいただきありがとうございます


自宅で最後まで過ごせるのであれば

そうさせてあげたい

いい先生と周りの協力があってのことでした

もし、そう願ってる家族がいたら

その思いが叶うこと願ってます

私に取ってはいくら日にちが経っても

忘れられない日々で、願いを叶えられたことは

幸せでしたから