いかなる大河も源流を一筋の流れに遡ることができる
という出だしから始る核兵器開発の顛末の短いエッセイですが
全く知りませんでした
「始まりは、チェコのヨアヒムスタール銀鉱に産するボヘミア装飾ガラスの緑色の原料、ウラニウム元素であった。
アンリ・ベクレルによる1896年のウラニウム放射線の発見が源流となり、放射線と原子核物理学の探究が欧州の各地で始った。美しい緑色ガラスの奥の極微世界に魔力が宿るというのである。研究の流れは勢いを増し、やがてウラニウム核兵器開発の本流となって、半世紀後の広島の街に凄惨な地獄絵を現出させることを、まだ誰も見通せなかった。」「銀河の片隅で 科学夜話」 の 中の「シラード博士と死の連鎖分裂」より
その後1933年ロンドンの街角。信号を待っていたハンガリーからの亡命者レオ・シラードに、連鎖核反応のアイデアが降りてきて
10年後、彼はアメリカの政府の潤沢な資金で作られた秘密の実験炉でイタリア人亡命物理学者の同僚と実験を繰り返すこととなった
急がされたのと、良心の呵責を眠らせたのは、欧州唯一のウラニウム鉱山がヒトラーの手に落ちたから
そして科学者シラードは何故兵器としての核を構想したかというと
「核兵器のあまりの強力さが戦争を不可能にする」という信念による、と続く
しかしそこに至る過程で広島、長崎という途轍もない犠牲が。
そしてその教訓を生かせず、今不安定な世界
「ウラニウム放射線発見の源流から120年、われわれはその最後の帰結をいまだに目にしていない。人類が原子核エネルギーを支配するのか、あるいはそれに支配されるのか、大河の流れつく大海原はいまだに見えてこない。」
と結んでいる
現在およそ1万2700発の核弾頭が地球上にあるとのこと
*核に限らない、いろんな分野の理系のエッセイ、吾輩になかなか難しかったです
「俺はもう死ぬから地球を道連れに」
と核のボタンを押してしまうやつが
一人もいないということが奇跡に思えます
そして
今のAI開発、シンギュラリティの予測など聞くにつけて
この核開発の轍を踏みそうで恐いです
制御できないものを開発してしまうということ
核×AI
でどうなっていくのか
誰も見通せない未来だけれど引き返すこと、中止することが不可能な科学技術
ポンヌフ、おまえは本読んでるだけか?
ブログネタにしているだけか?
ムーちゃん、柄にもないこと考えちゃったよ ほぼ引用なんだけど
今日も吾輩の猫である