今回から三回に分けて西尾市街の北東、矢作古川のほとりにある八ツ面山(やつおもてやま)とその中腹にある久麻久(くまく)神社を紹介したいと思います。
地図でいうとここ。
八ツ面山は高さの違う二つの山がくっついたような形で、高い方が男山、低い方が女山というジェンダーな名前で呼ばれています。
現在は公園として整備されていて、案内図で見るとこんな感じ。
遠くから見ると高さの違いがよく分かります。
以前は男山の展望台が最高点でしたが、現在は女山に鉄塔が建てられてそちらの方が高くなっています。
なにか、近年の女性の活躍を暗示しているかのようですね(適当)。
まずは女山の駐車場から。
芝生の広場とその奥に遊具が置かれています。小さな子供を連れた親子が何組か見えました。桜の木が植えられているため、春には花見にも良さそうです。
左側に写っているのが先ほど触れた鉄塔で、正式には「愛知県高度情報通信ネットワーク 八ツ面山中継所」といいます。
平時および災害時に県と市町村、消防の通信を確保するためのネットワークの中継無線局で、高さは56mとのこと。
女山から男山へ向かうと、道路脇に「雲母坑址」と書かれた看板があり、脇道を進むと明治まで採掘が行われていた雲母(うんも。きらら、とも言う)の採掘跡を見ることができます。
古くは川を挟んで向かいの岡ノ山(現在道の駅がある)や、その他近くの山でも雲母が採れたようです。
金網で覆われた中に雲母坑跡が数本残されているが立ち入りはできない。
手前の銀色の金網から、下の採掘坑内部をのぞけます。
こんな感じ。金網越しな上に暗くてよくわからないですね。
雲母とはあまり馴染みがない鉱物かもしれませんが、車のパール系塗料によく使われます。
色名の「○○マイカ」のマイカが雲母のことです。
僕が他の場所で見た雲母は、乳白色で鈍く光る薄片のようなものでした。
この日ちょっと周りを探してみたけど見つからず。
また看板にもある通り忠臣蔵で有名な吉良氏はこの辺りで興り、現在でも近くに吉良町がありますが、その「きら」の名も雲母の別名きららから採ったらしい。
最近問題になっているいわゆるキラキラネームの文字通りのオリジンもここにあると言えるかもしれません。
まぁ「うんも」氏よりは「きら」氏の方がずっといいですね…。
うんも君、なんて小学校で苦労するのが目に見えている。
字面も吉に良、なんて縁起のいい感じにしてるし。
…ここまで書いて、ひょっとして本当に「うんもさん」がいたら申し訳ないと思って検索してみたら、なんと雲母さんは実在の名字のようです。
ただし、読みは「きらら」。良かった。
難読かつ希少姓でご苦労もあるかと思いますが、素晴らしくブリリアントなお名前ですので大切になさって下さい。
ただ仮にイカツいオッサンでも会社とかで「きらら」って呼ばれるかと思うとちょっとアレですが。
という事で吉良氏と雲母氏のご先祖の卓見が分かったところで、男山へ続きます。