赤い袖先
2021年11月〜22年1月までMBCにて放送。視聴率が低迷していた(今も低迷気味だけど…)MBCを救った救世主のような作品と言われています。
史劇というと、最近は実在しない人物が主人公のフュージョンものが多い中、実在の人物であり、朝鮮王朝で最も波乱万丈な人生を歩んだと言われ、本国人気も非常に高い”イ・サン”を主人公としている時点でかなりチャレンジングでした。
「フュージョン史劇とはスタンスが明確に違う」と監督が語っておられる点からも覚悟のほどが伺えますよね
ドラマ化構想から撮影開始に至るまで3年以上かかったそうです。
視聴率は初回5.7%からスタートし、最終話は17.4%まで上昇。
全16話予定のところ、好評につき1話延長となったのは有名ですね。
『赤い袖先』と同クールには、チョン・ジヒョン&チョ・ジフンの『智異山』、イ・ヨンエの『調査官ク・ギョンイ』、ソン・ヘギョの『今別れの途中です』というラインナップだったので、スター俳優が存在しない史劇ということでチョン・ジイン監督は視聴率的には厳しい戦いになると思ってらしたそうです。
蓋を開けたらこの作品の一人勝ちでした!
改めて、韓国の人たちのドラマや映画を見る目はニュートラルであり作品の面白さと演者の実力を評価するのだな、と思える出来事ですよね。もちろん、視聴率的には恵まれない良作もたくさんありますが。
2021年は時代劇がたくさん放送されましたが、その中で話題性と完成度において間違いなくNo.1の作品と言えると思います。過去10年を遡ってもNo.1という評価も少なくありません。
イ・サン(東宮、のちの朝鮮第22代王 正祖): イ・ジュノ
父親はあの米櫃事件で殺された思悼世子(サドセジャ)
祖父は父の殺害を命じた張本人の第21代王である英祖
歴代王の中で最もセクシー、と評されたジュノ演じるサンは必見です。
祖父への畏怖、ドクイムへの愛、聖君であろうと自分を律する姿、即位後に見せるカリスマ性など全てが最高。
第58回百想の最優秀男性演技賞を受賞した際、「物語を最後まで自分の力で引っ張り、自分の限界を超えて演技している」と評されたそうですが、まさにその通りだと思いました。
チマを上げて笑顔で走るドクイムの姿が本当に愛らしい。
側室になってからの寂しさのある美しい姿も印象的でした。
英祖(第21代朝鮮王 イ・サンの祖父、トンイの息子):イ・ドクファ
母親の身分が低かったためか強い劣等感を持って生きている人物。
自身が王に即位した過程で様々な出来事があったためとにかく疑り深い人物。
このドラマにおいては、英祖とサンの対決も見どころです。
イ・ドクファさんの怒る姿と柔和なおじいさん姿の演じ分けが凄い!
ホン・ドンノ(サンに幼い頃から仕える侍講院の兼司書):カン・フン
端正な顔と爽やかな笑顔の裏に冷たい内面を隠した野心家。
サンの即位=自ら権力を得る、と考えている。
ドクイムに嫉妬し、2人は度々ぶつかる。
野心家でいやな奴を上手に演じておられました。
サンの気持ちに気づくのが遅いよ(涙)
ドクイムの宮女仲間たち
ボギョン、ギョンヒ、ヨンヒ、ドクイムの4人組の活躍はこの物語の核となります。
可愛く、聡明な4人組です!
※全員ちゃんと記述したいけど私の気力が…。後日追記しようと思います。
ソ尚宮:チャン・ヒジン
ドクイムの教育係であり母のような存在。
サンがドクイムを愛していることに気づき、複雑な心境に…
愛すべきキャラクターとはこの方とのこと。
特にコミカルに、時には情けなく、たまにカリスマ性を発揮して宮中で生き抜く姿を見事に表現されていました。
惠嬪(へビン)ホン氏: カン・マルグム
イ・サンの母であり、思悼世子(サドセジャ)の妻
思悼世子が狂っていく様子をただ見ていただけで何もできなった事を深く後悔しており、
愛する息子サンだけは必ず無事に王位に就かせるべく脅威となるものなどを排除すべく裏で動ている。
ひたすらに息子の無事な即位を願う母の姿を好演されていました。
思悼世子の悲惨な死後、息子を守るために強くなったのだろうと想像できます。
ファワン翁主とのやり取りの際に大きな声で笑うシーンがありますが、すごく印象に残っています。
中殿キム氏(英祖の継妻):チャン・ヒジン
控えめで物静か。しかし常に政局を冷静に見つめている侮れない人物。
英祖の寵愛を受けている。
英祖の娘であるファワン翁主※(オンジュ)に大きい顔をされていて飾り物的な自分の立場に不満を感じている側面もある。
チャン・ヒジンさん、上品で美しく、時に怖く…
中殿役にぴったりの方でした。
感想
魅力的な主人公達の生き様にぐいぐいと引き込まれていき、あっという間に見終り、当分の間放心状態でした。
ボキャブラリーが無くて申し訳ないのですが、、、
とにかく面白いから字幕の17話バージョンでみんな観て!!
恋愛だけではない、政局だけではない、自分の人生を行きたいと願う女性達の物語でもあります。
「王は女官を愛した、女官は王を愛したのか?」についてですが、
ドクイムはずっとサンを愛していた、と私は思っています。
<しろここが思うこのドラマのみどころ>
● ベストセラー小説『袖先赤いクットン』の世界観をもとにした登場人物達が生き生きと描かれた素晴らしい脚本
重く重厚なシーン、明るいシーンなどでは同じ場所でもわざと撮り方や照明を変えたり、と美術監督の創意工夫も相当なものだったとのこと。
● サンとドクイム、サンと英祖、サンとホン・ドンノ、サンと大妃、サンと母、ドクイムと女官仲間、など書き出せばきりがないほど登場人物同士の関係が面白く描かれているのですが、
それは俳優さん達がそれぞれのキャラクターを見事に演じきっていたからだと思います。
● ジュノ演じるイ・サンが素晴らしいです。父を祖父に殺され周囲は敵ばかりの中、まるで氷の上を歩いているかのような状況の中、神経をすり減らしながらも聖君になる事を誓って精進を怠らない世孫を見事に体現していました。
前世は世孫だったかい?というくらい韓服がお似合い。
● ジュノ演じるサンとイ・セヨンさん演じるドクイムが本当にお似合い。思い返しても2人の全てのシーンが良いのです。
ロマンスにおけるジュノの素晴らしい演技は相手役のセヨンさんが引き出してくれたところも多いんじゃないかな、と。
素晴らしい脚本、生かして昇華させる演出、演じきる役者、全てが揃って良い作品になる、と感じさせてくれたドラマです。
「役作りにおいて様々なアプローチを試みるが、登場人物皆が集まって初めて自分のキャラクターが光を放つ。やっていくうちに自分の役が固まっていくのを感じる」とジュノがインタビューで答えていたそうですが、『赤い袖先』を見ると、この言葉の通りだな、と思いました。
私の中のNo.1史劇だった『太陽を抱く月』を超えてきた作品です。
カリスマ溢れる王を演じきった俳優と言えばキム・スヒョンでしたが、今はジュノが1番、2番がスヒョナです。
最後に、
好きなシーンの画像を集めようとMBC公式ページを覗きましたが、
このドラマは無駄なシーンなど一つも無くどれも印象深いので選べませんでしたのでほんの一部だけ。
全てが思い出に残っているサン&ドクイム
さみしげでセクシーでカリスマ溢れるサン
一番好きなシーン
障子を隔てた読み聞かせからの、サンの覚悟の涙&サンを守ると決意するドクイム
英祖とサンの歪な関係が全面に出ている対決シーン
ドラマの世界を飛び出してもこんなにお似合いな2人です
大好きなシーンだけをちょっと見たい、という時はYoutubuにある楽天vikiチャンネルを見ています
余談:
今は昔と違い、日本にDVDで購入する方は繰り返し見たいドラマのファンや俳優のファンですよね。
なので、できるだけ韓国でのポスターデザインの世界間を忠実に表現した方が良いと思うのです。
『赤い袖先』の世界にピンクの花びらはいらんです(涙)
U-Nextが1話を途中でぶつ切にしていたのも本当に残念でした。。。
全17話で見せるべきだったと思います。
各話のエンディングもドラマの中で重要な役割を果たすので、話数を増やしてレンタル金額で稼ぎたいがためのあのような方法は作品への冒涜だと感じました。
もう1度じっくり楽天vikiで楽しみたいと思います。
そして、小説を堪能しなくては。