nao⊿sakamiti46さんからのリクエストです。

話の都合上、cpは秘密で…






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白石side






「おっはよー」






何気ない1日の始まり。


今日は何の収録だっけ、と眠たい頭を振りながら考える。






「まいちゃん」


「おっ、さゆりちゃん」






可愛らしく私を呼ぶ声にいつものテンションで応じようとした、その時。






「……どうしたの?」






さゆりちゃんの神妙な面持ちと、他のメンバーの困惑した目線に気づく。




何かしたっけ。


それとも何か忘れてるのかな。


考えても考えても何も思いつかない。






「まいちゃん、あれ」


「あれ?」






スッと指されたテーブル。


広い楽屋の隅に置かれたそれに乗る黒くて細長い箱。






「なにこれ」






近寄って見てみると、箱の脇にはご丁寧に便箋までついている。






「白石麻衣様へ……私宛てだ」






問題なのは差出人の名前がないこと。


…………ドッキリ?




私の後ろでうろうろしているさゆりちゃんを見たら、必死な顔でぶんぶん首を振られた。


どうもさゆりちゃんが仕掛けた訳ではないらしい。




とりあえず開けてみないことには何も分からないもんね…。


ふーっと深呼吸。




よし、開けるぞ。










「あー!やっぱ無理!」


「なんでや!」


「怖いもん!」


「早よ開ーけーて!」






さゆりちゃんに睨まれたのでさっさと開けます。






「うぅ……えいっ」






フタを弾き飛ばすように開けて、ちょっと後ずさる。






「「えっ?」」






これは驚いた。






「お酒、だね」


「お酒、やな」


「どういうこと?」


「いやー、分からん」


「どうしよ…」


「毒でも入ってたりしてな?」


「ええ!?」


「冗談やって」






それにしても、一体誰が用意したんだろ。


楽屋に入れる人なんて限られてる。


メンバー、マネージャー、スタッフ。


多分そのくらい。






「……あっ、裏にも書いてある」






"今度一緒に飲んでくれませんか"






うん、これで用意した人の目的は分かった。


でも誰が……。


そういえばこの字、






「スタンバイお願いします!」






「まいちゃん、とりあえず行こっか」


「…そうだね」




















んー、今日も頑張った。


楽屋のソファでぼけーっとしてれば、どんどん人がいなくなっていく。






あ、思い出した。


プレゼントされたお酒。


手紙の字。


私の考えが正しければ。






「しーさん」


「…」


「しーさん?」


「どわっ!?ビックリした」


「何それ」






危ない危ない。


ソファから滑り落ちるとこだった。






「そこの手帳取って」


「これ?」


「そう」


「はい……あ、ごめん」






黒い革製の手帳を飛鳥に渡そうとしたその時。


はらりと挟んであった紙が落ちた。






「あっ!」


「これ…」






見覚えのある紙。


あの便箋と一緒だ。






「違う、違うの」


「やっぱりね」


「え…」






あの字は飛鳥の字だ。


お酒といえば思い当たることもあるし。






「私が誘わないからか」


「な、何言って」


「ごめんごめん」






目を白黒させて慌てる飛鳥の頭をくしゃっと撫でる。






「今日、家おいでよ。1人じゃ飲みきれない量のお酒もらったんだ」


「いいの?」


「うん、20歳になったでしょ?」






意地っ張りな飛鳥は多分認めてくれないだろうけど。


察してあげるのが年上の役目だから。






「しょうがないなぁ、付き合ってあげるよ」


「ありがと」






可愛い可愛い妹のためなら許してあげよっか。