最近、虐待のニュース等で取り上げられ、福祉施設はより一層世間から厳しい目で見られるようになりました。
施設によって様々ですが、私の施設では17時間労働で休憩無しでした。出勤というより、出頭という重い気分で現場入りします。60人を二人で見ます。当然ナースコールは重なり、とても一人に時間をかけている余裕はありません。全力疾走しても事故は避けられない時は避けられません。少人数体制が国で定められているので、これ以上の対応は出来ません。
ある者は嫌がらせでコールを押し、ある者は退屈だから。ある者は認知症で理由もなく。
決まった時間内までに全ての人の更衣、排泄、整容を終わらせないといけない中、便や尿失禁者が幾人も出るとかなりの時間ロスで、焦りもありイライラもします。そんな中、用事も無くナースコールを頻繁に押されると、極限まで疲れ睡眠も取れていない職員の頭はおかしくなっており、中には強い口調で注意してしまう職員もいます。
衝動的に虐待に出てもおかしくない環境なんです。介護の現場とは、世間が想像できない程凄まじい物です。
コールに対応しきれず、高齢者が転倒などの、やむを得ない事故を起こしていたとしても、御家族には「訴える!職員の名前をFacebookやTwitterに拡散してやる!」と怒鳴り込まれ、頭を抱える職員も居ます。

まず誤解しないで貰いたいのが、ニュースに出ている様な虐待職員は極一部であるという事。様々な施設、職員をみて来ましたが、基本的には皆よく気付く、心のある優しい人ばかりです。
むしろ、守秘義務により公になる事はありませんが、高齢者による暴言、暴力、新人虐め、セクハラは日常的に起こっており、圧倒的に多いです。仕事だから、という理由で職員は誰からも守られません。現場で泣く女性もよく見かけます。泣き寝入りしかありません。
ただでさえ長時間、重労働、低賃金でモチベーションも上がらない。長年勤めても昇進や昇給しないので、満足感を得る事の出来ないストレスが大きい事も特徴です。
更に、祝日も無く、休日も少ない。
疲労だけではなく、世間が休みムードの中、お盆、正月にも変わらず出勤で、季節感や人間らしさを感じる事が出来ず、どんどんネガティヴになります。
慢性的な少人数体制のせいで有給も使えません。本当に報われない仕事なのです。何も良い事ないです。
世間の目は厳しく「よくそんな汚い仕事出来るね、私には絶対無理」「何も取り柄のない底辺の人間(お前)が行き着く底辺の仕事だ」と言う人が多いですし、私自身も自覚しています。
ならそんな仕事しなければ?と思われますが、全員がやりたくないと言ってやらないと、介護士は0になります。無責任な事は言えるが、結局困るのは後々の自分自身です。

この様に、介護の現場は虐待が起こって当然な環境です。
とは言え、虐待はしてはいけない事ですが、何が原因で虐待が起こってしまうのか。これは一施設、一個人の問題では決してありません。社会全体の問題、責任だと思います。
皆の税金を使い、軽費で入所し、物品やサービスを利用しているにも関わらず、質ばかりを求めても何も解決する訳がありません。
問題は何処にあるのかをまず考えましょう。