みなさんは「恐怖のダイヤル117」という話を知っていますか? ふつう117は時報だけど、深夜の2時ぴったりに117にかけると地獄の音が聞こえるという噂です。

 

 ある日の夜、姉はよっぱらってアパートに帰ってきました。時計を見ると深夜の2時です。姉は「恐怖のダイヤル117」を思い出しました。酔った勢いもあり、姉は受話器を取って117に電話をかけたのです。ジジ・・ゴゴ・・、なにか時報ではない変な音が聞こえます。ジジ・・ゴゴ・・「この家の下にいる女のことを話してやれ」 確かにそう聞こえました。姉はこわくなって電話を切りました。

 酔ったせいかと思い直して、姉は風呂に入ることにしました。風呂のふたを開けると、湯船に頭のようなものが浮いています。ふわっとした髪の毛、水の下でニヤッと笑う口・・・。姉はあわててふたを閉め、近所に住む友人の家に駆け込みました。

 友人はしっかりものでしたから、姉を連れてアパートに戻り、風呂のふたを開けました。・・・・何もありません。水もきれいです。「あなた、よっぱらって夢でも見たんじゃないの?」 そう言ってふと見ると風呂場の横のトイレのふたの間から髪の毛のようなものがはみ出しています。ふたを開けると、あの女の頭がそこにありました。にたぁと笑って何か言おうとしています。友人はあわててトイレの水を流しました。その頭は水と一緒にズルズル、ぐにゃぁと変形して穴の中に吸い込まれていきました。

 結局、姉はそのアパートから引っ越しました。そのアパートの床下から何者かに殺された女の死体が発見されたのは、それから1か月もたったころでした。