その日、学校が終わって、いつものように家に帰った。玄関のドアを開け「おかあさ~ん、ただいま。」と叫ぶ。2階から「はあ~い」と声がした。2階に上がると誰もいない。・・・おかしいな・・・。すると、今度は裏口のドアが開く音がして「しゅんすけ、帰ってるの~?」と声がする。「うん、今帰ったとこ。」そう言って下に行くと、やっぱり誰もいない。

 

 「おかあさ~ん。どこ~?」

 今度は洗面所の方から「はあ~い」と声がした。

 洗面所にも誰もいなかったので、風呂場をのぞいてみた。

 「おかあさん?」

 

 すぐうしろから「はあ~い」と声がしたが、ぼくは振り向くことができなかった。なぜって、それは母の声ではなかったからだ・・・・・。