いつも忘れ物をする私達は、

忘れ物もなく、


暑くて、


一休みしてた。



新緑がみずみずしく、

何度も行っているキャンプ場なのに季節毎の表情で違って見える景色の中で

4月までの狂おしく忙しかった生活から暫し解放され、


真新しい結婚指輪がぎこちなく光る。







生野菜を好むM君が私がよく作るサラダを真似て盛り付けて食べる。


それからずっと、

2人座って少しの会話と、目の前に広がる景色と小川の音を聞いて、


やっと長い冬を終え、

「隣にいるのがお互い不思議だね」


まだ苗字でしか呼べないわたしは、もう何年も一緒に居たかのような2人の合う呼吸で、同じスピードで過ぎてく日常と非日常に、



幸せを感じた。


ただ座ってるだけなのに飽きなかった。


彼は結構気が強く負けず嫌いで、

できない事があると、ムキになり出来るまで少し不機嫌になりながらも、出来るまでやり込むタイプなのも、


もうなんとなくわかっていて、私と似てるねと思った。


私は私で、目の前にある木が何なのか知りたくて気がすまなくてアプリを取って調べていた。



きっとこういう気持ちを、親は、最初の子には、見いだせなくて、潰してしまう。


良くなって欲しくて未熟な父と母は、自分達の良いと思ったことや、理想や価値観を、無意識に押し付けてしまい、

いい子を作り上げようと、


私にはした。

それにずっと応えようとしたことが、応えるしかない生き方からやっと解放された時、


母との関係や、蟠りの絡まる糸を解くきっかけとなった。


「私の言うことをきかないから失敗したのよ」

「あなたはなぜできない?いつまでもダメな子で、

お母さんが居なければ何も出来ないでしょう?」



その感じはモラハラに似ていた。


まとわりつく固定観念が外れた時、


母はやっと安心して私の何かから離れることが出来た。


探究心が戻ってくる、

私のやりたいことが、

大切な人と毎日こんなふうに自由にできるまで、



本当に時間がかかり、

いつしか私も自立して、


1人で歩き出そうとした時に、M君に出会えたことは、


思い切って離婚、『母が好きそうな人』

と離婚することにより、本当に愛する人2人で歩き出す私の人生に変えること、出来た。


それはきっと母は知らない。

けど、それでいい。


母の中で、「優しくていい子だったのよ」

その言葉に凝縮された、変換されたのは、本当の私をやっと母も思い出しただけで、


それを母に伝える必要はなかった。


なかなか焼けないホルモンは、

もどかしくて私達には合わず、やっぱりそれぞれなにか好きな物を作ったりする方が合っていて、


ソロデュオキャンプはちょうど良かった。

そしていつも月は明るく、


やはり今日も満月の前の日だった。

たまたまキャンセルが出て取れたキャンプ場。


フォトウェディングをしたい場所。


星座をM君に教えて、興味深く聞く彼はやはり少し幼くて、


でもいつも一生懸命私から知識を吸収し応用するのが、本当に一緒に居て心地よく、


どうしてもっと早く会えなかったんだろうね、


思わずそう彼に言った。


出身もいたところも違う私たちが、別れと出会いを繰り返し、


昨日拾った、母に渡した石のように研磨されて、

同じ海にたどり着いた、




母の手に渡る翡翠のような石。


いつまでも探していた私たちを見て母は笑って、持ち帰った。

きっとそれを瓶かなにかにアレンジして綺麗に飾るんだろうなと、


思った。


隣にいる家族の両親は、きっと私たちより若く、

それでもきちんと教育や楽しみを子供らに与えていた。


教育………。


自分一人で生きていくことが出来るだけで、健康で居れるだけでいいと、

誰もが生まれてきた時思う。


それすらも叶わない子も今の世の中には沢山いる中で、


夢を持てないなど贅沢なだけで、



自分でいつか気づく。


勿体ないから起きているわたし。








最後までお付き合い下さり大変ありがとうございます。