【2024.05.20 】

 

  4月末に乳がんの可能性はほぼ間違いはないと告知され

 

次回の来院は家族と一緒に来てくださいと言われていたので

 

自分が乳癌に罹患して、これからは今までの生活とは違った生活を送ることに

 

なるだろうことは予想できた.

 

それでも どんな生活を送ることになるのか?闘病生活というものが

 

どういうもので自分の気持ちがどう変化していくのかは想像がつかなかった.

 

 担当医の先生は素朴で優しい語り口の先生で、この先生にお願いしたいと思えたのは

 

わたしが聞いたくだらないと思える質問にも真摯に答えてくれること.

 

そして何より患者であるわたしの目を見てしっかりと病状を説明してくれたことだった.

 

自分では冷静に受け止めているつもりでも、

 

やはりガンの告知を受けたばかりで動揺していないはずはない.

 

最後に何か質問ありますか?と聞かれた時に 咄嗟に出た質問が

 

『あの、仕事をしながら治療は受けられますか?』だった.

 

担当医からすれば、いやそれを僕に聞かれてもねぇーなんとも言えないなーというのが

 

本音だろうけど 先生の対応は泣けてくるほど優しかった.

 

『できれば休職して体を治すことに専念した方がいいと思いますよ.

 

うーん、化学療法の副作用は人それぞれだし、軽いという人、

 

仕事をしながら治療をしている人もいるけれど

 

体への負担は否めないから、まずは自分の体を大切にすることが何よりも大切です』

 

先生の応対を聞きながら なんてくだらない質問をしてしまったんだと後悔した.

 

自分の体より仕事の方が大切なのか? いや、違う.

 

子供達の教育費を稼ぐために始めた仕事なので やりがいがある仕事でもなければ

 

私でなければできない仕事でもない.

 

別にお金の心配さえなければ

 

治療に専念するために仕事を辞めてもいいといえばいいはずだ.

 

それなのに、どうしてそこまで仕事にこだわる?

 

きっと 自分の中での本当の恐怖は 50歳過ぎてガンに罹患した私って

 

世の中からは存在価値がないと思われてしまうのかもしれない.

 

それが何よりも怖かった.わたしが戻れる場所がなくなるかもしれないという不安.

 

そして何より ダブルワークをして家族をサポートして頑張っている自分は

 

体は酷使していたかもしれないけど、心は満たされていたと思いこんでいたから

 

なかなか自分の置かれている立場、状況を把握することが難しかったのかもしれない.

 

一度全て 捨ててみる.

 

今まで 後生大事に持っている今の価値観、自分が正しいと思ってやってきたことへの

 

執着を捨ててみたら 少しは気が楽になるのかもしれない.

 

頭では理解できても 行動ができないから 強制終了がかかってしまったのかもしれない.

 

日々抜け落ちていく髪の毛を ゴミ箱に捨てながら

 

今まで執着していたことを 一つ一つ手放していくことが

 

今のわたしには必要なのかもしれない.

 

今日のお薦めの一冊

 

心に響いた名言; 執着心を捨てて 真理を会得する.

菜根譚    洪 自誠

 

今日も 左胸にあるしこりからのメッセージに気づけた日になった.