1919(大正8)年、「佐竹本山十六歌仙絵巻」は、そのままでは余りにも高価なため、買い手がつかないという事実に、思い切って歌仙ごとに切断して売ることとなりました。

 この切断は、当代一の茶人と目された益田鈍翁が中心となって行われ、三十六歌仙を各々所有し、今年で100年が経ちました。

 

 この絵巻切断の話は別の本で知って、興味があったので、この展覧会も観たくて観たくて!

 そして思いがけず福井さんのコンサートと時期が被る…名古屋から京都に移動して、観てきました。

 

 史上最多、31作品を集結したものの、私がみたのは前期26作品。

 5点展示替えがあったもののうち、近くの美術館が所蔵するものは観たことがあったので、まだ幸いでした。

 

 100年、ずっと同じ所有者が大切にしてきたものが住友(泉屋博古館)と、野村美術館のもの。

 ほかの作品たちも、それぞれの所有者が凝った表装を施し、大切にされていました。

 

 さて。展示を観てまず思ったのが「実物の力」でした。

 和紙に細い筆で描かれた歌仙たちの生き生きとした表情、特に眼が繊細。単眼鏡を駆使してみつめました。

 

 加えて流麗な筆文字、連綿の美しさ。いいなあ、こんな風に書けたら。

 

 旅の記事にも書いた通り、夕刻には空いてきたため、心行くまで眺めることができました。

 

 また、同時に十二単の実物、桧扇などの小物も観ることができ、古都京都の典雅な午後となりました。

 

 写真は分厚い「図録」。

 3,000円でしたが、出品作品が見開きで大きく観られるようになっているし、即買いでした。