一昨晩は遅くまでお酒を呑んできました
メンバーの中には、久しぶりの方もいらしてとっても懐かしく楽しい時間を過ごしました
快く送り出してくれた夫にも感謝です
さて、
今日こそは家族の母の話を投稿しようと思っていたのですが、
昨日読んだ本がとても素晴らしくて感動してしまい、どうしても紹介したくてたまらなくなったのでここで紹介させてください📖
3.11の時、飼い主と離ればなれになった犬たちの中から殺処分対象になった犬たちを引き取り、セラピードッグとして生まれかわった犬たちと大木さんの物語です。
図書館で借りた本だったのですが、
児童書のコーナーに表紙をこちらに向けて置いてある写真の犬(ムサシ)の理知的で深く静かな優しさが詰まったまなざしに惹かれ、吸い込まれるように借りました。
児童でも読めるように易しい言葉で書かれた大木さんの文章には、犬たちへの温かで深い愛情がいっぱい感じられて心が優しくなれます。
被災地に残され、それまで幸せに暮らしていたであろう犬たちが突然帰る家を失い、
食べるものもない放射能に汚染された山や街の中をさ迷い、明日の命の保証もない環境で、
いつしか人のぬくもりを忘れ野犬化してしまった犬たち、
戻らぬ飼い主の帰宅を被災した家の前で待ち続け衰弱していく犬たち、
除せん作業のバスに人がいるのを見つけ、飼い主かもしれないと追いかけてくる犬たち…に、
大木さんは心の中で何度も謝罪し、温かく抱きしめ自分の保護施設へ連れて戻りました。
『どれだけ、つらかったんだ。どれだけ、たいへんだったんだ。すまなかったね。こんな思いをさせてしまって。おまえたちにはなんの罪もないのに』
『もう大丈夫だ。さあ、うちへおいで。もうこわい思いはさせやしないからね』
『よく、がんばってきたね』
『おまえはだれにも負けない強さをもっているんだよ。だから、がんばってこられたんだよ』
そんな風に大木さんが笑顔で、ほめてあげると
犬は安心した表情を見せて大木さんの目をじっと見つめたそうです。
『さあ、行こう』
『がんばろうじゃないか』
そんなふうに、あいさつしたい気分になったそうです。
『がんばって、いっしょに幸せになろう』
そう、声をかけたそうです。
その後は、福島のボランティアの方々の協力で一頭一頭の除せん作業、シャンプー、トリミングをし、大木さんの東京の保護施設に連れて帰り、そこからまず、人間との信頼関係を取り戻すため愛情を惜しまず与え、彼らの心が癒された頃に、セラピードッグとしてのトレーニングが始まりました。
そこでも、片足を失ったムサシだけ、他の13頭の犬のペースに付いていく事が出来ず、また他の犬たちもムサシを気遣いムサシに合わせようとしますが、大木さんは「マイペースでいこう。ムサシをみるな!」と敢えて言いました。
すると、みんなの心の中の応援にこたえるように、ムサシは一生懸命に歩き「ぼくはできるよ!」と言わんばかりに付いていったそうです。
そんな姿にみんなも勇気や元気をもらったそうです。
トレーニングにはご褒美として空腹感を利用するような「おやつ」を与えず、人間が笑顔で「ほめる」という方法をとられたそうですが、食べものでつるのではなく愛情を交換することで喜び合えるその方法は、とてもいいなぁと思いました。
(ものでしかやり取りできないと、ものが無ければ何もしない関係が出来上がりますが、愛情で繋がった信頼関係があればいわずもがな…ですからね)
悪い事をしたら罰を与えるのではなく、真剣に毅然とした態度で、短い言葉でメリハリをつけて、分かりやすく注意する、という事も大事なことだなぁと感じました。
(いつまでもぐじぐじと嫌な気分を引きづらせるということは、力の弱い方の場合は特にとてもダメージを与えます)
また、トレーニングの終わらせ方は、できなかった事で終わらせず、できることを1つか2つやらせて「よくやった」と褒め、犬自身に『できる』と満足感を与えて自信をつけさせる、という方法も、とっても犬にとって幸せなことだと思いました。
(どんな些細なことでも、1つでも褒めて終わらせてもらえると最後の嬉しかった印象が強く残り、次もがんばれる原動力になります)
大木さんのトレーニングを読み、個性を大事にしながら、その子の適性にあわせてコミュニケーションを深める事の大切さを教えられました。
そして何より、これは人間の子育てと同じではないか…(私は育てていませんが)と強く感じました。
というのも、大木さんの言葉1つ1つが、
幼い頃の自分が欲しかった言葉、そのものだったからです。
こんな言葉を毎日、親からかけてもらえたらどんなに嬉しかっただろう…と感じずにはいられませんでした。
そして被災地で犬たちにかけられた大木さんの言葉は、大人になった私に寄り添い温かく慰めてくれる言葉のように感じて涙が溢れました。
大人になった私たちが、心の中のもう一人の幼い自分にこんな言葉をかけ続ける事ができればきっと癒されますし、明日への生きる力になりますね。
今の日本には、こんな言葉をかけてほしい人がきっとたくさんいると思います。
さて、トレーニングが完了した犬たちはその後、福島へ里帰りします。
避難所や仮設住宅を訪れ、被災された方々のぽっかりとあいてしまった穴を犬たちは癒しました。
「おかえりなさい」
「まぁ、こんなに立派になって。たいへんだったでしょうに」
頭を撫でたり話しかけたり抱きしめたり、
たくましく生きる犬の姿に涙する人、わがことのように元気になった姿を喜んでくれる人がいました。
「がんばってますね、さすが福島の犬です」
と大木さんがいうと、おばあさんは誇らしげに犬の頭を撫でてくれました。
「つらい体験をしたけれど、あなたたちががんばっているのを見たら、少し元気がでてきました。ありがとう。」
「毎日がれきを見て悲しい思いをしていましたが、犬のあたたかさにすっかり癒されました」
「おばあちゃんもがんばるから、またきてね」
悲惨な光景を目にし、心が折れそうな時の支えとなってくれるのは、無償の愛情ではないでしょうか。
セラピードッグは子どものような素直な心と優れた判断力、不思議な力で元気付ける能力をもっているそうです。
彼らの愛情はどんなときでも誰にでも、まっすぐに相手のこころに注がれるのです。
「また、お会いしましょう」
「はい、まってますよ」
みなさん次にセラピードッグに会えるのを楽しみにしてくれるそうです。
ささやかですが、またセラピードッグに会える、ということが生きる支えとなってくれることを大木さんは信じています。
『多くの被災犬たちが、ふたたび被災地に立ち、みなさんのお役に立てる日がくるまでがんばろうじゃないか』
『くよくよしてる時間なんてない。さあ、いこう!』
『さあ、がんばろう!』
この犬たちが一緒なら、私もやっていける!
福島の海を見ながら、そう語りかけた所で本は終ります。
大木さんの優しい言葉と生きものと向き合う真剣な思い、人間が出来ること 、人生を豊かに生きることは一体どういうことなのか…
人としてかけがえのない、大切なことをたくさん大木さんと犬たちの姿から教えていただける本でした。
どうぞ、大木さん長生きしてくださいね。
私も微力ながら募金させていただきます。
いつまでも応援しています。
素晴らしい活動と本を教えてくださり、ありがとうございました。
いのちをつなぐ セラピードッグをめざす被災地の犬たち (ノンフィクション・生きるチカラ)
今日も皆さんの素敵な願いが叶いますように