日本は、世界の 40 %もの薬を消費していて、その量は、 アメリカに次いで第2位。 一人当たりに換算すれば、日本がダントツ1位です。 その日本の中で最も消費されている薬が降圧剤で、1兆円を超える市場規模だそうです。

 

今回は、やはり「世界で一番、日本人が消費している薬」であり、

 

また、日本で「徹底的なまでに」処方されている「ベンゾジアゼピン系

 

と呼ばれる向精神薬についてお話します。


下のグラフは、ベンゾジアゼピン系の国別の「 1000人あたりの消費量」のグラフです。
 

1位はベルギーとなっていますが、グラフ中に記しましたように、

 

このグラフでは、日本で最も重複処方されているベンゾジアゼピン系

 

「デパス」という薬が含まれていませんので、事実上、日本は1位だと思われます。

 

また、「処方の実数」ですと、

 

ベルギーの人口が約1千1百万人であるのと比較して、

 

日本は約1億3千万人となりますので、

 

日本での消費量の実数はベルギーの 10倍はありそうです。

 

意外だったのは、薬大国のアメリカとか、最近、メンタルヘルスの病気が

 

クローズアップされることの多い韓国での処方量がかなり少ないことです。

 

いずれにしても、消費量の実数としては、

 

日本は比較できる国がないほどダントツの「メンタル病国家」だと言えます。

 

ともかく日本では、 1000人中 50人以上にベンゾジアゼピン系が処方されている。

 

この5%を日本の人口に当てはめると、結構とんでもない数になることがわかります。


ところで、「ベンゾジアゼピン系」という言葉を使うとわかりにくいかと思いますが、

 

睡眠薬抗不安剤では、最もポピュラーなもので、多分、成人の方でしたら、

 

5人に1人とかの割合で、「人生で一度は処方されたことがある」と

 

思われるほど一般的な精神薬です。

 

種類としては、大きく、

 

・抗不安薬(不安障害、パニック障害の他、あらゆる科で処方)

 

・睡眠薬(不眠に処方)

 

とわけられていて、たとえば、ベンゾジアゼピンの一覧 - Wikipedia には、

 

おびただしい種類のベンゾジアゼピン系の薬の名称が載せられていますが、

 

ソラナックスデパスメイラックスなど、精神科や心療内科だけではなく、

 

内科、外科、あるいは、耳鼻咽喉科をはじめ、どこかで処方されていたこと

 

のある薬名が多いと思われます。

 

場合によっては、「肩こり」を訴えて病院に来た人に出される場合さえあります。

 

これは、ベンゾジアゼピン系に、筋肉の緊張を和らげる作用があるからですが、

 

そのくらい気軽に処方されている。

 

神経内科医だけではなく、どの科の医者も気軽に出します。

 

そして、日本の特徴として、「尋常ではなく長期間服用している人が多い」

 

ことが挙げられます。

 

サイト検索中に「精神科の「薬」をやめたら「病気」が治った!」というブログを

 

見かけたのですが、このブログの作者の方は、

 

僕は、このベンゾジアゼピン系の薬を13年間(676週間)以上も、 毎日、1日もかかすことなく飲み続けていました。 いつでもやめられると思っていました。 しかし、薬を止める、断薬は大変なものでした。

 

と書かれていますが、このような可能性の人が、

 

日本には数百万人規模でいる可能性があるのです。


なお、他の国では、このベンゾジアゼピン系は、日本のように気軽に

 

処方されないですし、まして、長期間に渡って処方することは禁じられています。

 

ベンゾジアゼピン薬物乱用 - Wikipedia によりますと、

 

欧米の主要国のガイドラインを見ますと、

 

2週間から4週間以上の処方は禁じられていて、処方自体にも慎重です。


そのような薬が、日本では「肩こり」にまで処方されています。

 

たとえば、私が服用していたメンドンという薬を「おくすり110番」で

 

調べますと、タイトルには

 

「気分をリラックスさせるお薬です。 不安や緊張感をやわらげたり、寝つきをよくします」とあり、 実際の処方例としては、心身症や不安神経症、パニック障害など 各種の不安障害を中心に(略)。 さらに、筋肉をほぐす作用があるので、緊張型頭痛や頸椎症、腰痛症、 肩こり、けいれん性の病気などに応用されることも多いです。 このように、この系統の薬は副作用が少なく安全性が高いこともあり、 各診療科でいろいろな病気に幅広く使われています。

 

と書かれていて、なんだかやさしい感じで、「何もコワイ感じがしない」し、

 

「想像以上の厳しい離脱症状を示すことがある」ことも想起させないと思います。

 

そのように「気軽に処方され」て、「気軽に飲む」ベンゾジアゼピン系ですが、

 

私や先ほどのブログの方のように、10年、20年と飲み続けるうちに、

 

本格的な依存となっていく。


そして、そのまま離脱症状(禁断症状)のため薬をやめられなくなっていく。

 

人によっては、最終的な断薬のゴールが自死であることは珍しくはないと思います。

 

そして、世の中には、20年、30年などの服用歴になっている人はたくさんいると思われます。


下は3年前の読売新聞からです。
 

抗不安薬依存 深刻に
読売新聞 2012.11.20
医師が漫然処方/使用量 アメリカの6倍 欧米では、治療指針で処方期間を4週間以内とするなど、早くから対策が講じられた。 英国ではベンゾ系薬剤をやめるための専門施設もある。 ところが日本では、多くの精神科医や内科医が「飲み続けても安全」と、 漫然と使い続けた。国連の国際麻薬統制委員会の2010年報告では、 日本はベンゾ系睡眠薬の使用量が突出して多く、 同一人口当たりの使用量は米国の約6倍だ。 10年以上の服用者も多く、常用量依存患者は相当数に上ると見られる。

 

こんなことになっているんですよ。

 

このようなものが、日本では、不眠や「何となく不調な人」なども含めて、

 

全国で何百万人もに処方されているというのは、

 

やはり異常だと最近初めて感じだしました。


私自身が長くベンゾジアゼピン系を飲んでいたので、

 

こんなことが「異常」だということにさえ気づいていなかったのです。

 

しかし、この問題は「処方の気軽さ」と比較すると、

 

その結果は、たとえば、ベンゾジアゼピン依存症 - Wikipedia には、

 

ベンゾジアゼピンへの依存および離脱は、自殺や自傷行為に結びついており、 特に若年層に顕著である。

 

という記述があるように、かなり深刻なものです。


なぜ、こんな状況になってしまっているかというと、

 

現実、今の日本の精神医療には、ほぼ「薬」で治療しかないのが現状で、

 

他の方法を模索していません。


そして、もうひとつは、このベンゾジアゼピン系という薬は、

 

効く

 

のです。


特に、不安障害神経症パニック障害と、呼び名は様々でも、

 

それらと関係する症状に、「最初は」場合によっては劇的に効果があります。

 

私がはじめて神経内科で治療を受けたのは、

 

つまり、ベンゾジアゼピン系の薬を処方されたのは、42歳の時でした。

 

今から約 30年前です。

 

その頃で、うつ病になって「これはもうダメだ。死ぬか他の選択をするか」

 

と考えた末に、近くの神経内科に飛び込んだのです。

 

そして、処方された三環系抗うつ剤とベンゾジアゼピン系のメンドン

 

という薬を飲んで数週間後、生きていることが辛い「うつ状態」と

 

(私の場合はうつ状態は1か月で解消し抗うつ剤による治療は終了したのですが、

 

対人関係による不安や動悸、手に汗をかく、不眠は続きました)

 

あれほど苦しんだ不安感や不眠がウソのように消えてしまって、 


「今までの苦しみは何だったんだ?」

 

というほど劇的に効いたのです。


言い方を変えれば、その人はその瞬間から「薬の精神的奴隷」となっていくのです。

 

そういう意味では「実際に効果がある」ことが「薬をやめることへの不安」に

 

つながっている面はあると思われます。

 

しかし、効果は最初のうちだけで、次第に効かなくなります。


そうなると、どうなるかというと、「薬の量が増えていく」のです。

 

そして、当時は知る由もないですが、このベンゾジアゼピン系も、

 

脳や体に多大な影響を与えます。

 

薬というのは、「望んだ箇所だけに効くのではなく、 体のすべてに影響を与えてしまうものが非常に多い」ことが問題

 

効果の高い」ものほど「体の他の部分への影響も強い」傾向があると思われます。

 

ですので、作用効果の高いベンゾジアゼピン系も他に大きく影響を与え

 

続けているはずですが、最も影響を受けるのが「」です。


精神安定剤や睡眠薬からの離脱を希望する人たち向けに

 

ベンゾジアゼピン離脱専門クリニックを運営していたという方のサイトの

 

ベンゾジアゼピン系薬剤: 体内でどう作用するか」というページには、


ベンゾジアゼピンを止めることに苦労している人なら誰もが、

 

薬は治療効果だけでなく、精神や身体に計り知れない影響を及ぼす

 

ことに気付くことでしょう。

 

ベンゾジアゼピンは、直接的あるいは間接的に、

 

事実上ほとんど全ての脳機能に影響をもたらします。


さらには、

 

正常な注意力、記憶、筋緊張、協調運動、情動反応、内分泌作用、

 

心拍数・血圧のコントロール、その他多くの機能に欠かせないものですが、

 

これら全てがベンゾジアゼピンによって損なわれる可能性があります。


とあります。

 

また、腎臓、結腸、血球、副腎皮質もベンゾジアゼピン系から

 

悪い影響を受ける可能性があることが書かれています。


「薬をやめない限り、どんどんひどくなる」ということも、他の薬と同じで、

 

基本的に「すべての薬」は人間に良くない、ほとんどすべての西洋薬

 

緊急時の対応」以外に関しては、むしろ体の免疫を下げて、

 

体を弱くしている可能性があります。

 

でも、日本の精神科や神経科、心療内科には「薬物療法以外の治療をしている病院は

 

ほとんどないという現実があります。

 

苦しい、死にたい、パニックが起きる、こういう症状に対応している病院に行けば、

 

どこでも処方されるのがベンゾジアゼピン系で、共に抗うつ剤を処方されることもあります。

 

いずれにしても、薬物療法以外の治療法をおこなう病院は大変少ないと思います。

 

in Deepより抜粋---

 

 

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