大きな問題が起きた。

2016年以降、新興の暗号資産エコノミーへのサービス提供に注力してきたシルバーゲート銀行の持ち株会社シルバーゲート・キャピタルは3月9日、銀行業務を縮小すると発表した。そして、スタートアップ企業に対して、同様の役割を長く担ってきたシリコンバレー銀行(SVB)は10日、経営破綻が発表され、預金は米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に移された。

 

簡単に言えば、両行は同じ問題、すなわち昔からある銀行の取り付け騒ぎに見舞われた。両行の顧客は、暗号資産取引所であれ、ハイテクスタートアップであれ、経済・金融情勢の影響もあって、さまざまな経営課題に直面していた。そのため顧客の現金引き出しは増加、銀行の預金は減少し、現金以外の長期保有資産の多くも打撃を受けていた。

 

つまり、現金の需要が高まった(=顧客の引き出しが増えた)ことで、シルバーゲート銀行とシリコンバレー銀行は、その裏付け資産を大きな損失が出ても売却しなければならなかった。シルバーゲート銀行は2022年第4四半期に10億ドルの資産売却損を発表し、シリコンバレー銀行も資産売却で18億ドルの損失を出した。2つのケースで重要なことは、米国債が資産の大きな割合を占めていたことだ。