何者かになりたい 熊代亨
精神科医熊代亨先生の本。2021年6月初版
タイトルからして、承認欲求の内容なんだろうなーと思って読んだがいかに。
以下、自分用にだらだらまとめたので読みにくいです🖋
「何者かになりたい」が、「何者にもなれない」のを「何者問題」と命名してあるのは面白い。
自分って何者でもないな…ってはっきり悟ったのは就活の時だったな。
エントリーシート考えてて、「べつに特筆することなんてない人間だよ」と思ったわ(笑)
この本に、就活や大学のAO入試は不気味だとはっきり書いてくれていて、なんかすっきりしたわ
他人目線に心を奪われるのは危険
世の中には、もっと平凡に生きて幸せに暮らしている人が大勢いる
「何者かになりたい」気持ちをモチベーションにして、技能や経験を積み重ねていく人もいる。
自分自身の技能や人間関係を広げるためのモチベーションとしては貴重
承認欲求や所属欲求は「活かす」方向で
「何者かになりたい」=「アイデンティティを獲得したい」自分とはこういう人間であるというイメージ
アイデンティティの構成要素
まず、今手元にあるものを手放さないこと、今の自分でも持っているものを大切にすること
アイデンティティの構成要素は急いで勇み足で手に入れるものではない(搾取される危険性あり)
自分を狭く想定するよりも、趣味や技能を手広く構えた方がなんらかのものに辿り着きやすい
就職するくらいまでに、アイデンティティを獲得すると考えられていた(モラトリアム)が、現代は遅れている
自分のことよく知って、自分の構成要素をあらかた選び終えてアイデンティティを確立する
子どもの世話や高齢者の世話ともなれば、何者問題で頭がいっぱいの人にはとうていおぼつかないでしょう。
アイデンティティがしっかり確立した人の方がスムーズに子育てに意識軸がうつる…よね…
「毒親のこども」という負のアイデンティティにはあまりこだわらない方がいい
発達障害の人が「自分には何者にもなれない」という悩みを募らせるのはありがちな状況
さしあたり、発達障害に当てはまる人に相応の支援を行っていくことが必要
何者かになれる最後のチャンスー中年の暴走(笑)
たくさん人間関係を築き、多種多彩なアイデンティティの構成要素を持つ方が、健康的
「何者かになりたい」と願わなくなるのは、むしろ自分自身の構成要素が充実した後の中年期や、アイデンティティの喪失とうまくつきあいながら齢を取り続けた老年期の方
悟りの境地を開いた人→移ろいゆくさまざまなものを自分自身の構成要素として集め、それでもって自分はこういう人間だと実感する
いつの間にか手に入ったからまともに意識していないもの…仕事やパートナーや子ども
に感謝する。
願いや悩み、アイデンティティを求めずにはいられないのは人生のスパイスのようなものかな…と思った。
「願った通りの何者か」にはなれなくても「違う何者か」にはなれるし、ならざるを得ない。
…とか考えると「何者か問題」なんてどうでもよく思えてくるほんと
「望んだのとはちょっと違う何者か」になるということ
案外それが、「若者」をやめて「大人」を始めるということ
何者かになりたい自分…
それ、悲壮感もって眺めるんじゃなくて
そんな自分も面白がっていいのかも、と思った
そういう視点を得られる点で読んで良かった本。