[唯一無二(ゆいいつむに)]

という四字熟語があります。


意味は


「(唯一を強めていう語)ただ一つあって、二つとないこと」


では


[唯一無比(ゆいいつむひ)]


という言葉は知ってますか?


誰もが1度は聞いたことあるんじゃないかと思うわけですが、


実はこの言葉、


・・・ないんです。


[唯一]


意味:「ただ一つあること。それ以外にはないこと」


はあります。


[無比]


意味:「他に比べるものがないこと。たぐいなこと。また、そのさま。無類。無双。無二」


もあります。


ただ[唯一無比]は


ありません。


・・・ない。


誰かがどこかで[唯一無二]を[唯一無比]と聞き間違えたことから世間に広く知れ渡った言葉なのではないかと思うけれども、


平成23年の日本、今やすっかり浸透している。


まあ響きも似ているし、意味もだいたい同じだしね、


間違いは見出されずここまできてしまった、というのは十分ありえる。


だけど忘れちゃいけないことは


[無二]と[無比]


やはり意味は違う。


若干の違いと思いきや、以外と、隔たりがある。


ニュアンスってのは大事。


以下、ワシの感じるところのニュアンスをひとりよがりに解説。


[無二]というのは


「全く同じものが二つとない」


ということを言いたい言葉。


[無比]というのは


「違うものでもいいけどこれと比べられるものはない」


ということを言いたい言葉。


[無二]の例文


「無二の親友」


これに[無比]を当てはめても当然ながらしっくりこない。


親友を親友以外のもので言い換えない。


限定した表現。


[無比]の例文


「痛快無比」

「正確無比」


これに[無二]を当てはめても当然ながらしっくりこない。


でも不自然すぎるわけでもない。


感覚的で比喩も可能な表現。


お気づきだろうが[無比]という言葉の意味中に「無二」というのがある。


つまり[無二]は狭義で[無比]は広義


[無二]は[無比]にすっかり含まれている語であると言える。


ね、違うでしょ?


これを使いこなせるようになれば、もっと細かな表現が可能になるはず!


「ないはずの言葉を使うなんて間違っている!」


なんて言うつもりはありません。


新しい言葉をガンガン体得しようじゃないか~。


言いたいことはそれだけです。


みんなが気づいて「これはもうオフィシャルに認定しよう」となった時には


すでに自由自在に使いこなしている、そんな風になりたいだけです。