たまたま以前の日記に掲載したものを改めて

読みやすくというアドバイスがあったので

(1)~(8)を一気に

読みやすいようにまとめてみました。

3/11以降考えることもあり、

本気で自分の生きていく意義なども

考えてまとめたものです。

今改めて読むとこの時点では

まだ「リタとナントカ」はアヌシーノミネートも

SICAF2011ノミネートも決まっておらず、

地震の余波におびえていた頃でした。

今現在はフランス、アヌシーを経験して

現在は文化庁のアニメーター育成事業に

関わっている。

確実に前進していることが

不思議で奇跡的に感じている。

目に見えない力に後押しされているような気にもなる。

回りの関わる人たちが素晴らしく

一人では出来なかったこともクリヤできていく。

感謝です。


いろいろ問題が起こってはいるが

超えられる壁しか設定されていない、

と信じ走りぬくつもりです。

最後の「なにか」が今現在進行中の

自分の「今」です。

「今」自分たちの出来ることを

それぞれがやっていくということでしか

未来はないのではないか?

では・・・。

(ちなみに全部まとめたのでとても長いです。興味のある人のみ読んでください。)


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(1)アニメーション映像業界の問題を考える
2011-04-10 Sun


ちょっとタイトな仕事の最中です。

現在動きながらいろいろ企画を

進めているところです。

今年は早稲田大学川口芸術学校

のほうも専任から

非常勤になり授業のコマ数に

制限があるようで

大きくコマ数も

減るため仕事を増やさないと

いけない状況になります。

そのため今年は自分自身の

方向性も大きく動いていきます。

自分のポジションも

明確にしていく上で

今後の生きる方向を見ていきます。

現在アニメ業界に感じているところ

などを少しまとめようと思う。



第1章<業界の現状認識>

まず、昨年から大きく変わってきたことで

言うとTVアニメのコンテンツに

制作費がほとんど下りなくなってきている状況。

今まではTV局からの制作費が低すぎて

末端までギャラ少ししか回ってこなかった。

最近はTV局も厳しく、放送するから

制作費は自分たちでスポンサーを

みつけてこい、などなど。

世界の多くの国でアニメーターは

日本よりはマシな(?)な生活を手に入れている

(最近どの国も、とはいえ無くなりつつあるが)

のとは対照的に日本のアニメ-ターが

貧乏なのはなぜ?

アニメーションの大学教育

もうまくいっているとは

言いがたい。食っていけない

クリエイターもどんどん生産されている。


そんな中、昨年は

何十年かぶりにTVアニメ業界の只中に

入って「リタとナントカ」という

作品の監督を任された。

なぜ受けようと思ったか?

ボク自身はCMや短編、VPものを

中心にやってきたが

今回は珍しくTVシリーズに

関わった。

そのときに現場で感じたことを

少しまとめることで自分の

方向を整理したいと思う。

(長くなるので続きは明日)





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(2)アニメーション映像業界の問題を考える
2011-04-10 Sun

こんばんはでございます。PONです。


意外と潜在的な読者さんが

いらっしゃって少々恥ずかしいのですが、

ボクが普段から学生に言って

いることですし、

現場からの実証を踏まえて

の体験ですので理解しやすいかと思います。

とはいえ、すべてボクの体験が

ほかの制作で同じかといえば

違うところもあると思います。

ただし周囲の仲間からも同じような

報告はもらっているので

大きくは違っていないと思います。


では今日は2回目です。




第2章<独特な旧態然としたアニメ業界から・・・>

ボクはずっと大学生にアニメーション映像を

教えてきて 卒業後アニメーションが

大好きなのに学生は アニメ業界に

入らない状況をずっと見てきた。

生活できるようになるまでに

時間がかかるし育つ人が

一部の人だから。

ゲームやパチンコなどの映像業界

のほうが給料、福利などがずっと

恵まれているから当然なのだけど。


そんなアニメ業界でも優秀な人材が

入って構造変化が出来ないか考えていた。

ここ20年以上ずっとだ!

同時にアートアニメーションと

商業アニメの壁が

ずっと立ちはだかっているのを

なんとか壊せないものかともがいてきた。

もちろん今まで考える人はいたけど、

実際にそれを実行する人がいなかった。

そんな中、今回「リタとナントカ」、

制作スケジュールがこのままでは

間に合わないという理由と

初めの2本くらいの本編が

本来の絵本の良さも出ていないため、

急遽後半のリリーフ監督として引き受けた。

もう少し細かく言うと、

後半17本は前半9本の監督とは

完全に違う監督として

フランス側に契約改正してもらった。

TVシリーズとしては2人の監督ということだ。

だから前半の「リタとナントカ」と

後半の「リタとナントカ」の世界観の

タッチは違う。後半は極力

絵本のテイストに近づけた。


このような絵本の味を出すような作品は

長編やシリーズをやっているスタッフより

作家的活動をしているものや、

短編に関わっているものの方が

「伝える」ということでは分が

あるように思っている。

ボクは納期の契約は守るから自分が思ったように

やらせてほしいという状況に

持っていく努力はしたが。

もちろん思ったようになどできない中(笑)、

少しでも関わる人たちが納得いくような

結果が出せるように環境を作っていった。

監督のできる権限を

いい作品をつくる前の

モチベーションの高い人選と

やりやすい環境に

焦点を当てることにした。

今回の自分の使命は「質とスケジュール」を

どちらも成立する方法を選んでいる。

東京造形大の学生にはいつも

授業の初日にこのことを

しっかり体験させるような

授業を行っていて

自分でそれをそのまま

実践していくってわけだ。

今までのアニメはカリスマ監督がトップに立ち、

作品に関わるスタッフの力を少しづつ

監督自身ののイメージや想いに

近づけて個性を薄めていく

流れが多かったが、いろいろな個性を

薄めずにとんがったまま メリハリを

つけて楽しんでいけるシリーズなどが

ないかと考えていた。

話数ごとに味の違うテイストが

出来ないものかと考えていた。

そう、自分が昔経験した

「まんが日本昔ばなし」

がまさにそうであった。

それが始まりだった。

まさにさっき5時から

TBSでスペシャルが放送されていた

「まんが日本昔ばなし」です(笑)


(次回に続く)



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(3)アニメーション映像業界の問題を考える
2011-04-12 Tue


超早朝、オハヨウございます。
PONです。
昨日は「まんが日本昔ばなし」
のような作品が
出来ないものか?
というところで終わりました。
そんな考えを踏まえつつ進みます。




第3章<監督になってまず考えたこと>

まず第一にやったことは

「リタとナントカ」の絵本の感動を

どう映像化するかを考えた。

原作の鉛筆のタッチなど独特の

味わいがあるためにたくさんの人が

関われば関わるほど

今までのやり方では統一が難しい。

そのため「リタとナントカ」では

キャラクターの品質維持が出来れば

1本1本独立したものとして

作家が楽しんで出来るシステムに

近いことが出来るのでは

ないかと思い至った。

同時に個人作家や映像クリエイターと

呼ばれる大学生から作家になっていった

才能をどう商業に結びつけるか

ということをずっと腐心していた。

作品を作っていければ食べられなくても

アーティストとして生きていけるではなく、

ビジネスとして自分の創っていくものが

広がってたくさんの人が関われる

商業アニメーションの道が

ないものだろうかと思案していた。

そこで一人にまとまった制作費が

入れば安いTVアニメの制作費も

配分の不平等はなくなり自分の裁量で

やりくり出来る。

動画枚数の制限も自己管理で

裁量を任せる。

1本の中でメリハリを自由に

コントロールできる。

そんな可能性を探るためにも

今まで商業アニメを

やっていなかったクリエイターに

声をかけることにした。

いいアイディアではあったが、

そう簡単なことではなかった。

問題はキャラクターの品質維持だった。

同時にTVシリーズをやっている

作画監督級の人たちにも1本だしを

して部分ではなくトータル1本の

責任者として発注。

若きクリエイターとベテラン

商業アニメーター(作画監督クラス)

との競演と合いまった。

実にわくわくする趣向だった。

17本、どれをとっても

素晴らしいクリエイター、アニメーターが

参加してくれたのだった。

(スタッフを見ていただければどれだけ

すごい人たちだったかわかると思います。)


(次回続く)



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(4)アニメーション映像業界の問題を考える
2011-04-13 Wed

こんにちは、PONです。

そろそろ桜も見納めでしょうか?

今朝も余震があり、

ホントになかなか心休まりません。

仕事もすんなりとは

いかずいろいろなことが

3歩歩いて2歩下がる、

そんな感覚で

心が晴れません。

今はいろいろな準備を

しっかりしていく時期と

当てています。

昨日はやる上で考えたことを

お話しました。

今日はゴール、目標を

どうしたかという話です。

はじめます。









第4章<ゴールの設定>

「リタとナントカ」の監督を

やっていく上において

考えたゴール設定。

これは私なりに自分で

大事にとっておきたくなる

ような商品としての

ポストカードを目指そうと

目標を掲げた。

映像といえども一画面一画面

心にしみこんでくるような

素敵な画面つくりを目指す。

そこが決まると原作では

モノクロにちょい赤の3色の

世界なのだが、フランスからの

細かい設定集(バイブル)があり、

就学時前の子供が対象だったためも

あり色味がないとさびしいと

いうことでアニメでは最小限の

色味をつけることに繋がる。

自身の目分量として一画面に色味が

30%なら白味が70%という

データ数値を決めた。

加えてスケジュール優先の

それまでの現場も

少し違う視点で見てみた。

そして今までと違う制作の

アプローチを試みた。

まず「リタとナントカ」の

旧制作体制について話すと、

1月から9月までの製作本数9本

だったため月1本のペースだった。

*同時平行で進めていたので1本スタート⇒

修正⇒V編まで 5,6ヶ月かけていた。

10月納品で残る17本が手付かずだった。




*実際には1本当たりもっとかかっています。
1~8話までは1~4月INですから9月まで
ですと最短で5~6ヶ月最長で9ヶ月です。
(Sプロデューサー談)

*【旧体制】
監督⇒コンテ⇒演出⇒レイアウト(4~6人)⇒レイアウト演出チェック ⇒レイアウト作監チェック
⇒原画(レイアウトを描いた人が間に合わなければ2原まき)⇒原画演出チェック⇒原画作監チェック
⇒動画(5~7人(もっといるかも))⇒動画チェック⇒色指定
⇒色仕上げ(5~7人(もっといるかも))+制作進行1名+制作デスク+ラインプロデューサー
(実はもっとチェック機関はあり、人ももっと絡んでいます。)

延べ人数これだけ大人数で5分ものをやっていた。

何人も関わっているから

リテイクがでるとなかなか一発で

修正できない。伝言ゲームのように

自分の責任というより誰かの

せいにするから、

一発でなかなか修正完了に

ならなかった。




【私とSプロデューサーの改革案】

途中交代だったため6月から10月納品

のため約5ヶ月で5分作品17本。

基本的に17人の作家(もしくはグループ)に

すべて1本出し。

もちろん作画スキルの高い人を選定。

何よりもトータルでまとめられる人を人選。


*● 監督⇒個人クリエイター発注の場合
個人クリエイターがコンテ、レイアウト作業⇒レイアウトチェック(総作監修正)
⇒原画・動画・仕上げ・撮影(連番出し納品)
すべて 一人5分を受け持つ。(2~3名の助っ人あり)+ラインプロデューサー

*●監督⇒#10以降のグロス発注の場合
コンテ・レイアウト・演出・作画監督・原画(基本一人)
⇒動画(5~7人(もっといるかも))⇒色指定
⇒色仕上げ(5~7人(もっといるかも))+各グロスの制作進行1名+ラインプロデューサー
(レイアウト段階で総作画監督チェックを入れるだけ)



上記の2本立てで望んだ。

要はレイアウトチェックだけ

総作監チェックを入れるということで

一人でトータルまとめることを重視した。

よほどシンプルでコンパクトで効率がいい。

しかも信頼できる作家に

頼んでいるから 質もいいものが

あがるはず。

と、判断して進めたが

当然のことながら17人もの

優秀な人材は簡単には集まらずせめて

コンテ⇒演出⇒作画監督⇒原画

までを個人で出来る方法を

とっていった。利点としては

修正することが一人に

伝われば迅速にすんでいく。

制作費のバラまきが

なくなり集中投下が出来る。

リスクは承知で進めたのですが、

そこはやはり個人作品を

創ることと商品として

「リタとナントカ」を

作り上げていくことは

生半可ではないということを

痛感させられていった。

(次回続く)




PS:プロデューサーから突込みがはいりましたので(笑)
細かく制作体制を正確に訂正しました。*印入れました。


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(5)アニメーション映像業界の問題を考える
2011-04-14 Thu


昨日は制作面での
改革を話しました。
そのままのやり方では
絶対終わらないということが
わかっていたため普通じゃない方法を
とらないと出来なかった。
これが新しい切り口を
見つけることだと思う。
そういうことを
イノベーションというらしい。

イノベーション(innovation)とは、
物事の「新機軸」「新しい切り口」
「新しい捉え方」「新しい活用法」
(を創造する行為)のこと。
新しい技術の発明だけではなく、
新しいアイデアから社会的意義のある
新たな価値を創造し、社会的に大きな
変化をもたらす自発的な人・組織・社会
の幅広い変革である。つまり、
それまでのモノ、仕組みなどに対して、
全く新しい技術や考え方を取り入れて
新たな価値を生み出し、社会的に
大きな変化を起こすことを指す。


という説明がある。
結果として私とSプロデューサーは
こういうことをやったのではないかと
あとになって理解してる。
チャンスがあれば今までと違う
アニメーション制作を
したいと今でも思っている。

ちなみに昨日のアクセスの数は
今までより驚異的に延びました。
たくさんの人がよんでくださって
いることを考えると
いい加減なことはかけないと思っています。
書きながらもし直すべきところは
出来るだけ確かな事実と
情報の元に合わせたいと思っています。
昨日はアニメ業界に興味を持っている
学生などもたくさんいるので
制作工程などで正確に、と
プロデューサーから
突込みがはいりましたので、
修正させていただきました。

前置きが長すぎますね(笑)

でははじめます。
さて、今日は作品と商品の
意味を考えてみよう。
今日はちょっと文章長いです(笑)







第5章<作品と商品の狭間>


昨今のアニメ作品の映像販売などは

日本だけでは厳しい部分を

各国と共同制作ということで

その後の販路戦略も含めて

グローバルに考えていかないと

日本だけで制作していくことが

非常に困難になってきている。

世界の潮流として

ヨーロッパなどは1カ国での

制作はリスクも多く、資金が

集まらないため数カ国で共同制作と

いう方法をとっている。

国際的に世界に営業できないと

ペイできない現状がある。

監督としての「リタとナントカ」の

世界観「白い空間」を生かす

という工夫で上品なポストカードに

まとめるという目標はOK!

でも原作者、フランス制作会社と

のやり取り、クリエイターとのやり取り、

日本の制作関係者その他

すべてのすり合わせには実に

慎重に丁寧に誠実に対応していきました。

この部分はとても大変でした。

フランスからのリテイク分にも

スケジュールを守るというところでの

優先順位を明確にして対応するなどなど。


コンテンツというものは

いろいろな要因が奇跡的にバランスが

取れてうまく成立するものだと

ボクはそう思っています。

作品としても商品としても

成立する微妙なバランスが。




内容面で大事な事として

【放送コード】の存在があります。

これはフランスだけでなく

世界中に販売していくということを

考えるとどうしても必要なことなのです。

日本ではNHKが大体この基準を持っています。

「リタとナントカ」は

就学時前の児童を

対象にしているために

あらゆる危険なことには

すべて対応して事前に作画に

反映しないようにすることが

実はひじょうに困難な作業でした。

例えばイスに立ち上がるだけでNG。

転び方も危険じゃないように、

自転車やカートなど乗り物の

スピードは上げすぎない、etc。

ヨーロッパでは食べることに

ついてもとても慎重で、

合成食品やジャンクフードなどを

安易にキャラクターに食べさせないなど。





さて制作面で「質とスケジュール」を納品までに

成立させるためにすべてのチェックを

簡略化するにはどうするか?

私が入ってからこの部分は

事前に各話のイメージボードと

画コンテを必ずフランス側に

送ってまとめてチェック

(それまでがやっていなかった)。

フランス側とのやり取りでは、

少ない制作期間の中、

時間との戦いで

チェックポイントの精査などや

こちらの演出意図をやり取りすることの

膨大な作業量をプロデューサーと

相談しながら進めていった。

あとで責任の所在をはっきりさせるためにも

びっくりするくらい必要以上にリテイク修正事項を

書き連ねてきました。

もちろん妥当なことも理不尽なことも

数多く混じっているのです。

放送コードなどもこのときにチェック。

このときの放送コードなどの対応は

今考えても実に勉強になったと思います。

何を基準にして何を優先し、

何を拒否するか、全部瞬時に

判断してどんどん文書にして

フランスとやり取りしました。

何しろ時間との戦いだったため

今まで3週間くらいチェックが

かかっていたものを1週間くらい

で返事がもらえないものは

GO!しますと伝えました。

実際返事など待っていては

終わらない状況でした。

それでも直したほうがよいと

思うものはやはり修正していきました。


日本語⇒英語⇒仏語⇒英語⇒日本語

こういう流れでやっていましたので、

誤訳も数知れず!

内容がわかりにくいものも

ある程度想像でカバーしました(笑)




演出的な内容面で言うと、

個人作家クリエイターに

仕事を出すといえども

全部自由にやってもらうわけでなく、

初めにシナリオからわいてくる

イメージをこちらからの意向を

打ち合わせして

ボードにしてもらった。

その各クリエイターの

イメージボードにこちらで

作監修正したものを戻して

その修正レイアウトをベースに

合わせてもらった。

なぜならキャラクターのニュアンスが

統一取れないためボードやレイアウトで

いったんコントロールする。

個人クリエイターにはキャラクターを

出来るだけこちらからの作監修正に

あわせてもらった。

TVシリーズをやっている原画マンたちには

当たり前のことだが実は似ていないことが

常識でレイアウト、原画の段階で

必ず作画監督が修正を入れているので

シリーズとして成立してる。

そこを作画監督をレイアウトまでに押さえ

それ以降を各クリエイターに責任を

移行させたところがポイントだ。

結果として演技を作っていく原画の段階で

作画監督のキャラクターに

あわせることが拘束となって

演技に支障をきたす心配がなく

のびのびと演技に集中してもらえた、と思う。

1本まとめて自分の描いた線やタッチが

そのまま画面になって行くという

権利と責任はモチベーションとして

効果が大きいのだ。

しかも演技を重視するということは

原画、動画までやってしまうということ。

CMや短編などでは一人で全部やって

しまうことが当たり前だったりする。

あまりに原画、動画と書き割り的に進めると

本来の演技が殺されてしまいかねない。

こうして小気味のよいメリハリの利いた

演技に繋がる。

動画枚数などという拘束にも

あまりこだわらずに制作できた。

TVシリーズのアニメーターと

作家アニメーターとの

大きな違いがここである。

ここが演技を重視した

「リタとナントカ」の優位性だった。

もちろん2段構えで実施した、

シリーズ制作に近いラインは

原画以降動画、仕上げとスタッフが

増えてしまうのだが

原画(コンテ、作監、原画)が

動画、仕上げがひとつにまとまった会社で

効率よく連絡を密に進めた。

動画は今までシャーペンのような

細く硬い線を描くのが普通だったが、

今回の「リタとナントカ」では

原画が書くような鉛筆の

かすれなども反映した線を目指してもらった。

その分仕上げのスキャンに

かかる手間はそうとう大変だったと思う。

「絵本のイメージをアニメーションで表現したい」

という強いイメージを

すべてのスタッフが

文句も言わずやってくれたから実現した作品だ。



「質とスケジュール」ということを

考えたときに大事なことは

しっかりと「意思が伝わる」

ということだ。

互いにはっきりとしたイメージや

ビジョンを伝え合う。

当たり前のことだが、

それが出来ていないのが

アニメ制作業界なのだ。

(すべてとは言わない)





クリエイターの話に戻るが、

おそらく作品と考え、ものを

創っていくクリエイターには

キャラクターを近づけるという点が

今までやってきたやり方と

違ってそうとう悩んだと思う。

そこが作家の個性を殺して

制作することになると捉える人も

いるわけなので慎重に話し合って進めた。

創り手には「作品」でもありますが、

キャラクターが重要な部分を

占めているため「商品」でもあります。

始まりの段階で意識してもらうか、

意識しないかでコンテンツと

いうものは大きくぶれてしまうものです。

私がなぜ個人クリエイターに

こだわったかというと、

彼らに望んでいたことは

「構成」と「演技」です。


最近のTVアニメというと

作品にも寄りますが、演技と

呼べないようなストーリーと

レイアウトでつくってしまうような

作品が溢れています。

セリフがなくてもわかるような

キャラクターの個性的な演技のある

アニメーションとして話数ごと

作品として成立するような商品を

目指しました。今までに欠けていた

「演技」ということを見直すという

気持ちからも個人クリエイターに

期待を込めてお願いしたのです。

商業アニメーターは修正など

出ても当たり前のように修正に

応じてある意味うたれ強いです。

クリエイターさんたちは

修正など出た場合、

しっかり説明しないと難しく、

繊細でとても敏感です。

どっちがいいということではなく

バランスと適材適所です。

プロデューサーも私も

出来る限り時間を作り

話す時間をとりました。

出来上がりの状況で

「ああ、今につまっている感じだ。」

と思えばできるだけ

その日の晩、夜遅く

迷惑にも各クリエイターに

伺い電話を入れました。

入れたほうがよい人と

そうでもない人とちゃんと人柄も

見抜いて対応していかないと

いいコンテンツには繋がらないと

いう判断の元コミュニケーション

をとったつもりです。

「ここはいいね。」
「悩んでいるとこありますか?」
「すごくいいですが、少しだけ
修正入れさせていただきました。」
「フランスからリテイクなのですが、
この部分は放送コードで引っかかるので
修正お願い、でもこちらはあなたの
演技でいきましょう。」etc

こうして書いていると、

漫画家と編集者の関係みたいですね(笑)

(次回続く)



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(6)アニメーション映像業界の問題を考える
2011-04-17 Sun
こうして振り返って

「リタとナントカ」の制作

状況を書いていくと

すべての作品に当てはまると

いうことではないということも見えてくる。

作品によって臨機応変も

必要だと思う。

ただ商業アニメ制作部分でも

同時平行で新しいやり方は試して

いることは前回はなしました。

可能性という意味で今回の

体験を次の制作に生かして

いけたらと思っています。

今、私はこうやって書きながら

実際に次の行動には移っています。

今年はできることから

手をつけていきます。

自分の体で実験していきます♪

では第6回目、はじめます。








第6章<システムと人材 >


こうして進めていく中で会社側は

旧態然とした制作体制から抜けられず、

仕組みの中で人を当てはめるのが

今までの業界の流れということで、

あくまでも今までのことを

変えようとしないため非常に厳しかった。

しかしこれはすべてではないが

他の会社も同様な状況が多いらしい。

現行では効率化のために「人」より

「システム」を優先している。

ところが効率化になっていない

ことが問題だと思っている。



「人」が大事だということでまず考えたこと。

今回、出来るだけモチベーションが

あがるようにクリエイターに

やりたいシナリオも選べるように考えた。

ボクは個人個人のやり方や

クリエイティビティを尊重してそれを

高めるために仕組みを

変えるということを試してみた。

それにはリスクをとらないといけないし、

ケースごとに面倒なことも多々あった。

会社側との折衝も厳しいものがあった。

しかしコンテンツをつくるということは

一つ一つ魂を

入れていく作業だと思っている。

何より各話数ごとの作家の魂が

最優先だから今回のことは価値がある。

これからのコンテンツつくりの

基礎となっていくと思う。


つくる人たちを大切にしないと

絶対に本物の「コンテンツ」に

繋がらない。もっと夢のもてる

世界に変えていきたい・・・。

実際「人」を優先で

仕事をしていく中で試したことは

5人のクリエイターを一度に同時に

来訪してもらってそれぞれのシナリオを

自分のスキルに合わせて選択してもらい、

同時に読みあわせ的な

コンテ打ち合わせをやった。

1本1本にみんなからアイディアや

引っかかるところをクリヤしていった。

くしくも5人は若手で

あることもあって、

まるで理想的なゼミをやっている

ような充実感を味わった。

考えて見ると、こういうことが

大学でやりたかったのだが、

今まで一度もこういう理想的な

ゼミは出来なかった。

それは自分に力が無かったから

そういう指導が出来なかったということもある。

結局自分で何かを作っていくと

いう立場に立って、

責任を持ってスケジュールを抑えて、

ちゃんとその日にイメージボードやコンテなどを

提案できる人がプロになっても

残っていける人なのかもしれないと思う。

学生の場合、質を高める努力をするが

スケジュールを守らないということが

どれだけ人に迷惑をかけるかと

いうことがわからない。

社会にでたときに「質とスケジュール」

これはどちらも欠かせないくらい

優劣つけがたい大事なことなのだ。

あまりに画一的なスケジュール管理を

重視する制作のために

「システム」に「人」をはめ込む

ことを要求してしまう。

もっと柔軟な制作システムを

考えていきたいところである。

例えば線撮りをなくす

(コストが2重3重にかかってる)とか

効率的なリテイクだし

(どの部署に出せば1発で直るか)

を考えるとか、

カットを細かく多数の原画マンに

(多少時間与えても少数精鋭が効率的)

出しすぎとかetc

やれば出来るはずなのに慣習で

かわらない・・・。

CMなど短編をやってきていたために

商業アニメ制作の無駄が

気になっていた。

(次回続く)



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(7)アニメーション映像業界の問題を考える
2011-04-19 Tue


今週はだんだん忙しくなってきました。

今日は打ち合わせでした。

それとNプロデューサーといろいろ

国際的なビジネスの話をしてきた。

なかなかビジネスとしてはまだまだ

難しい面はあるものの

確実に日本だけでは

どうにもならないだろうといっていた。

私も同感だ。

ちなみに現在Sプロデューサー、Tプロデューサー、
Hプロデューサー、T’プロデューサー、
Nプロデューサー、Kプロデューサー、
K'プロデューサー、Yプロデューサー、
と交友があり私の情報源としている。
それぞれに個性豊かに貴重な窓口に
なっていただいている。
やはり大事なのは「人」だと思う。



では今日の分、はじめます。








第7章<2Dと3Dの利点>


斉藤Pと相談しながら

「リタとナントカ」を

制作していく面で思ったことは

まず現状アニメ制作体制では

制作面で無駄が多すぎる。

作品の制作権利を獲得できると

いう会社のブランドと

優秀なプロデューサーと監督、

それに個性豊かなブレーンを

数人加えればあとはすべて

アウトソーシングで

やりくりすることが質とスケジュールを

よく出来るのではないかと思ってきている。

実際それに近いことを

今回試していた・・・。

「リタとナントカ」は手描きの

アニメーションなのだが、

今回は3DCG(モーションキャプチャー

ではなく手付けに近いアニメーション)

も1話分5分の1/3くらい試している。(注①)

ロングカットに関しては手描きも

3DCGも全然遜色なく、

UPに関しては手描きでないと

きついが、おおむねアナログ的な

このような作品も3DCGで

いけることがわかった。

今回の最大のキーポイントと

してのリスクはキャラクターが

崩れないようにするということだった。

これを突き詰めると2Dよりは

3DCGで創るほうが合理的で

効率的だということだ。

3DCGの良いところは

技術の蓄積が会社単位、

業界単位で計れるところ。

コンテンツの部品パーツなども

管理整理がしっかりできていれば

いくらでも再利用が可能なのである。

何本もつくるシリーズの

アニメーションなどには

3DCGはもってこいだ。


それに比べて2Dはその度に

新規に作っていく。

シリーズが続いてもどんどん新規で

作っていく非合理さ。

ただし2Dキャラクターは

崩れやすいがその部分が有機的に

生きている感覚を伝えることが有利。

特に日本人は2Dに弱い。

ビジネスとして考えると3DCGだが、

2Dを活かせる企画と3DCGを

活かせる企画の両建てで

いろいろ考えられる。

これからはS3DCG(立体視)ということを視野に

入れるとやはり3DCGが有利。

ただし世界中が3DCGに舵を

切っているために逆に2Dは

希少価値として価値を高めていくだろう。

今回の「リタとナントカ」は

そのような世界の主流の3DCG

ばかりの中、注目を集めたようだった。

2Dの利点は見ている者の

心に届きやすいところが魅力だ。



注①:cgworld.jp日本アニメCGの新たな原動力参照

http://cgworld.jp/feature/review/pencil+3-vol3-2.html



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(8)アニメーション映像業界の問題を考える
2011-04-22 Fri


こんばんは。

仕事もタイトに忙しくなって

ちょっと間が開いてしまいました。

今日は○○プロデューサーと

企画の打ち合わせをしました。

この企画が実現したら

素晴らしいものになると思った!

まだいえませんが(笑)

でも必ず実現しましょうと硬く誓い合いました。

こういう時間はとても

大切です。

やはり「夢」がないと生きていけません。

「夢」は実現するためにあります。

ボクが今仕事をする意義は

好きな人と楽しい時間を共有するためです。

そのための準備がこういう企画を

話したりする時間なのです♪

至福の瞬間です!!


では今日は8回目です。



<システムと教育の問題>

大学で映像を扱う大学が

多くなっているが

どこの大学も見直すべき

時期に来ている。

これは早稲田大学川口芸術学校に

限ったことではなく

現在日本のほぼ全大学での問題でもある。

縦割りが進んで横のつながりが気薄である。

無関心に近いかもしれない。


マンガ、アニメ、ゲームという

ジャンルが分かれているが

実はコンテンツとしては全部繋がっている。

この横のつながりで大きなコンテンツ作りを

仕掛けていかなければならないのに

学部ごとばらばらである。

既得権益に縛られている部分もある。


私自身もアニメーションを教えているが

マンガ、ゲームに関しては

心もとない。


それは現場でもすべてを

またがったタフなプロデューサーが

存在しないためでもある。

残念ながら日本では世界で

交渉できるプロデューサーは

ほとんどいない。

力のあるプロデューサーが

もっと出てくる

土壌が必要。

内容のよしあしがわかって

しかもお金を持ってこられる

プロデューサーが。

お金を持ってこられるということは

どういう流通で映像を展開できるかという

説得力あるプレゼンが出来るか、

ということでもある。

映像自体にも変化が大きい。

世界中でネットが普及して

映像が最近はただで

観るものという意識がある。

DVDも販売不振の中、

われわれはどこに行くのか?

つまり映像を何と結びつけて

どんな展開でビジネスに

つなげられるか、その部分を

考え付いて実行できる人が

必要な人材になっていく。



作品自体を

販売ということ自体が

ビジネスモデルとして

ムリがあると思う。

マーチャンダイジングと

いうことは当たり前として、

その先に何が繋がるか?



これからは映像を作るシステム、

教育などを一緒にして

ビジネスに組み込んでいく

必要があるのではないかと思う。

魅力のある映像コンテンツに

いたるまでの教育と制作システムなら

どこの国も出資したくなると思う。

マンガやアニメの原作を

持っている日本が教育や

システムを売るのだ。


有能なプロデューサーの

育成と同時に、これからの

課題として短編映像を

作っているクリエイターが

中篇などに挑戦でき、

徐々に長編に挑戦できる場が必要。

短編ではビジネスにはなりにくい。

短編作家を集めて編集しなおして

あるパッケージとして

ビジネスという手はあるかもしれない。

でもこれは一部の人にしか

還元できない、おそらく。

しかしたくさんの人が関われる

場としていかないと

ビジネスとしては成立しない。



だから長編を作っていかないと、

と私は考えている。


現在若手の才能ある

クリエイターが毎年数多く

卒業して世の中に出てきている。

しかし現在日本では食べていく

受け皿があまりに貧弱である。

映像制作会社やフリーで

NHK教育の番組に関わるくらいで

なかなか仕事に繋がらない。

日本のコンテンツビジネスが

活発になっていかないと

受け皿的なものも広がっては行かない。

商業アニメ(商品)とアートアニメ(作品)の

両極端でない「場」があると私は考えている。

それは教育と制作システムを

絡めた「なにか」だと思っている。