昨日は制作面での
改革を話しました。
そのままのやり方では
絶対終わらないということが
わかっていたため普通じゃない方法を
とらないと出来なかった。
これが新しい切り口を
見つけることだと思う。
そういうことを
イノベーションというらしい。

イノベーション(innovation)とは、
物事の「新機軸」「新しい切り口」
「新しい捉え方」「新しい活用法」
(を創造する行為)のこと。
新しい技術の発明だけではなく、
新しいアイデアから社会的意義のある
新たな価値を創造し、社会的に大きな
変化をもたらす自発的な人・組織・社会
の幅広い変革である。つまり、
それまでのモノ、仕組みなどに対して、
全く新しい技術や考え方を取り入れて
新たな価値を生み出し、社会的に
大きな変化を起こすことを指す。


という説明がある。
結果として私とSプロデューサーは
こういうことをやったのではないかと
あとになって理解してる。
チャンスがあれば今までと違う
アニメーション制作を
したいと今でも思っている。

ちなみに昨日のアクセスの数は
今までより驚異的に延びました。
たくさんの人がよんでくださって
いることを考えると
いい加減なことはかけないと思っています。
書きながらもし直すべきところは
出来るだけ確かな事実と
情報の元に合わせたいと思っています。
昨日はアニメ業界に興味を持っている
学生などもたくさんいるので
制作工程などで正確に、と
プロデューサーから
突込みがはいりましたので、
修正させていただきました。

前置きが長すぎますね(笑)

でははじめます。
さて、今日は作品と商品の
意味を考えてみよう。
今日はちょっと文章長いです(笑)







第5章<作品と商品の狭間>


昨今のアニメ作品の映像販売などは

日本だけでは厳しい部分を

各国と共同制作ということで

その後の販路戦略も含めて

グローバルに考えていかないと

日本だけで制作していくことが

非常に困難になってきている。

世界の潮流として

ヨーロッパなどは1カ国での

制作はリスクも多く、資金が

集まらないため数カ国で共同制作と

いう方法をとっている。

国際的に世界に営業できないと

ペイできない現状がある。

監督としての「リタとナントカ」の

世界観「白い空間」を生かす

という工夫で上品なポストカードに

まとめるという目標はOK!

でも原作者、フランス制作会社と

のやり取り、クリエイターとのやり取り、

日本の制作関係者その他

すべてのすり合わせには実に

慎重に丁寧に誠実に対応していきました。

この部分はとても大変でした。

フランスからのリテイク分にも

スケジュールを守るというところでの

優先順位を明確にして対応するなどなど。


コンテンツというものは

いろいろな要因が奇跡的にバランスが

取れてうまく成立するものだと

ボクはそう思っています。

作品としても商品としても

成立する微妙なバランスが。




内容面で大事な事として

【放送コード】の存在があります。

これはフランスだけでなく

世界中に販売していくということを

考えるとどうしても必要なことなのです。

日本ではNHKが大体この基準を持っています。

「リタとナントカ」は

就学時前の児童を

対象にしているために

あらゆる危険なことには

すべて対応して事前に作画に

反映しないようにすることが

実はひじょうに困難な作業でした。

例えばイスに立ち上がるだけでNG。

転び方も危険じゃないように、

自転車やカートなど乗り物の

スピードは上げすぎない、etc。

ヨーロッパでは食べることに

ついてもとても慎重で、

合成食品やジャンクフードなどを

安易にキャラクターに食べさせないなど。





さて制作面で「質とスケジュール」を納品までに

成立させるためにすべてのチェックを

簡略化するにはどうするか?

私が入ってからこの部分は

事前に各話のイメージボードと

画コンテを必ずフランス側に

送ってまとめてチェック

(それまでがやっていなかった)。

フランス側とのやり取りでは、

少ない制作期間の中、

時間との戦いで

チェックポイントの精査などや

こちらの演出意図をやり取りすることの

膨大な作業量をプロデューサーと

相談しながら進めていった。

あとで責任の所在をはっきりさせるためにも

びっくりするくらい必要以上にリテイク修正事項を

書き連ねてきました。

もちろん妥当なことも理不尽なことも

数多く混じっているのです。

放送コードなどもこのときにチェック。

このときの放送コードなどの対応は

今考えても実に勉強になったと思います。

何を基準にして何を優先し、

何を拒否するか、全部瞬時に

判断してどんどん文書にして

フランスとやり取りしました。

何しろ時間との戦いだったため

今まで3週間くらいチェックが

かかっていたものを1週間くらい

で返事がもらえないものは

GO!しますと伝えました。

実際返事など待っていては

終わらない状況でした。

それでも直したほうがよいと

思うものはやはり修正していきました。


日本語⇒英語⇒仏語⇒英語⇒日本語

こういう流れでやっていましたので、

誤訳も数知れず!

内容がわかりにくいものも

ある程度想像でカバーしました(笑)




演出的な内容面で言うと、

個人作家クリエイターに

仕事を出すといえども

全部自由にやってもらうわけでなく、

初めにシナリオからわいてくる

イメージをこちらからの意向を

打ち合わせして

ボードにしてもらった。

その各クリエイターの

イメージボードにこちらで

作監修正したものを戻して

その修正レイアウトをベースに

合わせてもらった。

なぜならキャラクターのニュアンスが

統一取れないためボードやレイアウトで

いったんコントロールする。

個人クリエイターにはキャラクターを

出来るだけこちらからの作監修正に

あわせてもらった。

TVシリーズをやっている原画マンたちには

当たり前のことだが実は似ていないことが

常識でレイアウト、原画の段階で

必ず作画監督が修正を入れているので

シリーズとして成立してる。

そこを作画監督をレイアウトまでに押さえ

それ以降を各クリエイターに責任を

移行させたところがポイントだ。

結果として演技を作っていく原画の段階で

作画監督のキャラクターに

あわせることが拘束となって

演技に支障をきたす心配がなく

のびのびと演技に集中してもらえた、と思う。

1本まとめて自分の描いた線やタッチが

そのまま画面になって行くという

権利と責任はモチベーションとして

効果が大きいのだ。

しかも演技を重視するということは

原画、動画までやってしまうということ。

CMや短編などでは一人で全部やって

しまうことが当たり前だったりする。

あまりに原画、動画と書き割り的に進めると

本来の演技が殺されてしまいかねない。

こうして小気味のよいメリハリの利いた

演技に繋がる。

動画枚数などという拘束にも

あまりこだわらずに制作できた。

TVシリーズのアニメーターと

作家アニメーターとの

大きな違いがここである。

ここが演技を重視した

「リタとナントカ」の優位性だった。

もちろん2段構えで実施した、

シリーズ制作に近いラインは

原画以降動画、仕上げとスタッフが

増えてしまうのだが

原画(コンテ、作監、原画)が

動画、仕上げがひとつにまとまった会社で

効率よく連絡を密に進めた。

動画は今までシャーペンのような

細く硬い線を描くのが普通だったが、

今回の「リタとナントカ」では

原画が書くような鉛筆の

かすれなども反映した線を目指してもらった。

その分仕上げのスキャンに

かかる手間はそうとう大変だったと思う。

「絵本のイメージをアニメーションで表現したい」

という強いイメージを

すべてのスタッフが

文句も言わずやってくれたから実現した作品だ。



「質とスケジュール」ということを

考えたときに大事なことは

しっかりと「意思が伝わる」

ということだ。

互いにはっきりとしたイメージや

ビジョンを伝え合う。

当たり前のことだが、

それが出来ていないのが

アニメ制作業界なのだ。

(すべてとは言わない)





クリエイターの話に戻るが、

おそらく作品と考え、ものを

創っていくクリエイターには

キャラクターを近づけるという点が

今までやってきたやり方と

違ってそうとう悩んだと思う。

そこが作家の個性を殺して

制作することになると捉える人も

いるわけなので慎重に話し合って進めた。

創り手には「作品」でもありますが、

キャラクターが重要な部分を

占めているため「商品」でもあります。

始まりの段階で意識してもらうか、

意識しないかでコンテンツと

いうものは大きくぶれてしまうものです。

私がなぜ個人クリエイターに

こだわったかというと、

彼らに望んでいたことは

「構成」と「演技」です。


最近のTVアニメというと

作品にも寄りますが、演技と

呼べないようなストーリーと

レイアウトでつくってしまうような

作品が溢れています。

セリフがなくてもわかるような

キャラクターの個性的な演技のある

アニメーションとして話数ごと

作品として成立するような商品を

目指しました。今までに欠けていた

「演技」ということを見直すという

気持ちからも個人クリエイターに

期待を込めてお願いしたのです。

商業アニメーターは修正など

出ても当たり前のように修正に

応じてある意味うたれ強いです。

クリエイターさんたちは

修正など出た場合、

しっかり説明しないと難しく、

繊細でとても敏感です。

どっちがいいということではなく

バランスと適材適所です。

プロデューサーも私も

出来る限り時間を作り

話す時間をとりました。

出来上がりの状況で

「ああ、今につまっている感じだ。」

と思えばできるだけ

その日の晩、夜遅く

迷惑にも各クリエイターに

伺い電話を入れました。

入れたほうがよい人と

そうでもない人とちゃんと人柄も

見抜いて対応していかないと

いいコンテンツには繋がらないと

いう判断の元コミュニケーション

をとったつもりです。

「ここはいいね。」
「悩んでいるとこありますか?」
「すごくいいですが、少しだけ
修正入れさせていただきました。」
「フランスからリテイクなのですが、
この部分は放送コードで引っかかるので
修正お願い、でもこちらはあなたの
演技でいきましょう。」etc

こうして書いていると、

漫画家と編集者の関係みたいですね(笑)

(次回続く)

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