龍一は運転があまり得意でないと
こまめに休憩を取りながら
目的地に到着した
「お腹空いたかい?」
「いや、まだ大丈夫よ」
「この上に絶景がみえる場所があるんだ。少し歩くよ。」
龍一が左手で私の右手をとった
龍一の指は細くてゴツゴツしているからギュッと握ると痛いので普通につなぎたいけど龍一はいつも指を交差させてパズルのように隙間を埋めて手をつなぐ
山道のゆるい登り坂をしばらく歩いて
あーキツイ、、(笑)
ワオ!
突然、視界が開けて
壮大な山並みが広がっている
「おおー!!」
「綺麗だろう??
葉子を連れて来たかったんだ。
葉子が新緑が好きだって言ってたから。」
龍一が嬉しそうに私の背中から両腕を回す
新緑の力強い美しさが一面に広がっている
龍一は人目も憚らず私を背中から抱きしめて私の肩の上に顎をちょこんと乗せている
まったくもう
龍一の頭を肩に乗せながら眺める壮大な山並みは
とても綺麗で何だか胸がいっぱいになる
後ろを向いて龍一の唇に軽くキスをして笑った
龍一も嬉しそうに笑っている
私達がはたからどう見えようと
もうどうだっていいのだ
龍一は串にささった大きな味噌田楽買ってくれて
歩きながら食べた後
少し休もうと喫茶店に入った
「おや、葉子のカフェラテがないね。」
「本当だ、、」
「あ、ウインナコーヒーがある。これにしなよ。
すいません!ブレンドとウインナコーヒー1つづつ下さい♩」
ウインナコーヒーいらないから
コーヒーゼリーにしようと思ったのに、、
龍一はいつもせっかちだ(笑)
お店の人が伝票を書き終えた
私はいつもお店の人が伝票をどこに置くかじーっと観察している
お店の人は伝票を私と龍一の丁度中間地点に置いた
「風邪も抜けて身体も軽いし
何だか今日は最高の気分だよ。」
龍一はコーヒーをグビっと飲み干して
立ち上がりながら伝票を持つと
軽やかな足取りでレジに向かった
龍一さん、ご機嫌ですな
「財布が空っぽだ。
ATMを見つけないと僕たちランチが食べられない。
葉子のお腹の具合はどうだい?」
「お腹空いたよー!」
「よーし!急いで探そう!」
龍一は私の右手を取ってズンズン歩き出した