先月、大阪をうろちょろしていると、
あちこちでこのポスターを見ました。
バンクシーって誰?展
みんな大好き、バンクシー。
オークションに出れば高額落札されるバンクシー。
小池百合子が写真を撮りに行くバンクシー。
(小池百合子公式ツイッター @ecoyuri)
確かにバンクシーって誰なんでしょうね。
「僕がバンクシーです!」って言いながら、落書きしたら許されるのかな?
僕は「芸術」なるものに疎いので、バンクシーの思想信条はよくわからないし、オークションでの落札金額が妥当なのかどうかもわかりません。
でも、このバンクシー展について、僕はあまり理解できません。
誰が、どんな権利があってバンクシーのアートで金儲けしてるのか。
「バンクシーは誰?展」公式HPによると、展示内容は以下のとおりです。
「本展は、世界各都市を巡回し人気を博した「ジ・アート・オブ・バンクシー展」の傑作群を、日本オリジナルの切り口で紹介する意欲的な展覧会です。プライベート・コレクターの秘蔵作品の展示に加え、活動の主戦場である“ストリート” に焦点を当てた、テレビ局ならではの街並み再現展示で没入空間を体感していただきます。―― それはまるで“映画のセット”。」
この記述によると、展示内容は、
・プライベート・コレクターの秘蔵作品(原作品)
・再現展示(レプリカ)
だそうです。
まあ、美術館でレプリカを展示していること自体は、別に普通のことなんですが、、、
バンクシー自身は、この展覧会に全く関与していない
ということは頭に置いておいた方がいいんじゃないでしょうか。
バンクシー本人とされる公式サイトでは、世界中のバンクシー展について、「FAKE」と題したページで紹介しています。
「本人非公認」の展覧会、モヤモヤしません?
僕は大学で著作権法を専攻しているので、法的な問題はないのか、気になってしまいます。
条文を引いてみましょう。
著作権法45条1項
「美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる。」
45条1項によれば、「美術(又は写真)の原作品は展示してもいい」ということになります。
確かに、本物の作品を買った人が、それを展示できないとすると、なんのために買ったかわからないので、当然だと思われます。
そして、バンクシーのレプリカを展示していいことの根拠は、著作権法46条です。
著作権法46条
「美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」
ストリートアートとして制作されるバンクシーのアートは、まさに、
「屋外の場所に」「恒常的に設置されているもの」にあたると考えられます。
だから、「いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」
わけです。
この「いずれの方法」とは、複製、つまりレプリカを作ることも含まれるので、
バンクシー展の再現展示も法的には問題がないということです。
こういった理由で、バンクシー展は、「本人非公認」であっても、開催が可能になるということです。
ちなみに、このバンクシー展、
「場内撮影OK!」だそうです。
(「バンクシーって誰?展」公式HPhttps://whoisbanksy-osaka.jpより 2022.6.5参照)
これ、主催者側が太っ腹なんではなくて、
主催者に禁止する権利がないだけじゃね!?
というのは、黙っておきましょう。
おそらく僕はバンクシー展を観に行かないので、関係ないですが、
バンクシー展に既に行った人、これから行こうと思っている人が、少しでもこのことを理解しておいてほしいと思います。
その展覧会、バンクシーは関係ない人間がボロ儲けしてるよ。
僕はアートがよくわからないので、詳しい人がいれば教えてほしい。
金になりそうなことには何でもかんでも群がる、その精神までバンクシーは風刺してるんですか?
ちなみに、著作権法46条には
「次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」
とあります。
次に掲げる場合を除き、という中に、
「専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合」(46条4号)
があります。
バンクシー展のグッズのページを見てみましょう。https://whoisbanksy-osaka.jp/goods/
見事に作品のモチーフ部分だけで、「複製」とはいえない程度のグッズばかりです。
主催者は、著作権法をきちんと勉強した人がいるみたいですね!
なんだかよくわからないけど、
気持ち悪りぃ!