クイズでよく聞く「サラリーマン。サラリーの語源は??」
というもの。
正解は塩。
なのですが、その語源はどこから来てるのでしょう。
古代ローマからと言われますが、
古代ローマは広すぎる。。
今から約4000年ほどさかのぼり、幅が2000年ほどあり
いったいそれはいつのことを指すのやら。
古代ローマ軍の兵士に塩を給料として支払っていたというのは
プリニウスの「自然史」という書物の記述が根拠なのですが、
これは解釈の違いだったんじゃないかと指摘されてます。
由来であるラテン語はsalariumという言葉のうち「sal」が塩。
つまり、salariumの意味は塩自体では無く、
塩を購入するための特別手当てを意味したり、
塩田や塩の輸送ルートを守ったりさせるための現金報酬を意味しているのであります。
となると、塩ではない。
とはいえ、塩で支払われていた時期も存在するという。
それは社会混乱と悪質な造幣により貨幣価値が激減した西ローマ末期の頃で、
財政難でもあった為、現物支給が常態化していたのです。
時は遡り
5000年前の給与明細を見てみますと。。。
こちらは、現在のイラクに位置するメソポタミア文明の古代都市ウルク(Uruk)
から発掘されたもので、大英博物館が所蔵する粘土板を写したものがこの写真。
石板に書かれているのはくさび型文字とで、
大英博物館学芸員Irving Finkel氏のよると、
逆三角形の円錐に見えるのがどうやらビールの入ったかめを意味し、
雇用者それぞれにどれだけビールを労働の対価として支給していたかを
表しているのではないか。とのこと。
つまり、この石板は「太古の給与明細」で、
約5000年前から雇用者と労働者の関係が存在していたことを示しており、
労働者は労働の対価として「仕事の後の1杯」を受け取っていたということがわかります。
Ars Technicaによると、このような「ビール賃金」の文化を持っていたのは
メソポタミア文明だけではなく、古代エジプト時代のピラミッドを
建設していた労働者たちにも、1日あたり4~5リットルのビールが
振る舞われていたという記録が残っているとのこと。
中世ヨーロッパにおいても、同様のことは行われていたようで、
2009年に文学研究者のハロルド・ブルームが中世ヨーロッパの
詩人ジェフリー・チョーサーの著作「カンタベリー物語」を
現代語訳したときにまとめたチョーサーの編年史の中には、
1398年にチョーサーが負債を抱えたのに対して、
イングランド王リチャード2世がチョーサーの生涯にわたって
年間約252ガロン(約954リットル)のワインを提供する旨の手紙を
送ったという記述が見られます。
労働の対価がビールだけだと生活がままならないように感じられますが、
当時のビールはデンプンを醸造して作られていたため栄養豊富で、
ビールだけでも食事を兼ねることができたと考えられるとのことです。
現代でも「ビール賃金」の制度は残っており、
2013年にアムステルダムではアルコール依存症患者に
ゴミ拾いの対価としてアルコールを支払うというプログラムも行われたそうです。
毎週金曜日の午後にアルコールを無料提供するテクノロジー企業も
多く存在しているなど、「仕事の後の1杯」がはるか古代から続いている
習慣であることがわかります。