天草にて。
長崎から一番遠いチャンネエと
長崎に一番近いチェンネエに出会った。...

その2つの距離間、車でざっと1時間半。

長崎から一番遠いチェンネエは天草の牛深。
古い話だか、昭和8、9年にイワシの漁獲高で日本一。
23、24年に日本2位となっている。
いやらしい話だが、イワシ長者が多く住む街であった。

中学生の頃、牛深のチームが遠征に来ると、
その保護者の車は、みな一様にクラウンだった記憶がある。
そして、帰りがけに朝獲れたイワシとイワシかりんとうをプレゼントするという
太っ腹なイワシとともに生きる漁師町なのだ。

今回はその牛深での打ち合わせと同時に、
ちゃんぽんにも狙いを定めていた。

恥ずかしながら、ネット検索でちゃんぽん屋を探してみるものの
これといった情報がない。。
鹿児島に近いこともあり、天草におけるチャンポン不毛地帯…?

打ち合わせ後「牛深で一番美味しいチャンポンは?」と訪ねると、
食い気味に返答されたのはここ、ちゃんぽん屋「ながさき」。

創業今年で30年。
店名の通り長崎で修業されたご主人の味を引き継ぐおかみさん。
まずは透明なスープを一口。
本場の長崎に似て甘い。

放送作家・横山龍太はこんなことが気になる。。


元々ハイカラな国だった長崎は、
江戸時代、西洋からの砂糖の窓口になっていた。
それゆえ砂糖が大好きな県民で、いまだもって消費量は全国一。
そんな砂糖が入っているのかと、チャンネエにお伺いしたところ。

「野菜の甘みよ~。特にうちはねタマネギにこだわってて愛媛産を使いよるとよ。
北海道産になるとシャキシャキしすぎてて辛みが出るとよね」。

うむむ。
老舗が長年たどり着いた答えの1つをこんな簡単にぺらぺらしゃべってもいいのか。
という心配もしましたが、こんな匠の技がこの一杯には無数にあるんだろう。

そして長崎の強い豚骨だけじゃなく、鶏ガラでまろやか。
なんじゃこのスープ。こりゃうんまい。
でも、もう質問はするまい。
美味しいものに質問は邪道な気がする。

綺麗な女性に「なんであなたはそんなに綺麗なんですか?」
と質問するような愚かな行為だ。

…でも実はこのセリフは、女性を褒める上で効果的なことであると、
何かの本に書いてあり、
確か3年前の手帳に書いた記憶がある。

そんなセリフをこのちゃんぽんに浴びせながら食べ進んだ。
なんで、あなたはそんなに美味しいのですか。

今年で言うと、富岡の明月、長崎の桃華園と並ぶうまさ。

衝撃。
スープの優しさ。
深み。
旨味。
一体感。
ビジュアル。

このすべてにおいて感動だった。
ご馳走様でした。

そして次に訪れたのは長崎に最も近いちゃんぽん屋。
伝説のちゃんぽん屋・明月から車で5分くらいのところ、
富岡漁港にある櫻殿(さくらでん)。

長崎・茂木行きの海上タクシーの出発時間を待っている間に立ち寄った。
穏やかな海を見ながら、エロ動画の誘惑に負けないよう、
溜まっていたメールの返信をしてちゃんぽんを待つ。

放送作家・横山龍太はこんなことが気になる。。

この後、確実に船が揺れる。
そして、いつも茂木に着くころには、おれは大の字になりぐったりしている。

おれは、今食べたちゃんぽんの利益還元祭をすることになるかもしれない。
そんなリスクを背負いながらも、この港にあるちゃんぽんを食べる。

天草四郎も渡った天草灘。
天草四郎もゲロッパしたことがあったのだろうか。

一揆の指導者が、船酔いでぐったりしてたら、“こいつ信用できねえべ~”
っとなるだろうな。だから何かあったんだろうね。いいやり方が。

そんな天草四郎の足跡を思い浮かべていたら、
天草四郎の足跡を辿りたくなってきた。

…天草四郎アスロン。

天草四郎の足どりを追う競技。
鬼池から島原までスイム5km
島原から茂木まで自転車150km
茂木から富岡までラン30km

どうだろう。
ドSだ。

しかし世界各国から参加者が集まる
佐渡国際トライアスロンと匹敵する大会になるポテンシャルはある。
佐渡はスイム3・8km 自転車190km ラン42km。

茂木から富岡まで橋がかかればの話ですが。。

“食堂”を感じさせるビニールのテーブルクロスの上にちゃんぽんが置かれた。

この窓から見える半島の山頂から毎日水を汲んでいるという天然水がスープ。
やはり長崎に近いこともあり甘くてうまい。

天草も甘いものが多い気がする。
ひょっとして、天草の名前の由来は“甘くてさ~”だったりする?

しねえよ(自分ツッコミ成功)

天然水で作ったコーヒーも美味しいのでまた来てね~。
とチャンネエに言われ、茂木へ向かった。

どれ、ちゃんぽんの本場・長崎よ待ってろ!
また食い散らかしてやるからな。

なんて、いきっていたのですが、
1日目は会議室にこもりっきりのノーチャンポンデーでフィニッシュ。
ううう。食いたい。

富岡港。
時がゆっくり刻まれる空間。
コーヒーだけを飲みにデートに来るのも素敵な過ごし方。
また来よう。