次の日からは本格的に英語の授業が始まった。




学校の3階が教室になっており、マンツーマンでの授業なので細かく教室が区切られていた。
フィリピン人の先生は30人ほど所属していた。




私は初めての授業の時に、フィリピン人の小柄な女性の先生と知り合った。目がくりくりしていてお人形のようだった。



「Hi my name is Rina 」

と言うと、先生は英語でよろしくねと言った。アイリーンという名前で年齢は20歳だった。


私は22歳だったのでとても大人びていたので驚いたが、あまり年齢は関係ないなと思った。




アイリーンは家族を支えるために英語の教師を目指しているようで、私がこの学校で初めて受け持った生徒だと言われた。
基本的にはマンツーマンでの授業だが、リスニングや英会話の授業は複数で行うこともあり、ジュンと2人でアイリーンのそのような授業を受けることになったので、3人でとても仲良くなった。




フィリピンに来て初日と2日目だけで、既に私は様々な人と触れ合い、様々な価値観や夢を聞いてとても良い刺激を受けていた。


皆、自分の素直な気持ちに従って留学生活を楽しんでいた。私が教会で本当はやりたくないことをしながら本音を隠して生きてきたのとは全く違い、どの人も生き生きと人生を楽しんでいた。


アイリーンは英語の教師になって家族ともっと良い暮らしをしたいと言っていた。フィリピン人は家族との絆を大切にしていて沢山親戚と集まったり、よく出かけたりすると教えてくれた。





授業では他にも様々な先生と知り合って仲良くなれた。その当時、2016年の世界ではPPAPが大流行していて私はフィリピン人の先生からその流行を教えてもらって初めて知った。





あなた日本人なのに知らないの?!と言って笑ってI have a pen〜♪と踊って見せてくれた。



そんなこともとても楽しかった。フィリピン人の先生たちは皆優しく、丁寧に英語を教えてくれた。自分はゲイでメイクをすることが好きだと教えてくれる先生もいた。今日は授業をしないでリナと私でメイクアップレッスンをしようという時もあった。



私は閉鎖的で同調を求められる日本の雰囲気より海外の開放的でマイペースな雰囲気を小さい頃から憧れていたが、この時に肌でそれを体験してより海外生活が楽しく感じた。





授業は毎日朝8時に始まり、終わりはいつも夜6時頃で、TOEICコースは毎日夜8時から模擬試験を受けることになっていた。


基本的に平日はそのスケジュールで土日が休みという感じだった。


毎日10時間ほど授業をして、授業の後は2時間のTOEICの模試を受けることはとても大変だったが、なんとか頑張った。教会活動で様々な経験をしていたので精神力は鍛えられていた。



たまに朝寝坊をしてしまうこともあり、よく先生たちに笑われていた。

りなは寝るのが大好きなのねとアイリーンにもよく言われていた。




土日は日本人や韓国人、台湾人たちとボーリングに行ったり、フィリピンバーやクラブに行ったりナイトマーケットに行ったりした。


土日はいつもそのような感じでとても楽しかった。
宗教ではお酒を飲むことも禁止されていたが、この時はもう自由になりたいと思ってお酒を飲むこともしていた。
私は体質的にもあまりお酒が合わずによく酔いすぎて皆に笑われていた。でもそれも楽しかった。今までとは違う自分になれた気がした。







そのような生活がかれこれ2週間ほどあっという間に過ぎた。



TOEICのスコアは模試では順調に伸びていた。また、授業でも先生たちと友達のように仲良くなり、英会話も先生と恋愛話で盛り上がるくらい当たり前に出来るようになっていた。


フィリピンに来てからの2週間でまた新しい自分になれた気がして、私はとても充実していた。






そして新しい生活にも慣れ始めた頃、私の人生を変える体験があった。





〜おわり〜