実は私には一つ違いの妹がいる。

しかし、

今日、

4年前に亡くなっていた事が判明したのだった。


妹は、名古屋から東京に住所を移してから、

何処で何をしているのかが全く分からなかった。


最後に妹を訪ねたのは

14年前で、

部屋に荷造りされたダンボールが積み上げてあった。


引っ越しするのか?と尋ねたら、

いや、これは元カレが置いていった荷物だと、

私には嘘をついた。


その後、部屋を訪ねたら

もぬけの殻になっていたのだ。

携帯番号も変えられていた。


妹は、気のおける

私の父親の弟の叔父には

唯一住所を伝えていた。


10年前に、叔父に、妹の住所を知らないかと電話で尋ねたが、

身内でも探せない、

東京に住所を移した事しか分からないと私に嘘をついた。


妹の電話番号も分からないと言うのだ。



それから、叔父に電話をしたが、

番号が変わっていた。


妹が夢に頻繁に出てくる胸騒ぎで

今日、

現在住んでいるか分からない

叔父の家を訪ねた。

かなり遠いが、

どうしても今日、

訪ねようと心に決めて。



表札が変わっていなかったので

インターホンを押すと

叔父が出てきた。



妹は元気かと尋ねたら、

少し待ってくれと

部屋に入っていった。


暫くすると、叔父は一枚の紙切れを私に渡した。

死体検案書だったのだ。

死因は

縊死だった。





叔父が言うには、妹はアル中になりかけていたらしい。

部屋には、アルコールの缶が散乱していたと。



妹は、二十年以上も前の失恋がきっかけで

鬱病を発症していた。

最後に私に会った日も、

どうしたら元カレは戻ってくるのかと聞いてきた。


分からないと私。


昔の妹は、

実家に居た時から殆ど家には帰らない、

免許を取るために

カラオケ店などを掛け持ちして車校に通った。

一人暮らしも早くに始めた。

それくらいに元気で外交的な性格だった。

が、


彼氏ができるようになると、

全ての中心が彼だった。


友達との付き合いも悪くなり

心配にはなった。


説教する私が疎ましかったのかも知れない。


私とは正反対の性格だからだ。


私には住所を伝えるなと叔父には言っていたのだろう。


いきなり亡くなった事を聞かされた私の身にもなって欲しい。


唯一の兄弟がこの世から居なくなってしまったのだから。


妹の最後の住所は、葛飾区西水だった。

亀有の近くだと叔父は言っていた


30年以上前に、妹と浅草見物に行ったことを思い出した。


きっと、あの旅行は妹の思い出に残っていて、

あの土地を選んだのかな、と

自分の中で勝手な解釈をしてしまった。


そういえば、

妹はhideのファンだった。


あれだけあの時、悲しみに打ちしがれていたのに

同じ事をしている。


残された遺族はどうすればいいのか?


何があっても、自分で命を断つことはならない。


例えどんなに苦しくてもだ。


身内が警察に捜索願いを出せるのは

住所が判明している場合で


分からない場合、

ストーカー規制法の影響などで

身内ですら探せなくなっている


ストーカーのような精神異常者のおかげで


関係無い私のような

身内の安否を心配している者にまで

被害が及んでいるのだ。


こんな制度が無ければ

もっと早く妹を助けられたのかもしれないと。