医療コラム 安楽死と寝たきり老人 現場の経験を書いてみようと思う④ | 外科系集中治療医による新NISAの記録

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そんな私がお送りする、大型連休の医療コラム。「安楽死と寝たきり老人」について。

 

前回の記事はこちら。

 

 

前回は、安楽死DNARについて書いてみた。

 

私自身は「安楽死」について現場で遭遇したことはないと思う。

対して、病気の治療の末、終末期に心肺蘇生を行わないという取り決め、「DNAR」というのは頻繁に遭遇する。

実際問題として、意識のない寝たきり患者は、治療の有無に関わらず、そもそも長期の予後は見込めないことが多い

誤解をおそれずに言えば、わざわざ「安楽死」などせずとも、ほどなくして自然に亡くなっていくのである。

 

そんな中での質問であるが、「寝たきり」についてどのようなイメージを持っているだろうか?

 

実は「寝たきり」という言葉に明確な定義はない。非常に曖昧な言葉である。

 

 

介護保険における要介護認定の際に、参考指標として日常生活自立度(寝たきり度)というのはある。

一口に「寝たきり」といってもその程度は幅広い

本当に1日中ベットで過ごす人もいれば、外出可能な人も存在する。

意識のない人もいるが、問題なくコミュニケーションをとれる人もいる。

 

よく「寝たきり老人 300万人」という言葉を目にするが、これはどういった人々を指しているのだろうか?

(その数字の根拠となりうる出典・データを見つけることができなかったので、ご存知の方がいれば教えてほしい)

 

 

確かに要介護(要支援)認定者は、全国に700万人近くいるようだ。

しかし、これは日常生活をある程度自力で行うことのできる人も含まれている。

最重症である要介護5であっても、自力で食事して歩行できる人もいる。

 

お分かりだろうか。

「寝たきり老人」の幅は広い

病気も違えば、病状の程度も異なっている。

 

「寝たきり老人」と聞いて...

身動きせずに横たわっており、会話もできない。何本も点滴で繋がれていて、ベッドに身体を拘束されている。

その状態で何カ月も、何年も無理やり生かされている...。

そんな状態を頭に思い浮かべるとしたら、それは大きな間違いである

そういったケースもあるのだろうが、それが全てではない。否、むしろ氷山の一角にすぎないのだ。

 

そして、こういった話をするときに、必ず登場するのが「胃ろう」である。

寝たきり患者に胃ろうを作り、不要な延命治療をすることで病院が利益を貪る」という理論もある。

 

これは、どうなのだろうか?

といったところで次回に続く。