投資コラム 日本国債は国民の借金?財政破綻するの? 後編 | 外科系集中治療医による新NISAの記録

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休日の投資コラム、日本国債について。

 

前回までの記事はこちらから。

 

 

 

今回は後編である。

 

巷では日本国債をめぐる様々な意見が飛び交っている。

「もうすぐ財政破綻するぞ」とか「借金は大嘘だ」とか...。

 

この日本国債をめぐる問題について、中編では政府のバランスシート・資産の問題から書いた。

 

政府の財政破綻は資産/負債とは直接的な関係がない

キャッシュフロー、歳入/歳出の問題である。

支払わなけらばならないお金を、しかるべき時までに用意できなければ破綻なのである。

 

確かに資産が多ければ換金して支払いに充てることができるかもしれない。

とはいえ、政府の資産というのは簡単に換金できるものばかりではない。

資産の額が多いからといって、財政破綻しないとは言い切れないのである。

 

そうすると今度はこんな話になってくる。

歳入を増やすために、増税も資産の売却も不要である。

もっと国債を発行すればよい。日本国債は円建てなのだから、自国の通貨をどんどん刷ればよい...と。

 

 

三橋先生はこの問題を語るときにどうしても避けては通れない人だと思う。私自身非常に勉強させてもらった。

問題なのは、この動画が投稿されたのがもう何年も前だということ。

当時とは経済や世界情勢が大きく変わっている。

日進月歩。目まぐるしく変わる世の中。数年前の主張を提示して今を語ってはいけないと思う。

古い情報がいつまでも消えない...いつまでも残り続け、あたかも今現在の常識のように鎮座している。

これはインターネットの悪いところの1つであると思う

 

この動画が撮られた時から一番変わっていること。それは「金利」である。

国債を大量に発行しても財政破綻なんてしない...三橋先生は再三繰り返しているが、しっかり注釈をつけている。

本動画の22分あたりか。金利の上昇は財政破綻のリスクになるとしっかり明言している

当時はマイナス金利真っ只中であったから、さほど問題にならなかった。

けれども今は主要先進国が軒並み利上げしている。そして、当然日本にも利上げ圧力がかかっている。

それ故、マイナス金利は解除された。

解除されたけれども、日銀による国債爆買い(量的緩和)は当面維持されるという、非常に不完全なものとなっている

 

 

前回に引き続き、歳入と歳出のグラフである。

金利が上がるということは、将来の支払いが増えるということ

すなわち歳出の国債費に当たる部分が膨らみ、社会保障費などが圧迫されるということだ。

それが嫌なら歳入を増やさないといけない。税収が期待できないなら、国債を発行しないといけない

いたちごっこ...まさに火の車・自転車操業である。

 

 

全部英語で申し訳ない。いちばんわかりやすい動画だと思ったので紹介させてもらった。

字幕をつけてじっくりと見てほしい。そして吟味してほしい。

 

インフレに対して主要先進国が軒並み利上げをする中、日本がなかなか利上げに踏み切れないのはこのためである。

利上げは財政破綻のトリガーとなるのだ。

 

しかし、日本が低金利であるが故、高金利な海外通貨・債券に円が流れている

結果として記録的なレベルの円安となっている。

原材料・資源を輸入に依存している我が国は、円安による原料高となり、それがインフレをさらに増悪させている。

 

利上げをすると、国債費の増大による財政破綻の可能性→国民への増税

利上げしないと、円安が改善されずにインフレ増悪→国民の実質賃金低下

といったところか...(もちろんこんなに単純ではない。あえて簡単に書いている。)

そういった意味で、本邦はがんじがらめの状態になっているということを、まずはよく理解しておいた方が良い

 

現在行われている量的緩和・低金利を継続することで、確かに財務上は破綻しない。

すなわち、国債費が膨れ上がっても、その分新しく国債を発行してお金を調達すればよいだけなのだから、歳入と歳出はイーブンで維持することができる。

しかし、それでは円安がとまらない。原材料の輸入コストだけが膨れ上がり、賃金上昇を伴わないインフレとなる。

財政は破綻しなくても、国民の生活は破綻してしまう...だから結局破綻なのである

 

 

お分かりであろうか...

借金で財政破綻」派、「日本の借金は大嘘」派のそれぞれの主張は置いておいて...。

国債費が膨れ上がっており、今後私たちがどんどん負担を課せられることになるのは事実のようだ。

否、もうすでにかなりの負担を強いられているのかもしれない。

日本国債が我々の借金であるかどうかは置いておいて、この膨大な債務が我々の負担になることは間違いないようである。

 

 

今回のコラムを終える前に、最後に宿題。

上に書いた理由で日本は利上げできない状態が続いている。

結果円安となり、インフレが進んでいるのだが...

今後、先進主要国が利下げ局面に入るときに、もう一度、再び1ドル110円台の円高に戻るのだろうか?

昔は「有事の円買い」として、安全資産の位置づけにあった我らが円。

また、他国が円を買い戻してくれる日がくるのだろうか?

世界の中で一目置かれる存在として、日本を評価してくれるのだろうか?

 

今の自分にはよくわからない...。

みなさんはどう考えるだろうか?