この上昇トレンドは、もちろん新NISAの影響もあろうが、海外投資家による影響も大きいらしい。
「円安」かつ「日本株高」という絶好の状態。米国・中国・欧州経済も低迷している中、投資しない手はないだろう。
ただ不思議なのは、日本株の好調・海外投資家からの資産の集中化といった流れの中で、「円安」が維持されているということである。
海外資産に投資をするとき、「為替」の話題は避けては通れない。
1ドルいくら?という話である。
たとえば、外国株の評価額は「外国株価×ドル円」となるのだから。
どれだけ米国株が右肩上がりでも、同水準でドル安が進めば円の評価額は変わらない。
反対に、どれだけ米国株が値下がりしても、ドル高が進めば、やはり評価額は変わらないのである。
さて、基本的な話であるが、
1ドル120円が130円に変わることを、ドルが高くなった(ドル高)=円が安くなった(円安)
1ドル120円が110円に変わることを、ドルが安くなった(ドル安)=円が高くなった(円高)
という。
通貨の価値・値段の上下は何で決まるのか?
答えは単純。「どれだけその通貨に人気があるか」である。
ハワイに行きたい、iPhoneが欲しい、COACHのバッグが欲しい...人間の欲望にはきりがない。
そうなると当然米ドルが必要になる。1万円札を差し出しても売ってはくれない。
米国株を買うにも、米国債を買うにも米ドルが必要になる。
魅力的な商品が欲しい、素晴らしいサービスを受けたい。そう思うからその国の通貨を欲しいと思い、値上がりにつながるのである。
もっとも、日本円も人気な通貨である。
日本円は米ドル・ユーロに次いで、世界で3番目に多く取引されている通貨である。
もともと「有事の円買い」という言葉もあった。それだけ価値に定評のある通貨なのだ。
そりゃそうだ。
日本には素晴らしい会社がたくさんある。世界シェアを占めているような化学工業製品もたくさんある。
訪日外国人の数も増えている。今や観光地は外国人だらけ。
日本円は人気に決まっている。
だからこそ解せないのである。
世界経済が下降トレンドに向かっている。
日本株の値段は爆上がり。海外投資家からの資産流入も続いている。まさにブーム。人気の絶頂。
なのになぜ円安なんだ? という話である。
そのあたり、これから考察してみようと思う。