とは言うものの、あまりお月様に興味がない僕からしたら、お月見というよりお妻見だ。
妻を見ながら飲むワイン。
スーパーの特売で買った安いワインだが、お妻見のおかげで一本数万円もの価値に跳ね上がる。
お月見様ではウサギがモチをついているというが、我が家では妻ウサギがブルーチーズを切り分けている。
今年の十五夜は、妻ウサギのおかげで、充実した宴となった。
そんな妻ウサギが今日も、休みの僕の分までお弁当を作ってくれた。
昨晩、近くのスーパーでコロッケが安売りしているのを見つけた妻。
「買っていい?」
目をキラキラさせながら、僕に問う。
僕はその目に魅了されながら、首を縦に振った。
そんな妻が一目惚れしたコロッケ。
美味しくない訳がない。
確信を抱きながら、口に運ぶ。
やっぱり美味しい…。
今頃妻も、職場でコロッケを食べているのだろうか。
そう思うと、コロッケすら愛おしくなってくる。
脇を固めるオクラやブロッコリー、トマトといったお野菜たちも、きゅうりや梅干しといったお漬物たちも、全てが愛おしい。
そんな風に思えるのは、妻のおかげだ。
その存在に感謝し、外を見る。
そして想う。
窓ガラス拭かないと…。
妻に感謝し、完食。ごちそうさまでした。
美味しかった。