「一枚の写真が国家を動かすこともある」
すべての人が、 知らなくてはいけない真実だと思います。
日本全国に点在する動物愛護センター。
ここでは、主に飼い主から放棄、 遺棄された犬や猫や、迷い犬、猫などを保護している。
飼育しやすい小型犬の放棄もあとを絶たない。狭い収容スペースを元気に走りまわり、 体全体で喜びを表現しているようだった。
カメラを向けると、 僕に一番近いところに座りこみやがて眠りについた。
保護される動物たちの大半は、 人間と関わりながら過ごしてきた。
しかし「 収容後一週間」 という期限がきれた動物たちは この施設で人知れず最期の時をむかえる。
成犬の場合、 それまで収容されていた部屋から「 ドリームボックス」 へ続く 通称「追い込み通路」 へ犬たちを誘導する。
犬たちは 、 自分たちの脚で「 ドリームボックス」 へ向かうのだ。
モニターの映像は、炭酸ガスを注入される前の犬たちの姿だ。
近年 作業がオートメーション化される傾向にあるが、 装置そのものはコントロ―ルパネルが中心で、 職員の手によりボタンが操作される。
ゴールデンレトリバーやラブラドール・レトリバーの放棄も多い。
人気犬種の過ぎ去った後には、 いつも決まって同じ現象が起きる。
施設の器具や装置のほとんどは、 重く頑丈なステンレス製だ。扉が開閉するたびに大きな金属音が施設内に響きわたる。
不安になり 、 動けなくなる犬。
吠え 続け 暴れだす犬。
驚き 糞尿を排泄する犬。
壮絶な状況が繰り広げられる。
「追い込み通路」 への誘導は 着々と続けられる。
「ドリームボックス」への誘導が終わると、職員は慎重に蓋を閉じる。
そして、、 窒息死をもたらす炭酸ガスが注入される・・・・。
【殺処分完了後の「ドリームボックス」。
装置内の生温かい空気は、動物たちが先ほどまで生きていた事を感じさせる。
写真は、P15のモニターに映っている犬たちの最後の姿だ。】
殺処分専用のプラスチックBOXに移された猫たちは身動きせず僕を見つめ続けた。
そして その数分後、、 殺処分となった。
数匹の子犬が お互いの体を押し付け、 じゃれ合っていた。
後日殺処分され 、 灰になった。
命を絶たれた動物たちは、 焼却路へ運ばれる。
多い時で 50頭以上の犬たちが、 重油などの燃料を使い、 600~900度の高温で3時間かけて焼かれる。
灰は、 産業廃棄物として回収される。
殺処分後に外された首輪。
これをつけていた犬は寂しかったのだろう。
僕が近づくと鳴きやみ、 また離れると吠えていた。
飼い主が直接持ち込みする犬にも、 迷い動物の犬にも多くは首輪がつけられている。
職員の個々の願いを直筆で書いてもらったメッセージボード。
殺処分の実情を痛いほどわかっている彼らの願いは、 「捨てないで!」 一言に尽きるだろう。
取材をした方のお話しです。
ある日の取材・・・。
僕は職員の苦悩と人間としての責任を感じとろうと、 殺処分の作業における
「最期のボタン」 を押させてもらうことにした。
この自分の指でボタンを1回押したのだ。
全てが終わってしまった。
なんとあっけないものなのか。
さっきまで 生きていた犬達が、 死んだ。
「何て ことをしてしまったんだろう、、」。
そのことばかりが、 頭から離れない。
いつも取材のアシスタントをしてくれる妻の目に、 最期のボタンを押した僕の姿はどう映っていたのだろうか。
それが聞けない。
切り出すことすら、、 できない。
行為に対しての後ろめたさが渦巻く感覚。
これこそが、 職員の抱く精神的苦痛なのかもしれない。
目まぐるしく変わりゆく時代の中で、命までも使い捨てるこの日本社会のあり方が、 少しづつ変わっていくことを、 信じていきたい。
画像および 文章の一部は「 DAYS 」 2008年6月号よりお借りしました。
最後に・・・・・
ここで死んでいった仔たちは 動物に落ち度があったわけではないということ。
この過ちは すべて人間側にあるということをわかってもらいたい。
犬は・・・・
人よりも優しく・・・・
人よりも感情深く、 とても賢い生き物だから・・・・
殺される最期の瞬間まで「 怖い 」。 という恐怖を感じていたはず。
ここに書かれている全てのことは、 単に動物が嫌いだからと言って簡単に済ませる問題だとは思いません。
嫌悪感を抱かれる方もおられるでしょう。
でも、 何かを感じていただけたら、、
そして ネット社会の今一人でも多くの人に「 現実 」 を知りそのうえで行動すべきだと、 私は思います。