こちらで紹介されている、尾道市立市民病院の「市民公開講座」ですが、動画が3つ公開されています。
守山先生が「脳脊髄液漏出症の基礎知識」という事で、講演をされています。
その中で、守山先生の論文から一部抜粋して紹介されていた「頭痛分類」については、とても興味深かったです。
通常の分類
1. 硬膜穿刺後頭痛
2. 脳脊髄液瘻性頭痛
3. 突発性低頭蓋内圧性頭痛
守山先生が提言する新たな頭痛分類
Ⅰ 硬膜穿刺後頭痛
Ⅱ 交通事故などの外傷後発症・・・好発年齢 20~50歳台
Ⅲ 突発性低随圧症候群・・・好発年齢 20~40歳台
Ⅳ 起立性調節障害 体位性頻脈症候群(POTS)・・・好発年齢小学生(高学年)~高校生
Ⅳは、Ⅰ~Ⅲとは臨床症状も違い、検査所見も一様ではないので、別に分けた方がいいだろうというお話でした。
「小学生(高学年)~高校生」の年頃の患者さんが、とっても多いという話もされていました。
また一般的な症例では、起立性頭痛や脳MRI、随液圧低下といった所見で非常に分かりやすい特徴があるそうです。
しかし小児の場合は、脳MRI所見や随液圧低下は見られず、脊髄MRI所見は見られるので、慣れている医師なら分かるという事でした。
つまり…「慣れていない医師だと見抜けない可能性がある」という事なんだと思います。
また小児の場合は、倦怠感・疲労感が見られ、睡眠障害で朝起きられない不登校児の中に、脳脊髄液漏出症の方はたくさんいるというお話でした。
ここ数年で新たに分かった事として、椎骨動脈のところ(頭と首の境目あたり)の治療をすると、交通事故で発症した患者さんや、小児の場合は特に治療効果が高いということです。
守山先生は、現在、2方向からのX線透視画像を見ながら、首のところの治療をしているそうですが、このような治療をやっている病院はまだ数える程度しかないそうです。
10年前と最近の治療成績についても触れていました。
10年前は「治癒」が20%程度だったのが、今では約50%超。
「残存症状はあるものの元の生活に戻れている人」と「治癒」を合わせると、10年前は50%程度だったのが、現在は80%程度。
やはり、この10年で劇的な進歩を遂げているようです。
「起立性調節障害の子どもたち」
起立性調節障害についての詳細と、症状だけで脳脊髄液漏出症との判別をするのは非常に難しいと話されていました。
こちらの動画も起立性調節障害と、起立性調節障害と診断されたけれども脳脊髄液漏出症だった子の例なども具体的に紹介されていて、とても勉強になると思います。
「当事者への対応の難しさ ー医師として、父としてー」
脳神経内科の医師の講演ですが、子どもが病気になり、医師という立場から病気の特定をしようとした結果、中途半端に知識があったために古いガイドラインを元に誤った判断をしてしまったり、苦労をしたそうです。
医師という立場から、詳しく分析したりもされていて、とても勉強になる内容だと思います。
起立性調節障害と診断されたお子さんが重症でお困りの方は、これらの動画をぜひご覧になってみてくださいね。
重症でなくても、なかなか治らない場合なども、他の病気の可能性を除外していく事はとても大事なので、参考になさってみてください。