一部、追記しました。(1/28 23:20)


「起立性調節障害の重症」と言われているお子さんのご家族の方へ

私には、中2〜高3まで闘病生活を送っていた息子がいます。(今は寛解して大学生になっています。)
 
息子は既に元気になっていますが、今でも闘病中のお子さんの事が気に掛かり、アメーバブログで闘病中のお子さんの記事を拝見しています。
 
 
 

息子の病気について

息子が中2だった時、ある日突然、登校する事が全くできなくなりました。
微熱が何日も続き、頭痛などの症状もありました。
 
病院で検査をしても異常が見られず「心の問題」にされそうにもなりました。
 
でも、友達も部活も大好きで、学校に行きたがってる息子が「心の問題」を抱えているとは到底思えず、何ヶ所もの病院に行きました。
 
そしてようやく診断がついたのは、「起立性調節障害」のうちの「体位性頻脈症候群(POTS)」でした。
 
ちょうどその頃、息子の症状からネットで調べ、「脳脊髄液減少症」という病名を知りました。
 
「脳脊髄液減少症」は「起立性調節障害」と非常によく似た症状のため、「除外診断」をすべく、専門医宛に紹介状を書いてもらいました。
 
「脳脊髄液減少症」はMRIで分かる場合もあるそうですが、息子の場合は造影剤を使ったMRIでも分からなかったので、入院してRI脳槽シンチグラフィー、CTミエログラフィーという検査をしました。
 
その結果、「脳脊髄液減少症」だという事が分かり、治療を受ける事になりました。
 
 
 

それ、本当に起立性調節障害ですか?!

「起立性調節障害の重症」と言われている子どもの中に、息子と同じように脳脊髄液減少症の子がいるのではないかと心配しています。
 
「起立性調節障害」の場合、夜は元気になるそうですが、息子は元気になるというより、昼間よりは少しはましになる程度でした。
 
「起立性調節障害」の専門医の先生方の間では、あまり知られていないようですが、「体位性頻脈症候群(POTS)」の診断を受けた患者さんが実は「脳脊髄液減少症」だったという事は、よくあるそうです。
 
 
 

脳脊髄液減少症の原因

「脳脊髄液減少症」なんて病名を聞くと、事故に遭った訳でもないし、そんな大変な病気になるなんてあり得ない…と思うかもしれませんが、「尻もち」や「転倒」、あるいは「原因不明」でなってしまう人も意外と多いそうです。
 
実は、息子も「原因不明」です。
もしかすると…ですが、その数ヶ月前に回転遊具から転倒して、首の後ろ辺りをぶつけた事があるので、それが原因なのかもしれませんが、発症当時にはすっかり忘れていた程度の些細な出来事でした。
 
 
 

個人差が非常にある病気

症状にはかなり個人差があり、軽い症状の人から重症の人まで様々です。
 
息子のように急に登校できなくなる場合もあれば、頭痛などの体調不良の回数が徐々に増え、段々と登校できなくなっていったという人もいます。
 
また患者さん一人一人の症状は様々で、主だった症状をご紹介すると…
 
頭痛、めまい、倦怠感、易疲労、耳鳴り、視覚過敏、聴覚過敏、胃腸症状、体温調節異常、思考力低下、集中力低下、などなど…
 
人によって出る症状や程度も異なるため、なかなか病名に辿り着けずにドクターショッピングを繰り返してきた患者さんも多いそうです。
 
主症状と言われてきた頭痛も、まったくない患者さんも1割程度いるそうです。
 
 
 

症状は似ていても、対処法は全く異なる

「起立性調節障害」と「脳脊髄液減少症」は「自律神経症状」などの似たような症状が出ますが、対処法が全く違います。
 
「起立性調節障害」の場合は、少し無理してでも動くように指導されます。
 
しかし「脳脊髄液減少症」の場合は、起き上がってる状態だと(脳脊髄液が下がって脳の周りになくなってしまうため)症状が強くなるそうです。
つまり横になって頭を低くしている状態が一番楽なんだそうです。
 
「起立性調節障害」だと思って頑張って動いても、もしも「脳脊髄液減少症」だった場合には逆効果になってしまいます。
 
 
 

脳脊髄液減少症の専門医

「起立性調節障害」が一向によくならない場合は、「脳脊髄液減少症」という病気の可能性はないか、一度、専門医の元を訪れて検査を検討されるといいかもしれません。
 
といっても、脳脊髄液減少症の専門医は全国的にも少なく、小児が見られるとなると更に限られてしまいます。
 
病気や病院について、広く情報を集めていただきたいと思います。
 
「脳脊髄液減少症・子ども支援チーム」のホームページが参考になると思いますので、ご紹介しておきます。
 

 

 

 

 

専門医とセカンドオピニオン

「脳脊髄液減少症」は、症例数を多く診ている専門医でも、なかなか診断が難しい病気なんだそうです。

一度は脳脊髄液減少症ではないと診断されても、「セカンドオピニオン」で脳脊髄液減少症だと診断された方もいらっしゃるそうです。

また、専門医ではない医師から、検査すらしないで「脳脊髄液減少症ではない」と安易に言われる場合もあるそうですが、見た目から簡単に診断できるような病気ではないので、その言葉は絶対に鵜呑みにしないでくださいね。



検査と治療

息子のおこなった検査は、RI脳槽シンチグラフィー、CTミエログラフィーです。
 
また、ブラッドパッチ(硬膜外自家血注入療法)は、経過を見ながら複数回行いました。
 
検査も治療も、どちらも痛みを伴います。
 
これも個人差がかなりあるようで、大人でも泣いてしまったり、二度とやりたくないという人もいるそうですが、同じ人でもその時によって痛みが違うそうです。
 
痛いと聞いていたけれど「それほどでもなかった」とブログに書かれている方もいらっしゃいました。
 
また最近は、「硬膜外気体注入療法」といった治療法を取り入れている病院もあるそうです。
 
ブラッドパッチは「自家血」つまり「自分の血」を使用しますが、血ではなく「気体を注入する」という治療法なんだそうです。
 


脳脊髄液減少症と起立性調節障害

息子は治療を4回しましたが、漏れが塞がってきた3回目の治療後は倦怠感や易疲労といった症状だけが残っていました。

当時は、2日連続で2コマ程度の授業を受けるのがやっとで、朝から毎日通える体調ではありませんでした。

でも3回も治療をしたのだから、きっと漏れは塞がっていて、あとは起立性調節障害の症状なのだと思い、1年ほど様子を見ました。

しかし残念ながらその後も良くならず、4回目の治療をして、ようやく普通に朝から毎日登校できる体調になりました。

息子の場合は、恐らく脳脊髄液減少症が元で起立性調節障害を合併したんだと思いますが、どちらも自律神経症状が出るため、症状だけで見分ける事は非常に難しいようです。

体位性頻脈症候群(POTS)と脳脊髄液減少症は、類似疾患であると同時に、息子と同じように脳脊髄液減少症からの合併の可能性もあるようです。

そのため、重症であったり、闘病生活が長引く場合には、脳脊髄液減少症の可能性も視野に入れられるといいと思います。
 
 
 

どちらも内部疾患

どちらの病気も内部疾患(頭痛など他人からは分かりにくい症状)のため、家族でも体調不良かどうかを見分けるのは非常に難しいです。
 
「今日は調子が良さそうだね」と声をかけたら、「体調悪いんだけど」と何度、息子に言われたか分かりません。
 
当時、まだ病気についての理解が浅かった私は、息子にかなり無理をさせてしまいました。
 
本人は体調が悪すぎて当時の記憶があまりないようですが、私自身は無理をさせてしまった事を後悔しています。
 
怠けている訳ではないのに、元気そうにすら見えてしまうため、家族からも理解されにくい病気なんだと今なら分かります。
 
お子さんが本当は無理をしていないかどうか、気を付けてみてあげてくださいね。
 
 

 

最後に

起立性調節障害と診断を受けたお子さんの中に、息子と同じように、実は脳脊髄液減少症の子がいるんじゃないかと心配しながら、このブログを続けています。

 

実際に、闘病中のお子さんのブログの内容が気になり、こちらから脳脊髄液減少症の病名をお伝えしたところ、脳脊髄液減少症だったと判明した方が今までに数名いらっしゃいます。

 

お子さんの体調が良さそうに見えても、実は無理して頑張っている可能性はありませんか?


内部疾患は、どうしても周囲からは理解しにくいのですが、お子さんの為に出来るだけ理解してあげてほしいと思います。

 
末筆となりましたが、闘病中のお子さんの体調が良くなるように祈っています。