同時発達バイリンガルにダブルリミテッドは起こりうるか

 

 

この研究と結果は、いまのところ見つけることが出来ていない。

誰か、知っている人があったら、教えてほしい。

今回は、これについて考察してみる。

 

 

ダブルリミテッドの要因は、大きく2つにわけることが出来る。

①環境によるもの

②能力によるもの

 

何らかの障害等により母語が上手く習得できないとき、第2言語を学習すると状況がさらに悪化するという指摘がある。

今回は、このような②の事例については検討をしない。

今回は、①の事例について考えていく。

 

 

アメリカの移民についてのダブルリミテッドの研究をみていくと、家庭環境が悪い・貧困状態にあるなどの理由により、母語の習得が上手く出来ていないと、ダブルリミテッドになりやすいという結果が出ている。母語も英語も上手く出来なくなっている。

しかし家庭環境が安定しているなど母語がスムーズに身についている移民の子供は、その後、スムーズにバイリンガルになっている。

日本からの海外赴任についていった子供の観察事例でも、母語が未熟な低年齢層の方にダブルリミテッドが発生しているようだ。

前回考察した、2言語干渉の観察からも、これは筋の通っている話に思う。

継起発達バイリンガルの場合、母語の重要性に疑問を挟む余地は少ないように感じる。

 

 

一方、同時発達バイリンガルの場合は、どうだろうか。

同時発達バイリンガルでは、下記のようなことが起こっている。

①日本語環境・量・質が、そのまま日本語習得レベルの結果になる

②英語環境・量・質が、そのまま英語習得レベルの結果になる。

この①②をバランスよく続けると、良い状態のバイリンガルになる。同時発達バイリンガルには、母語が2つある。

 

これを前提にすると「仮に日本語(母語)の発達が不十分でも、英語(母語)の発達が阻害されない」と推測できる。

その逆「英語(母語)の発達が不十分でも、日本語(母語)の発達が阻害されない」も成り立つと思う。

 

そうすると同時発達バイリンガルの場合、片方の言語環境・量・質が悪い場合は、その言語を習得することは出来ないが、もう一方の言語環境・量・質が良好であれば、立派なモノリンガルになる、と考えられる。

同時発達バイリンガルは、第2言語教育の研究で挙げられているようなパターンでは、ダブルリミテッドにはならないのではないかと推測している。

何か他のパターンでダブルリミテッドになるケースがあるかもしれないが、いまのところ思いつかない。

 

 

同時発達バイリンガルは、言語に関して深刻な能力不足に陥る危険が、継起発達バイリンガルよりも少ないかもしれない。

同時発達バイリンガルの場合、バイリンガル教育に失敗したときはモノリンガルになり、ダブルリミテッドにはならない。

これは、あくまで仮説だ。

ほんとうにこういう結果になるのかは、わからない。

 

同時発達バイリンガルの研究と蓄積が欲しい。