「同時発達バイリンガル」と「継起発達バイリンガル」について

 

 

①同時発達バイリンガル

毎日の生活を2つの言葉で行っている。同時に2つの言葉に接触することによってバイリンガルになる。

母語が2つある。

②継起発達バイリンガル

ある時期まで日本語だけで生活していたが、ある日突然英語の環境となる。

数年後にバイリンガルとなる。

母語は1つ。

 

 

第二言語教育の研究では「継起発達バイリンガル」の研究が中心になっている。

「同時発達バイリンガル」を扱ったものは、少ない。

このため同時発達バイリンガルには、外国語教育のノウハウがそのまま当てはまらないのでは?という部分もある。

「同時発達バイリンガル」といっても、過去に考察したように、これを大人になるまでずっと続けていくことは、非常に難しい。落としどころを探りながら、いろいろな調整が必要になるはずだ。「母語が2つある」と「高度な母語が2つある」は、難易度のまったく違う話になる。

この先、「同時発達バイリンガル」に対する研究の蓄積が欲しいと思う。

 

 

 

今回は、すこしだけ「同時発達バイリンガル」について報告してみる。

 

「同時発達バイリンガル」型の子供を見ていると、子供は「日本語」と「英語」を、それぞれバラバラに身につけているようにみえる。

日本語環境の状況下で英語のことを聞くと、子供は陸に上がったペンギンのようになってしまう。

バイリンガルと言っても、同時通訳のように日本語と英語の切り替えが出来るわけではない。

日本語環境下では、本当に英語が話せるのか、疑わしいくらいにみえてしまう。

しかし、英語環境下で英語を話すときは、水中のペンギンのようにスムーズに英語を話している。

子供の言語は、「日本語」と「英語」がそれぞれ独立していて「日本語→英語」「英語→日本語」のような関係がない。

 

これは第二言語の感覚(親の持つ感覚)とは、ずいぶん違うようにみえる。

 

 

 

「おまけ」

 

ところで同時通訳は、とてもストレスの大きな仕事と言われている。

「日本語→英語」「英語→日本語」の切り替えには、かなりの訓練が必要になる。

高度に訓練された同時通訳者でも短時間の同時通訳が限界らしい。

 

このように「日本語→英語」「英語→日本語」の切り替えには、とても大きなストレスがかかる。

これを前提にするとバイリンガル教育のときに言われている「1人1言語の原則」は、重要なことがらに思える。

バイリンガル教育は、負荷との戦いという側面がある。

しばしば推奨されている「1人1言語の原則」は、子供のストレスをなるべく取り除くということを意味しているのではないか。