バイリンガル子育ての注意点について

 

 

 

経済学者のアダムスミスは、とても博学な人物だった。

アダムスミスは、すべてのことを知っていた最後の人間といわれている。

しかしこれ以降、社会はどんどんと複雑化・高度化していき、すべてのことを知っている人間は、いなくなった。

 

 

 

赤ちゃんから2歳半くらいまで2つの言葉で話しかけられていると2歳半くらいの子供は、2つの言葉で話すようになる。

このとき2つの言葉の接触量と質が同じで、使い分けがはっきりしている必要がある。

 

「完全なバイリンガル」を作り出そうとした場合、上記の赤ちゃんの観察は、とても参考になる。

バイリンガル研究の本を読んでいくと「英語環境」「日本語環境」を半分づつの状態を、いつまでも続けていると理論上、「完全なバイリンガル」になるという仮説にたどりつく。

今回は、これについて考察していく。

 

 

赤ちゃんから2歳半くらいまでの子供が認識している環境は、それほど複雑ではない。

この頃の赤ちゃんは、母子一体の状態にあると考えられている。

 

このとき2つの言葉の接触量と質が同じで、使い分けがはっきりしている必要がある。

 

これを赤ちゃんから見た状態に置き換えると「お母さんが2人いる」というイメージだ。

この状態を維持することは、可能だと思う。

 

 

 

3歳から5歳くらいまでの子供は、家族くらいの範囲が、認識している環境になる。

 

このとき2つの言葉の接触量と質が同じで、使い分けがはっきりしている必要がある。

 

これを子供から見た状態に置き換えると「家族が2つある」というイメージだ。

このあたりが、この条件を維持できる限界だと思う。

しかし、これは危険をともなう状態でもある。

現実では、家族のほかにも、保育園や幼稚園という環境が存在する。

(私は、通園をかなり控えるようにした。子供を観察していると、子供にかかっている負担がとても大きいようにみえたからだ。)

 

 

小学生以上になると、子供が認識していく環境は、友人関係にまでに広がっていく。

ここで冒頭のアダムスミスを引用すれば、このあたりから「英語環境」「日本語環境」、ふたつの環境のすべてを知ることは不可能になる。

「英語環境」「日本語環境」のふたつの環境をすべて知る。これを具体的に置き換えると「日本の小学校に通いながら、アメリカの小学校に通う。」「日本人の友達と遊びながら、アメリカ人の友達と遊ぶ。」ということになる。

ここまでくると1日24時間をフル活用しても不可能だ。

もしも、この状態と同じ情報量を脳にインプットしたら、子供はすぐにパンクすると思う。

 

 

 

まとめ

高度化した社会では、モノリンガルにおいても、すべてを知る人間にはなれない。

たとえば医師では、その専門は細分化されている。もちろん医分野すべてを知る医師はいない。

高度化した社会で上手に生き残るためには、誰であっても限られたリソースを適切に配分していくことが求められる。

これと同様に、バイリンガルを目指す場合も、限られたリソースを適切に配分するという視点が重要になる。

ここを忘れてしまうと「子供は2つの環境から受け取る膨大な情報を処理しきれずパンクしてしまう。」ことになる。

(ダブルリミテッドは、環境が悪い・能力的に耐えられない、このようなときに発生している。)

 

バイリンガル育児では、2つの環境から膨大な情報量にさらされるという危険をどうしても回避できない。

ここは上手なコントロールが必要になる。

 

 

 

 

 

 

この本は、言葉と社会の関係を理解するとき、とても役に立つ