1)ダイナミックなトランプ外交

①米朝首脳会談では、北朝鮮の非核化と体制保証の話し合いを行い、合意文書に署名した。その会場のあるシンガポールに。北朝鮮の金正恩は中国の飛行機で乗りつけた。その内容には、北朝鮮の非核化プロセスに具体性がないなど、大抵の人が予想したよりも北朝鮮に対して柔軟な内容だった。 

その米朝会談について、日本政府は落胆したという意見が多かったし、米国本土でも民主党系の勢力から批判されたようである。 https://jp.sputniknews.com/politics/201806134985617/
 
②トランプ米国大統領は6月18日米国に新たに「宇宙軍」の創立を指示した。「国家宇宙会議」で米国が宇宙で優位に立つ必要があると語ったという。“優位に立つ”という表現は、相手を意識するときに用いるのだが、その相手は明らかに中国だろう。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180619-00010000-sorae_jp-sctch

中国は、月面基地建設を国家プロジェクトとして検討している。嫦娥計画としてウィキペディアにも紹介されている。米国は月旅行や火星移住計画を民間企業が中心に計画しているようだが、このままでは中国の後塵を拝することになるだろう。中国の計画はネットにも多く書かれている。 https://moonstation.jp/blog/lunarexp/china-discussing-unmanned-lunar-base
 
③最近、貿易不均衡を理由に中国からの製品にかなりの関税をかけることを命令した。中国の報復関税に対しても、更に関税品目を増加させるなどの対抗策を講じている。 https://jp.reuters.com/article/trump-china-additional-tariff-idJPKBN1JF007
 
これでは貿易戦争になり、米国経済にもマイナスであると考えられている。 

これら①ー③の米国の動きは、単独でみるのではなく全体としてみるべきだろう。そうすると、米国の中国の軍事拡大や勢力拡大に対する警戒心が見えてくるのではないだろうか。 

つまり、今回のトランプの保護貿易的な動きは、各国との貿易不均衡を是正するという凡ゆる国を対象にする話だが、それだけではないような気がする。つまり本当の目的は、中国経済を抑え込むことで、世界における中国勢力の拡大を抑える戦略ではないだろうか。 
 
2)金正恩の今後の外交:米中の間をうまく泳ぎ切るのだろうか  
 
北朝鮮の金正恩は、今日中国に出かけた模様である。米朝首脳会談についての報告や打ち合わせに向かったのだろう。北朝鮮と中国が蜜月関係に入ったと単純に考えるのは、早計だろう。また、習近平も自分の意のままに北朝鮮を動かせるとは思わないだろうし、金正恩を100%信用している訳ではないだろう。 
 
金正恩は、米国と中国の間でどのような外交を展開するつもりなのだろうか。おそらく、中国の属国になりたくはないだろう。属国になるのなら、米国の方を選択するような気がする。つまり、泳ぎ切った対岸は米国側であるような気がする。(補足1)

それが、トランプの北朝鮮に対する柔軟な対応や中国に対する強硬な姿勢と関連しているような気がする。 

米国と中国の間でどのような外交を展開するか、自国内部の中国にコネを持つ人物の動きなども見ながら、慎重に行動しないといけなくなる。金正恩は、米朝会談を終えて少し余裕ができたと考える向きも多いだろうが、本当はこれから正念場を迎えるような気がする。 

以上一市民のメモです。 

補足: 
1)当然明確な米国寄り政権などできない。核兵器を米国の監視下で全廃をするように見せる。朝鮮半島は北朝鮮の経済復興のあと統一朝鮮とする。しかし、核兵器のかなりを隠し持つことを米国に見逃してもらうのである。自主独立路線を強調する新しい国となるが、当面は、米国との申し合わせにより親中政権を装う。

言葉とその定義空間について
 
1)一般に民族系(右派)と考えられるネットテレビで、先日の米朝会談を受けてその評価と日本の今後についての討論番組が放映されていた。そこで、ゲストの4人が最初に米朝会談の評価を述べたのだが、T氏が、「金正恩が堂々とトランプと会談する姿を、宿代も払えないレベルの貧乏国のトップが米国のトップとあのように会談出来るのは、核兵器の力である。従って、彼は核兵器を絶対に手放さないだろう」と話した。
 
この指摘は全くその通りだと思う。ただその発言の中で、「金正恩は身内を殺して平然としている殺人犯ですよ。あんな男が表舞台に出ることが出来るというのが、核の力ですよ」と言った。それを聞いて、この番組へのコメントの中に、私は「金正恩が殺人犯なら、歴史上の偉人と言われる人物はほとんど全て殺人犯である」を加えた。
 
つまり、金正恩は殺人犯とは言えない。犯人の犯は犯罪の氾であり、罪とは法を犯す行為や道徳に反する行為を意味する。しかし、法や道徳は国家という体制内の規範であり、金正恩が命じた叔父や兄を殺す行為は、政治体制を守る目的でなされた体制内で行われた行為ではないからである。つまり「罪」は、一つの法体系(あるいは道徳の体系)を持つ明確な境界によって区切られた社会の内部で定義される。
 
つまり、「罪」の定義空間は普通国家(或いは明確な政治体制)内部であり、従って罪や犯罪、犯行、犯人などの言葉は、国家内に全て含まれた行為とそれを行った人などに対してのみ用い得る。その基本をT氏は守らなかった。司会者を含めて5人の間の議論であるから、政治的目的をもった発言とは考えにくい。従って、真面目に議論を聞く人間には軽薄な意見に聞こえるのである。
 
2)「人を殺すことが悪なら、戦争で人を殺すことも悪ですか?」という質問に答えられない学校の先生は多いかもしれない。また、ヤフーの知恵袋などで、「人を殺す、悪」で検索するといろんな質問や答えが出てくる(補足1)が、この言葉の定義空間を超えた表現に対する質問が多い。上述のように、罪、善、悪などは、一つの安定な人間社会の枠内で定義される言葉であるが、その境界を争う戦争において敵兵を殺す行為は、法に照らして罪や悪とは言えない。
 
もちろん、人間界にはいろんな社会の分け方が存在する。宗教や文化などで区切る場合もある。ある宗教に至上の価値を置く人の集団は強固な社会を形成し、その宗教で悪とされた行為に対して罪という言葉を用いるだろう。従って、宗教と国家が対立した場合、非常に深刻な事態となる。つまり、宗教で善とされる行為が、国家の定める法で罪とされる場合もあるからである。イスラムの自爆テロなどはその例である。
 
更に、国際条約でできた社会的境界も存在する。ハーグ陸戦条約では、捕虜の虐待や民間人の殺害は禁止されている。従って、戦争で民間人を殺す行為は国家の枠を超えて罪と言える。そのような行為は、戦争犯罪として処罰されることもある。
 
ところで、「言葉とその定義空間」という考え方が、何故一般に広く理解されていないのか?それは、言葉自体が数世代前にはそこまで進化していなかったからだろう。つまり、定義や空間なる単語はおそらく幕末以降に創られた和製漢語であり、そのような概念自体が日本語の中になかったのだろう。言葉はそのまま思想を表すから(補足2)、言葉になければそのような議論も不可能である。
 
特に定義や空間などの言葉は基礎の自然科学などで頻繁に用いられるが、一般には過去それほど用いられなかっただろう。言葉と論理に関する限り、基礎理学系の人間が優れた能力を持っていると思う。
 
3)蛇足として一言。上記youtube動画では、その後T氏のその発言にたいする批判的なコメントは一切なかった。日本人は議論する文化を持たないとつくづく思った。「個人口撃(攻撃)はいけない」とか、「人は褒めるべきであり貶すべきではない」といった、「和を以て貴となす」を頑なに守る文化には辟易とする。
 
個人口撃をしないから、何人が何度集まって議論しても個人の理解はあまり深まらない。心の中で、バカな事を言っていると思っても言わないので、自分がバカなことを言っても、誰も指摘してくれないのである。議論により、互いに切磋琢磨する習慣が、日本には乏しいと思う。その文化は、やたらと地位(status)に拘り、虚栄(vanity)の中に生きる人間を増加させ、社会を静的(static)で虚しい(vane)ものにしてしまう。
 
補足:
1) 幾つかの例をあげる:

2)西部邁著「昔、言葉は思想出会った“語源からみた現代”」という本がある。和製漢語などについては、高島俊男著「漢字と日本人」が参考になる。

あまり整理や校正せず、書き下した初稿をそのまま掲載します。12日の米朝会談だけでなく、その後の議論に落胆していて、エネルギーがありません。

1)トランプの自画自賛の評価は兎も角として、日本でも大成功だという人と、失敗だったという人が半々である。成功だったという人の中には、佐藤優や北野幸伯などの人がいる。北野氏は、メルマガで:

彼が本気で「完全非核化」を決意したかどうかを判断するのは時期尚早だろう。しかし、「非核化」が「不可逆」な段階まで進むまで、「制裁を続ける」とトランプは言っている。だから共同声明に「CVID」という言葉があったかどうかは、それほど大きな問題ではない。

と書いている。この方はトランプの「制裁を続ける」という言葉をそのまま受け取っている。トランプが「米韓軍事演習はとうぶん止める」というのは、制裁一部解除ではないと言うのだろうか? 

また、佐藤優氏は、金正恩とトランプの間には強い信頼関係が出来上がったと言っている。外交の専門家の佐藤氏は、人の心を読むことには全くの素人のように感じる。https://www.youtube.com/watch?v=EtrGo3In2LE & https://www.youtube.com/watch?v=RUlqjpMmPz4&t=946s

トランプにとって、北朝鮮の核など全く恐ろしくない。あの金正恩に対する親密な関係に見える対応は、その余裕のせいなのだ。トランプには、自分の選挙の票とノーベル賞しか頭にないことが分からないのだろうか?

何よりの失敗は、金正恩と習近平との間を近づけ、金正恩に中国に従っていれば、核を保持したままでも自分の政権は安泰だという安心感を与えたことである。中国の飛行機でシンガポールに行ったのは、習近平との打ち合わせ通りであると思う。

トランプは安倍の日本に金を出させることで、北朝鮮の経済を立て直すことに協力するだろう。その結果、核保持大国としての統一朝鮮が完成する。そこで日本をいじめる段階になっても、米国は日本に核保持を許さないだろう。トランプは回想録に書くだろう。「戦後米国は精一杯日本経済の復興に協力した。その後、あれくらいの苦労があったとしても、それは日本の責任だろう」と。

2)その悲劇的シナリオが始まっても尚、チャネル桜でも拉致問題を議論の中心においている。拉致被害者の家族会は、自分たちの活動が日本からまともな外交を奪っていることに気づいていないのだろうか。彼らは要求の相手を間違えている。既に何度も書いたように、家族が拉致された責任は、北朝鮮というよりも日本政府にあることが分かっていない。

日本は韓国を朝鮮半島唯一の政府と認めており、北朝鮮を正当なる国家と認めていない。米国とともに今まで敵国として扱ってきた。拉致の被害はその敵国による仕業である。戦争で戦死した若者の家族は、決して敵国にその責任を押し付けようとはしない。その責任追求の方向は、自国を戦争に導いた政治家に向かうはずだ。拉致被害者の家族が、拉致の責任を敵国である北朝鮮に求めるのは、全く理解不足である。

その拉致問題の理解が、反日マスコミにも都合が良いので、そのまま採用されている。それを覆す発言を政治家をすれば、たちまち落選するだろう。そして、日本の外交は拉致問題に拉致されているのである。

そのことを知的な西岡力氏は分からないのだろうか? チャネル桜の番組を見てそう思った。https://www.youtube.com/watch?v=BOoJm4FMAZU&t=1433s

この動画のはじめの20分程聞いた。其れ以降は、くだらないので聞く気になれない。出席者が最初に2-3分述べた言葉についての私のコメントは、以下の通りである。

高山さんの最初の言葉は、素人っぽい。核の威力というのはそのとおりだが、金正恩が殺人犯なら、歴史上の偉人はすべて殺人犯である。宮崎さんの最初の意見は素晴らしい。米中の衝突が問題なのはそのとおりだと思う。それを前提に日本は将来を考えるべきだと思う。加藤さんの米朝会談の評価はそのとおりであるが、何故そうなったを言わないと評論家らしくない。要するに、トランプは馬鹿だということなのだ。民主主義の弱点がそのままクローズアップされる。最後のメディアに対する意見は支離滅裂である。西岡さんの意見、核問題はまだ勝負はついていないという意見には賛成。拉致問題だが、皆さんの理解は間違っている。拉致は日本国の失敗である。何故なら、熊に我が子をさらわれたとしたら、その責任は親にあるからである。外交関係の無い国家は、太古の昔から熊というべき(”熊”と理解すべき)である。