台湾海峡の緊張が高まるたび、「台湾有事は日本有事だ」という言葉が政治家やマスコミから繰り返されています。先日も、高市首相の発言をきっかけに日中関係が急速に悪化しました。しかし本当に台湾有事は“直接”日本有事となるのでしょうか。国際法・安保法制・海運実務を丁寧に検証すると、この常識は大きく誤っていることが見えてきます。日本が他国の事情に巻き込まれて大惨事の舞台にならないように、以下の情報を共有したいと思います。
はじめに
高市首相は「中国が台湾を軍艦で封鎖すれば、日本の存立危機事態になり得る」と国会で述べ、中国側は強く反発した。この発言は、日本が台湾を事実上“防衛対象”とみなすような内容であり、日本の公式外交立場とも矛盾している。
結果的に、日中関係は急激に緊張し、台湾情勢をめぐる日本の言動の危険性が浮き彫りとなった。一般に「台湾有事は日本有事」と言われるが、これは政治的レトリックであり、法的にも軍事的にも正確ではない。暴走する“空気”にのまれる前に、事実に基づいて考え直す必要がある。
1)日本は台湾問題は“中国の内政問題”として扱うと約束している
日本の対中外交の基礎は、1972年の日中共同声明である。共同声明には次の文言がある。
「中華人民共和国政府は台湾が中国の領土の不可分の一部であると主張し、
日本国政府はこの中国政府の立場を理解し、尊重する。」
ここから分かるのは、日本は台湾を中国の一部と“承認”したわけではないが、台湾問題を中国の主権問題として扱う枠組みに入ることに同意したという事実である。1978年の平和友好条約にはこの文言は入らなかったものの、外交の基本姿勢は共同声明で確立されている。
この前提のもとでは、台湾封鎖を日本が「自国の存立危機事態」と断定するのは、日本自身の外交文書との矛盾であり、中国から見れば露骨な内政干渉に映る。独立した主権国家として、他国の主権問題に軽率に踏み込む姿勢は危うい。外交の根幹を揺るがす行為であり、日本が慎むべき領域である。
2)存立危機事態は台湾有事と直接関係しない
安保法制の核心は「存立危機事態」である。定義は次の通りである。
「我が国と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃
により日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合
ここで重要なのは、「密接な関係にある他国」が現状米国のみを指す点である。台湾は国家承認していないし、当然軍事同盟の対象外であり、この定義から外れる。したがって、台湾が攻撃されても、或いは海上封鎖されても存立危機事態の要件は成立しない。成立するのはあくまで、米国が中国に武力攻撃を受けた場合のみである。
つまり、台湾有事=日本有事という言説は、法的には成立しない。
3) 本当に日本を危険に晒すのは台湾ではなく「在日米軍の出撃」
台湾封鎖そのものは日本の戦争参加を意味しない。では、何が日本を危険に晒すのか?
答えは明確である。
在日米軍が日本の基地から台湾防衛のために出撃する瞬間、日本は“戦争当事国”とみなされる。
国際法では、交戦国の軍隊に基地を提供する国家は当事者とされる。中国軍の戦略(A2/AD)でも、最優先攻撃対象は 在日米軍基地である。台湾封鎖よりも、日米同盟の構造こそが日本を戦争へと巻き込む最大要因である。
4) 台湾封鎖は日本のエネルギー供給を直ちに止めない
政治家やメディアは「バシー海峡が封鎖されるとタンカーが通れない」と語るが、
海運の実務ではこれは正しくない。
● 日本のタンカーはルソン島北側を通過できる
航路変更は日常的に行われ、戦争や海賊回避も含め柔軟性は高い。歴史的にも代替ルートが利用されてきた。実際、 湾岸危機・イランイラク戦争では、欧州の船が紅海ースエズ運河ー地中海のルートを喜望峰ルートに切り替えたのは有名である。
● 本当に危険なのは南シナ海の全面危険化
日本のエネルギーの7割以上は南シナ海経由であり、台湾封鎖の影響よりはるかに大きい。
したがって、台湾封鎖=日本のエネルギー壊滅という議論は根本的に誤っている。
5)結論:台湾有事は「直接」日本有事ではない
以上を総合すると、次のように整理される。
-
日本は台湾を国家承認していない
-
台湾が攻撃されても日本の参戦義務はない
-
日本を戦争に巻き込むのは台湾ではなく“在日米軍の行動”
-
海運実務上、台湾封鎖はエネルギー危機を直ちに生まない
-
日本の安全保障の最大の弱点は国内体制の脆弱性である
したがって、台湾有事=日本有事は、法的にも軍事的にも誤った理解である。
あとがき
「台湾有事=日本有事」という浅はかな現政権の理解は、日本が他国の戦略に無批判に賛同し、ウクライナの二の舞になる危険性を孕んでいる。いま世界政治の枠組みは歴史的規模で変動しており、外交・安全保障の判断はこれまで以上に慎重でなければならない。
自分や子孫の生命を守るのは、政府でも、まして他国でもない。国民一人ひとりが知識を持ち、政治に主体的に参加することこそが、日本の未来を守る唯一の道である。
(本文章はOpenAIのchatGPTの協力で作成しました)