日本政府が5500憶ドル(日本円で81兆円)を米国のトランプ政権が指定する事業に投資し、その収益の90%を米国が得るという話は本当のようだ。TBS CROSS DIG with Bloombergというyoutubeサイトによるインタビューにおいて、米国商務長官ラトニック氏が明確に語っている。

https://https://www.youtube.com/watch?v=dQd2l7i2-8I

 

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日本では、5500憶ドル(約81兆円)という額は、政府系金融機関による投資の他、民間企業の投資などに対して政府系金融機関(例えばJBICなど)が融資保証をするなどの合計の金額だと説明されてきた。 https://www.youtube.com/watch?v=zX3E7248TpA

 

 

しかし最初に引用の動画でのラトニック商務長官の話は、この従来の説明と全く異なっている。最初に書いた通り日本政府がトランプ政権のATMとなって80兆円あまりの資金を米ドルで出すというのである。

 

ラトニック商務長官は、100%中国からの輸入に頼っているジェネリック抗生物質の製造や、アラスカのパイプライン設置などが、日本政府の出資で可能となるだろうと話している。しかも利益の90%は米国の取り分となるというのも同じである。

 

これと本質的に同じ話が、「モハPチャンネル」がアップした昨日の動画でも話されている。署名された書類をみると、比喩ではなく本当に日本政府が米国のATMのように80兆円を投資するのだと言っている。

 

そして、それを国会などでの議論など全くなしに決定した石破政権は10月末にも消えるのである。

https://www.youtube.com/watch?v=Ngx4AzmRQk8

 

 

2)80兆円の出所が米国債なら悪い話ではないかも

 

この直ぐ上の動画で「モハPチャンネル」は、一部の推測として、この資金に日本の外貨準備が使われる可能性に言及している。ただそうなれば、国債市場が混乱する可能性があると、その副作用について述べている。

 

しかし、どう考えてもそれ以外に80兆円などという大金の在り処が考えられない。現在、日本は約160兆円ほどの外貨準備を主に米国債で保有している。もしこの推測が正しいのなら、その半分をこの出資に使うということになる。

 

以下は筆者の推測だが、日本の保有している外貨準備としての米国債を米国中央銀行が引き受けて、相当する金額をトランプ政権の口座に振り込み、日本側の投資とするのである。FRBの協力があれば可能であり、それは米国の金融緩和に近い方法である。

 

米国債を市場で売却する話ではないので、米ドル安とはなっても米国債の暴落とはならないと思う。日本にとっても、これまでの米国政権下では売ることができなかった米国債なので、或いは日米関税摩擦の良い解決策なのかもしれない。(下の記事は、日本が米国債を売る困難についてのもの)

 

 

この場合の日本の外貨準備だが、半分の5500憶ドルになる。その代わりに資産として、この5500億ドルが加わるので、日本国のバランスシート(BS)の負債超過額には変化はない。(補足1)それでも様々な副作用はあるだろうが、これ以上は経済の専門家に解説をお願いしたい。このような詳細は未だ日米両政府から発表されていない。

 

終わりに:

 

日本政府も日本のマスコミも、日本国民を曖昧な言葉で誤魔化すという習性をもっている。日本国民をバカにしているのである。それは8月30日の記事で指摘した通りである。そこで例として取り上げたのは、消費者が支払う税金だという風に誤魔化されてきた消費税は、実は企業に対する課税だったことや、故郷納税という納税は実は地方公共団体への寄付であったなどである。

 

今回の日米関税交渉の成果についても、日本政府はこの種の誤魔化しをする心算のようだ。日本企業が出資し、その融資保証をJBICなどの日本政府系金融機関がするという風に思わせながら、実際は大部分を直接日本政府が出資するのだろう。最初の動画で、三菱が米国内に工場を建設するというような話ではないとラトニック商務長官が明言している。

 

補足:

 

1)もしこの形だとすると、日本は米国債を売って手に入れたお金を米国のジェネリック抗生物質の生産会社やアラスカパイプライン会社に投資をし、収益の10%を配当として受け取ることになる。従って、この場合は日本が大損するわけではない。もともと換金しにくい米国債が、換金しにくい株式になり、受け取る国債金利が投資による利益の10%になると考えると、日米同盟が今後も続くなら、そんなに損な話ではないと思う。

 

=== (11:20, 編集在り;12:10補足追加) ===