1)日本の問題点に関する石破氏の視点と分析は正しい:
昨夜放送されたBSプライムニュースのダイジェスト版をネットでみた。キャスターは反町理氏と長野美郷氏である。今回のゲスト出席者は、自民党元幹事長の石破茂氏と時事通信社解説委員の山田恵資氏であった。http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d190920_0.html
FNN(フジテレビ)の世論調査によると、次期総理にふさわしい人の第一位に安倍現総理、第二位に石破茂氏であった。その理由として、石破氏の自己分析は、政治的主張が殆ど変化していないことを上げた。
そして、それとの関連において、石破氏は自身の政治哲学を少し披露した。その中で、総理になることは手段であって目的ではないと言った。それは極めて真当な意見である。それでは、石破さんは何をやりますか?という反町さんの質問に対して、石破氏は以下のように答えた。
石破茂氏は、やりたいことは二つある。一つは、安全保障を独立国家にふさわしい形にしたい。もう一つは日本における人口減少の原因と関連して、東京一極集中の日本から地方分散型の日本に変えたいと主張した。
そして、先進国であるヨーロッパ諸国の人口は減少していないし、田舎町は生き生きとしている。そのことから、文明の成熟と人口減少は無関係であると主張する。そして、日本の人口減少と地方都市の疲弊は、明治維新以来、日本が東京一極集中をやってきた結果であるという認識を示した。
食料とエネルギーを生産し、出生率の高い町が滅んで、食料とエネルギーを消費して出生率最低の東京だけが残るような国は作りたくない。その様な状況は、東京にとっても田舎町にとっても不幸である。
以上の分析と方針は、全く正しいと思う。この視点と方針で日本の舵取りができれば、総理大臣として有望だと思う。
2)小泉進次郎氏と比較するのはおかしい:
続いて、世論調査の結果の細かい議論に移り、安倍総理の内閣改造までには、小泉進次郎氏が石破氏より上位であったが、今回の調査で逆転した理由などについての話になった。
その中で、自民党支持層の中での小泉進次郎氏を安倍総理の次として考えていたが、小泉氏の入閣で票が一部石破氏への移行があったのではないかと、山田恵資氏の分析があった。この種の話は興味がないので、詳細は省略する。
その後、話は昨日開催された「全世代型社会保障検討会議」での安倍総理の発言に移った。
この件、問題の分析のための石破氏は風呂敷は広げたが、そこには品物の名前だけがプリントされた空き箱が並んでいるような話に終始した。いつもの石破節であり、なんとか成らんのかとその点は不満が残った。
例えば、一律の法人税減税ではなく、「設備投資行い、賃金を上げるなどの努力をした企業に対しては減税する」などの工夫が大事だという発言があったが、それは税の公平性の原則に欠ける。
努力という言葉を用いたので真当な意見のように聞こえるが、「努力」を「能力」或いは単に「力」に置き換えたらどうか。例えば、「設備投資行い、賃金を上げるなどの力のある企業に対しては減税する」とすれば、違和感が明確になるだろう。そんなことをすれば、その企業努力の査定に関して官僚たちの利権が生じるだけだ。(補足1)
以上、石破茂氏は正しい方向を見ているが、やはり一人の比較的優秀な政治家に過ぎない。ただ、それ以上の人材がいない現状では貴重な総理候補だろう。石破総理の下で組閣が行われたとして、どのような人材が大臣の椅子に座るのだろうか?そちらの方がもっと心配である。
石破氏にはぜひ選挙制度の改革と、明治維新以降の方針を劇的に変える道州制の導入をやってもらいたい。石破氏は、より良い政党を創るため自民党を一度脱党した。しかしこの国では、自民党内以外にまともな政党はない。自民党はもともと自由党と民主党の二つの合併によりできた政党なので、党内二派での止揚を実現してまともな政党に成長するしか無い。石破氏の志を、一度信じてみたい。
(補足は9月22日15:30補足追加)
補足:
1)健康保険制度がこのままでは破綻することに関して、石破氏の改革方針を聴く部分については、石破氏も十分な答えを持っていないないように思える。生活管理のあり方を給付に反映するなどの意見については、十分整理されているとは思えないので、ここでは批判しない。難問であるが、言いにくいことも言える政治家になってもらいたい。