香山リカという人が、自分の亡父が徴用工に対する虐待現場を目撃し、虐待された人たちは許すことが出来ないだろうと話していたと、ツイッターに投稿したという。その記事はデイリースポーツの記事をYahoo!ニュースが載せたものである。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190908-00000145-dal-ent

 

その記事は、わかりにくい日本語の文章なので、中心部分をそのまま引用する。

 

香山氏は、北海道の歴史についてのツイートを引用。そこには北海道はアチコチにその歴史が刻まれている。わたしの故郷もそう。室蘭には戦時中、連合軍捕虜収容所もあり、米国人や英国人も劣悪な環境で虐待を受け重労働を課せられ、戦後はそこの所長がB級戦犯として処刑された。私の親は小さい頃、徴用工や捕虜が港湾工事で酷使されてるのを目撃している」とあった。

 

香山氏は「釧路で育った私の亡き父もです」とし、「子どもながら、徴用工が虐待されるところを見て『なぜあんな目にあわされてるのか』とショックだったと。晩年までずっと『あの人たちが怒るのは無理もない。到底許すことなんてできないだろう』と言ってました」とツイートした。

 

この二つの話は、何も本人の親の、しかも子供時代の目撃談だということになっている。どうも暴行事件があったようだが、それらが徴用工に対してあった事件なのか、また、捕虜虐待なのかわからない。更に、それらが組織的犯罪なのかそれとも個人的犯罪なのか、それとも国家の制度に沿った犯罪的行為なのか、さっぱりわからない。

 

それらの話は、子供時代の目撃者が、何十年か後に自分の子供に言った話を、その聞き手が自分の記憶から再現したものである。そこにどれだけの真実が残存しているか、非常に疑問である。もし、暴行の被害者として、捕虜や徴用工が含まれていたとしても、それを目撃者の子供がどのように識別したのか、また、日本人だったのか韓半島出身者なのかわからない。

 

韓半島出身者かどうかは問題ではないと考える人もいるだろうが、そうではなくキーポイントの一つである。何故なら、日本国が虐待を許すような制度として徴用を行ったのなら、あちこちに生存している日本人徴用工から被害報告や賠償要求など出ている筈である。日本人徴用工からはそのような話は出ていない。

 

香山氏は、徴用工一般にたいして、国家の方針として虐待があったと言いたいのだろう。しかし、上記分析から明らかなように、その証拠になる証言とは全くかんがえられない。もし、低い頻度で個別の暴行事件が徴用の場で起こっていたとするのなら、それは個別の犯罪であり、国家の徴用工制度の問題とは無関係である。

 

更に、日韓の間で問題になっているのは、暴行ではない。徴用工として意思に反して働かされたという主張のようである。それは日韓基本条約と請求権協定で解決済みとされてきたが、最近の韓国の判決では国内で裁判することが可能なようである。

 

徴用令は国家総動員法に基づく国家による国民に対する命令であるから、日本国民相手なら、徴用されたこと自体が問題だということになり得ない。しかし、韓国司法の主張はどうも、韓国人の徴用自体が問題だというものらしい。(下記BBCのインタビューにたいする韓国外相の話。13:05からの部分)

https://www.youtube.com/watch?v=9ULzdijYt1M

(16:30 追加:https://www.youtube.com/watch?v=ncLh3swmBnY 7:00以降)

 

それは、1910年の日韓併合を無効だという主張になる。当時主要国で、日韓併合にクレイムをつけた国はない。従って、それは国際慣例(国際法)に反する主張である。

 

以上、香山リカ氏のツイートは何について言いたいのか、さっぱりわからない。その中で、徴用工だけがやけに強調されているように思える。このような情報性に乏しい話をする香山リカとかいう人や、ニュースとして流したデイリーニュースやそれを転載するYahoo!ニュースの見識を疑う。(16:19編集;17:10編集)