最初に、この議論の主要なる部分に対して私が受け止めた内容をまとめておきたい。なお、自分の知識も含めて内容を追加した。この討論の感想については、そのうち別に書く予定である。
8月11日配信されたチャネル桜の討論番組において、「もし大東亜戦争の開戦が無かったら?」という題目設定で議論が行われた。出席者は、小堀桂一郎(東大名誉教授)、高山正之(元産経新聞)、田中英道(東北大名誉教授)、宮崎正弘(作家、評論家) 西岡力(救う会)、上島嘉郎(元正論編集長)、林千勝(戦史研究家)、岩田温(大和大講師)である。
この討論では、大東亜戦争についての共通理解が出席者になかったからなどの理由から、結果としてかなり自由に先の大戦の原因等について議論がなされた。
一時間目に、林千勝氏が指摘した先の大戦についての性格付けが、この戦争に対する共通理解となったと思う。つまり、あの戦争は、F.ルーズベルトの考えたとおりに進められ、そこに近衛文麿内閣も協力的であったというモデルである。その動機は、中国をそして世界を共産主義体制に導くためである。
その状況証拠としては、F.ルーズベルトの体制の中に共産主義者が大勢いたことであり、林氏はルーズベルトも共産主義者であったと考えているようである。また、日本の近衛文麿の近くにも、風見章や尾崎秀実といった共産主義スパイが大勢おり、近衛文麿自身が共産主義者であったとしている。(補足1)
更に林氏が指摘したのは、日本は大東亜戦争を計画はしたが、実際には日米戦争となったことである。陸海軍のほとんどが対米開戦に反対であったが、山本五十六など海軍首脳部がそちらに向かってしまったという。
昭和16年11月時点での戦争計画は、南進して石油を抑え、西に進んでインド洋を抑えれば、英国は経済的に封鎖されて陥落するという、“大東亜戦争”と言える計画だった。また、当時の米国世論の80%は戦争すべきでないという意見だったので、軍首脳の考えは絶対にそれを崩すべきではないというものだった。ところが、海軍上層部のみが暴走して、パール・ハーバーを攻撃し太平洋戦争になってしまった。東条英機も東京裁判の中で、そのことを証言している。(要約)
もともと、日本の国体護持の為なら日本の直接的脅威であるソ連を叩くべく、北進戦略をとるべきだったのだが、それがいつの間にか南進に方針が変わった。南進になった時点で、なにか別のところから日本に力が働いたと考えられる。
そして、陸軍の考えに反して、中国と本格的な戦争になったのだが、それはもっぱら蒋介石政権を攻撃する戦争であった。国共合作の中国で、どういうわけか毛沢東政権はこの戦争に出てこない。(補足2)
林氏は、この戦争における共産主義者の役割については、米国ではフーバー回顧録などが発表されて相当明らかになったが、それに加えて近衛文麿政権の詳細を同様の視点から研究すれば、この戦争における東京裁判史観は吹っ飛ぶと言っていた。
その背後にあるのは、水島社長がちょっと触れたように、国際共産革命を裏から支えた米国のユダヤ系金融資本である。その点については、それほど深く議論されなかったが、元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏がその考えを以下の動画で総括している。https://www.youtube.com/watch?v=-PqwGQ_24Yw
この考えによれば、ユダヤ金融資本の画策した最初のグローバリズムの動きが、国際共産主義運動である。そして、次のグローバリズムの動きが、現在世界に広がっている人と資本の垣根としての国家をなくする運動である。つまり、世界の歴史はこれまでユダヤ国際金融資本により動かされたという考えである。その時代が今、かわりつつあるというのである。
補足:
1)近衛文麿が東大を中退し、河上肇のいる京大に移籍して、共産主義を学んだという。また、近衛文麿の近くの共産主義者は数十名であり、すぐにでも20名程度の名前を上げる事が可能であるという。
2)毛沢東は、日中国交樹立に際して我々はむしろ日本に感謝しているとして、賠償要求をしていない。http://news.livedoor.com/article/detail/12555533/