日本相撲協会(以下相撲協会)の貴乃花理事の解任決定は、法治国家のものではない。法治国家で犯罪に対応する際、最優先されるべきは国家による調査である。犯罪者が所属する組織に対する対応は、国家による調査に障害になってはならないようにするべきである。その点、貴乃花親方の対応に全く問題はない。

相撲道は礼に始まり、礼に終わるにも拘らず、貴乃花親方のこの事件に対する報告を怠たり、理事長からの連絡を無視した対応は著しく礼を失している、と池坊氏は解任の理由を語っていた(今朝5日、8時15分の中京テレビ)。しかし、それは現在の相撲協会の相撲に関する限り、全くあてはまらない。それは、現在の力士の最高峰に位置する白鵬の相撲が、礼に始まり礼に終わる相撲なのかを考えればわかる。

相撲協会は、白鵬への処分が全くできていない。先場所、自身の相撲に関する軍配に抗議して、勝負審判を受け持つ行司などの意見を聞かず、1分以上立ち尽くした。千秋楽の愚行も含めての協会の処分は、厳重注意というだけで実質無罪放免である。それでも、大相撲は礼に始まり礼に終わる相撲道を実践していると池坊評議会議長は仰るのだろうか。

相撲道は日本の文化だろう。外国人を入れるのなら、その文化を徹底的に敎育しなければならない。それを怠った協会トップの人たちこそ、辞任すべきである。それが全くわかっていない池坊という協会を評価指導する立場の評議委員会議長は、直ちに解任されるべきだろう。

相撲協会は腐っている。日本社会以上に腐っている。礼に始まり礼に終わるのは、成熟し且つ清楚な文化が支配している社会の話である。腐った社会を改革するのなら、その支配層に対する礼は無視されることもあるだろう。

腐った社会の改革、或いは、急変する環境への適応には、優秀なる人間による無能な支配層に対する礼に拘っていてはできない。更に、全会一致であったというが、西欧の思想の中に、全会一致の決定は無効という考えもある。それは、その組織そのものが腐っている場合、正論が全会一致で退けられるからである。(12時語句の編集)

2)加筆:日馬富士による貴ノ岩の暴行傷害は、診断書でも分かる通りの重罪である。頭皮を20針縫う外傷の上、頭蓋底骨骨折、髄液漏の疑いということから、場合によっては貴ノ岩の命も失われかねない程度の暴行だろう。

それでも、簡易裁判所は略式起訴で罰金50万円という命令を下した。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180104/k10011278671000.html
格闘技選手の殴打は、凶器による殴打である。抵抗のない貴ノ岩を数十発殴り、重傷を負わせながら、一度も逮捕されず、その程度の罰金で済むのは非常に不自然である。

この国は本当に法治国家なのか? 満員電車の中で軽薄な服装をした女の子の尻を撫でただけで、人生を棒に振る人もいる。逮捕されたり勾留されたりする人もおおいだろう。何故、横綱というだけで、あのような特別待遇を受けるのか?