日本の政治家には、ツイッター使用などは禁止すべき:
 
昨今世界のリーダーであるトランプ大統領のツイッターが、屡々ニュースに取り上げられている。そこには、侮蔑的な表現など感情を伴った短い言葉が踊っている。それだけではまともな政治など出来る筈などない。この“トランプ形式”は、米国でのみ有効な国民とリーダーの関わりの一形式であり、大統領は国民への観測気球として、ツイートしているのだろう。実際の政治では、大統領の影で膨大で高度な戦略機関などが動いている。(補足1)
 
現代、日本でも政治家がツイッターで自分の考えを発表する様になった。ツイッターは、まるで表題だけが大きな活字で書かれた、記事のない新聞を連想させる。Twitterは文字どおり鳥のさえずりと同じであり、国民の票で直接選ばれる政治家一般のすることとは思えない。(補足2)
 
政治でも何でも、表に現れた現象のみを見ていては、真相は見えない。真相は、背後にある複雑な力やそれらの相互作用にあり、表に現れるのは単なる結果である。ツイッターが対象にするのは結果のみである。真相を記述するには字数(140字)が足らない。
 
また、短い言葉(ツイート)で短時間に伝達しうる情報は、聞く側に心地よい得な情報のみである。複雑な現代社会の政治において貢献するには、嫌で損な情報を伝達し、大衆から支持をえなければならない。それは、何段階かの論理展開を用いた文章で始めて可能となり、ツイートでは不可能である。
 
大衆に街角で直接何かを伝達するには、短いことばを用いることが必須条件である。あらゆる方向に動く大衆に、立ち止まって聞いて貰うには、瞬時に要点のみを伝えなければならないからである。しかし現代社会では、ネット上に言葉は半永久的に残るので、その意見を聞く時間に強い制限は本来ない筈である。
 
上に書いた様に、さえずりや吠え声と行動だけで生きる生物は、野生動物であり人間とは言えない。野生動物の意思伝達手段は本能に基づく行動のみで、ツイッターはその掛け声に過ぎない。少なくとも日本の現職政治家には、ツイッターなどのSNSを使用して政治的発言をすることを禁止すべきである。
 
その埋め合わせと政治家の資質向上を狙って、パブリックな報道機関(つまり、テレビや新聞など)に一定の枠をつくり、政治家が日常的に意見を発表できる場を作るべきだとおもう。また、そのように自分の意見をまともな言葉として語れる人のみを国会議員として認めるような政治文化を日本はつくるべきである。

補足:
1)米国は民主政治的手法を用いているのは、大統領選挙人の選挙であり、米国民が直接大統領を選んでいるのではない。従って、大統領が論理でもって話し合うべき相手は、大統領の選挙人である。以下は私見だが、大統領が直接国民に直接伝達するのは、ツイッターで信号を送るだけであり、それは大衆の操縦であったり、感情の共有であったりする。

2)国家のトップが国民に向けて観測気球の意味でツウィートするのは、上記トランプ大統領と同様、報道機関を利用して世論吸い上げの道具になり得るかもしれない。しかし、下で働く議員や大臣のすることではないと思う。