北朝鮮問題を議論する部分を視聴した。ゲストは中谷元氏と丹羽宇一郎氏であった。以下に私の主観で要点をまとめる。
 
丹羽氏の意見:
 
北朝鮮への石油禁輸などの制裁が議論されている。しかし石油禁輸は北朝鮮の生命線を断つことになり、あの不良少年が”野垂れ死にするくらいなら”と考えて、何をするか分からない。日本がハル・ノートを受け取ったあとの情況と似てくる。ロケット戦争になり、日本の1年以上稼働した原発を攻撃された場合、多量の放射線物質(注:プルトニュウム)が放出されるという恐ろしい事態も考えるべきである。
 
北朝鮮はイラクなどの例もあり、絶対に核兵器を放棄することはないだろう。それに、核保有国9カ国のうち、北朝鮮にだけ放棄しろというのでは説得力がない。全核保有国が例えば2年間、核兵器の開発などを凍結するなどの議論と並行すべきである。
 
戦争体験者に聞き取りを行った経験があるが、全ての人が言うのが「丹羽さん、戦争だけはやめて下さい」という言葉である。石破氏による戦術核の日本国内持ち込みは、やはり戦争に近づく議論であり、避けるべきだと思う。
 
中谷氏の意見:
 
北朝鮮が核を持つことを許されるとしたら、それは日本にとって最悪のシナリオである。日本としては北朝鮮の核保持は絶対に認められない。米国が考えているレッドラインを北朝鮮は既に超えている。米国は軍事的オプションを背景に圧力をかけるべき。
 
原子力発電に対する対テロ対策など、安全性確保は当然考えなくてはならない。非核三原則は堅持すべきだが、石破氏の米国の核兵器を持ち込むことも議論する必要があるかもしれない。
 
防衛予算の拡大幅を小さくするために、防衛システム整備に関しても、国内調達を増やすべきだと思う。
 
以上のような議論があったと思う。記憶とメモだけに基づいたので(ビデオ録画とその再視聴などはしていない)、完全ではないだろうが、ニアンスを含めてまとめたつもりである。
 
時間が非常に短いこともあり、何時ものように全体的に非常にプアな議論に終わった。特に丹羽氏には、日本国民の生命についての論理の一貫した配慮が全く考えられないのが気になった。「戦争だけはやめてください」という戦争体験者の言葉を殊更ここで言うことが、戦争回避の戦略をたてる為になると思っているのだろうか。日本が戦争を抑止する手段を、有効な多くの手段から考えなくてはならない時に、その選択の幅を狭めさせることになることが分からない筈はなかろう。

つまり、戦争経験者の戦争に対する恐怖を判断力に乏しい大衆に聞かせ、戦争を避ける戦略を含めて、戦争に対する思考を一切停止させる為の発言だと疑う。中国の利益を考えたプロパガンダ的発言ではないかと思ってしまう。この方には、恐らく中国の力が相当及んでいるのだろう。
 
北朝鮮問題は、朝鮮戦争が未だ休戦状態であることが原因である。ここは、米国が先ず朝鮮戦争の終結と北朝鮮との講和を関係国とすべきであると思う。これまでの経緯から、米国に責任があることは明らかなのだが、それに全く言及がないのは、出席者の怠慢なのか知性不足なのか、兎に角そのどちらかだろう。
 
しかし、今となっては、朝鮮戦争の終結だけでは日本国民の安全確保は出来ない。やはり、戦争の出来ない世界の一角に日本を加える工夫として、核兵器の保持が最も大事な手段だろう。その途中の段階として、米国の核兵器の持ち込みとその共同管理まで実現すべきである。以前にも書いたが、韓国、日本、オーストラリア、米国などで環太平洋条約機構をつくり、核兵器の共有を目指すべきだろう。
 
また、原子力発電の爆撃は甚大な被害を出す可能性があるので、防衛の主要課題として今後検討すべきだと思う。