先週は、北海道の小学校2年生児童が山林で行方不明になった件で、日本中がその少年の身の上を心配した。結局自衛隊基地の小屋で見つかり、児童は病院での身体チェックのあと無事両親のもとに返された。「よかった」と口に出して、喜んだ人も多かったと思う。しかしこのまま一件落着という具合に終わらせてしまってよいのだろうか。

5月28日の午後5時頃、躾のために少年を車から下ろして両親は現場を去り、5-10分後に戻ったが見つからなかったという。自宅からも人里からも遠く離れた森の中の路上に放置することは、躾としては尋常ではない。ヒグマが出没するところであり、5分間と雖も、命に関わる事態になっていた可能性もある。
 
この件、最初両親は山菜採りをしていて、行方が分からなくなったと嘘の証言をしている。http://breaking-news.jp/2016/05/30/024547 また、少年の姉にそれと口裏を合わせたような証言をさせている。捜索隊が山の中を探したのはそのような証言があったからだろう。車道に放置された場合には、通常考えるのは山に入ることではなく、道をどちらかに歩いて親の自動車を追いかけるか人里に出ることである。山のなかに入る訳がない。山林をしらみつぶし的に捜索したのは、その証言に影響されたからだろう。

父親は、毅然たる態度をその少年にとった割には、事件の経緯についての証言が変化するなど毅然としていない。結果が良ければ、何もことを荒立てることはないと考えるのは、日本人の悪い癖である。徹底的に調査して、真相を明らかにし、更に、そのような躾が妥当だったのかどうかなどについても然るべく議論し、それらを周知すべきである。

この少年は九死に一生を得るほどの恐怖を経験しただろうし、自衛隊などの捜索にも多大の経費を使っている。似たような事件を防ぐことや事件が起こった時に捜索の能率を上げることなど、この件から学ぶことは相当あると思う。そのためにも、事件の経緯の詳細、捜索の方法の妥当性などを含めて、真相は最後まで究明すべきであると思う。