水素水とは水素分子を含む水のようだ。水素分子は水素原子(原子記号H)が2個繋がった分子(H-HまたはH2)であり、誰でも学校で習う最も簡単な構造を持つ分子である。水素は水に溶けにくく、窒素ガスや酸素ガス同様わずかしか溶けない。空中の水素濃度は低い(モル比0.500ppm)ので水素水を作ったとしても時間がたてば水素は空中に逃げていく。
上記サイトでは活性酸素として、癌の発生の一つの原因とされているOHラジカルを取り上げ、水素水を飲むと、その中の水素分子がそのOHラジカルと反応して水(H2O)にし、無害化するとしている。
しかし、この説はインチキである可能性がたかい。なぜなら、水素水の水素濃度はppmレベルであり、https://www.abist-hf.com/(補足2)それが体内に吸収されたとしても、体液中での濃度はそれよりかなり減少する。OHラジカルは生体内で10億分の1秒程度の短い時間で消滅するhttps://en.wikipedia.org/wiki/Hydroxyl_radicalので、普通は体を構成する蛋白質分子などの中に存在するSH基やハイドロキノン性のOH基との反応、キノンや他の二重結合(補足3)への付加反応、などで消滅するだろう。水素分子はこれらに比べてOHラジカルとの反応性が低く、効果があるとは思えない。
補足:
1)通常分子内で電子は対をなして存在するが、対をなしていない電子(不対電子という)を含む分子をフリーラジカルと呼ぶ。フリーラジカルは通常R・のように書くが、・は不対電子を表す。
2)ナノバブルで水素ガスを水中に入れることができれば確かに長時間水中に存在するだろう。現役研究者なら、水に重水を使いこの水のナノバブル化水素ガスのNMR(核磁気共鳴法)が観測してみたい。
3)Sは硫黄原子、キノンは芳香環に酸素が2個入った構造(C6H4O2のベンゾキノンが一番簡単な分子)