総理は何の効果の計算や何の戦略もなく、中東やイスラエルを廻って金をバラまいている(様に見える;注1)。早速、その負の効果が明確な形で現れた。
安倍総理は積極的平和主義とか何とか言っているが、訳も判らん人には積極的にならないで欲しいものだ。このような結果になることを予想しないで、エジプトで”イスラム国対策支援”の名目で金銭を渡す約束をしたとしたら、浅はかそのものである。勿論、安易に裏で妥協して身代金を渡してはならないが、人命第一という安倍総理の会見での発言は身代金支払いを示唆している。”テロに屈しない”ということと”人命第一”ということは、互いに矛盾することを安倍総理は判っていないようだ。
中東は日本にとって遠い国である。西欧のように中東を植民地支配した歴史を持つ国は、その後の中東の混乱に一定の責任がある。しかし、日本は歴史的にも宗教的にも、中東と西欧との間にあって中性的・中立的立場を取りうる国である。中東の安定が日本にとっても、経済的な面を含めて、大事であるとはいうものの、西欧の様な”テロは国際政治の敵”という原則論は、日本が関与する理由としては十分でないと思う。時間が経過して、これらの当事国が日本を必要とするまで、関与すべきではない。
安倍氏は人道的援助だというが、イスラム国の兵士は「敵に対する人道は、我々にとって敵対である」と言うだろう。”テロ”行為は許されないといっても、彼らは命を賭けて、戦っていることの重みも考えた方が良い。彼らと彼らの敵との関係を熟知するまで、そして、国会での議論で日本が関与する必要があるという結論を得るまで、何度も言うが日本は関与すべきではないと思う。安倍さんにそのような配慮があったとは思えない(注1参照)。
無責任に中東に首を突っ込むことは、将来の日本に多大の負の安倍遺産を残すことになる。
注釈:
1)このように言うのは、安倍総理が中東やイスラエルをあまり語ることも議論もなく、唐突に始めた外交だからである。また、ガザ地区の爆撃で、ヨーロッパ諸国も距離を置いているイスラエルと、何故日本が前面に出て軍事・政治・経済的協力関係を結ぶ必要があるのか説明も無いし、理解も出来ないからである。