ウクライナ問題は、現在の米国の株価を変化させる大きな要因である。それはそのまま日本の、そして、世界の株価に反映される。これは経済のグローバル化が政治のグローバル化よりも先に進んでいるからである。政治ではいち早く国際連盟や国際連合などで、グローバル化が始まったが、その力はほとんど目立っていない。それよりも、インターネットの普及や地球上での人的交流の増加により、国際世論が徐々に形成され、そちらの方が政治的力としては大きいように見える。
 プーチン氏のロシア国内での支持率は80%を越えているので、古い頭で考えれば、ロシアはウクライナにおいて益々強硬になるように考えるだろう。しかし、プーチンの失脚が近いという報道が米国にあらわれた。http://markethack.net/archives/51933463.html ヤフーからの孫引きであるから、このニュースソースはある程度信頼できるものだろう。報道によると、クレムリンの内部でプーチン大統領の対ウクライナ政策を無様な対応とひそひそ話がなされているという。それは、西欧諸国からの経済制裁に対して、食料品の貿易を制裁するという対抗策を持ち出したものの、経済的打撃が大きいからだろう。おそらく、プーチン大統領は、クリミヤ併合で全て終了というサインを明確にだすべきだったのだろうと思う。
 そして、プーチン大統領の読み違いは、グローバル経済のネットワークが最早世界を支配しつつあることを、少しだけ軽視してしまったことではないだろうか。中国の周主席が、日本との関係修復を考えているのも、経済界からの圧力だろうと思う。中国と日本、そして、世界は、経済的に密にネットワーク化が日々増強されており(1)、政治家からこれまでのような国家間の争いを主導する自由を奪いつつあるのかもしれない。
 これは世界史的には、国民国家という制度の賞味期限が切れて来ていることになると思う。世界の政治家は、このウクライナの行く末を、このような観点から注視しているのではないだろうか。

注釈:
1)例えば、中国のネット企業アリババは、ニューヨークでの株式上場を考えている。ところが、その株の1/3は日本のソフトバンクが持っている。そのソフトバンクは、米国の携帯電話会社スプリントの親会社である。
 また、ボーイング社の飛行機や韓国サムソンの携帯電話の部品のかなりの部分は日本製であることも周知されている。